聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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45部分:第五話 デスマスク出陣その四
第五話 デスマスク出陣その四
「俺達の宮殿なんて金は完全にガラス張りだぞ」
「ガラス張りですか」
「無駄金なんぞ一銭もねえ」
また実にはっきりとした言葉だった。
「そういうところは厳しいんだ。金の管轄は全部教皇がしておられるからな」
「教皇が」
「何なら直接教皇にお話してみろ」
かなりきつい言葉であった。素っ気無いにしろ。
「何言われるかは保障しねえがな」
「わかりました。じゃあ」
「そういうことで」
「それでも金は困らないだけあるさ」
それは保障するデスマスクだった。
「飯食う分位はな」
「あと泊まる場所と」
「で、それでだ」
デスマスクは話を戻してきた。
「おい、ジャミアン」
「はい」
ジャミアンはあらためてデスマスクの言葉に返事をした。
「それでその店は何処なんだ?」
「ここをまっすぐに行ったビアホールです」
「ビールもあるのか」
「ええ、酒はいけますよね」
「まあな」
とりあえず年齢のことは誰も言わない。話さなければ誰にもわからないからだ。特にジャミアンやディオはそれに関してはかなりのものだった。
「じゃあゾルダ、ブラウ、レッシュ、アンタレス」
「何でしょうかデスマスク様」
「行くぞ」
「あっ、はい」
「それだけですか」
何しろ乱暴なところがあると噂になっているデスマスクだ。実際修行中にはかなりの無茶をする暴れ者でそのことでも有名だった。その彼に声をかけられて四人は心の中で身構えていたのだ。
「それだけって他に何があるんだよ」
デスマスクはいぶかしむ目で四人に問うた。
「何もないだろうが。まだ敵もいないぞ」
「ま、まあそうですけれど」
「あはは」
「わかったら行くぞ」
あらためて四人に告げる。
「いいな、戦いの前に栄養を摂っておけ」
「わかりました」
「それじゃあ巨蟹宮のお金で」
「あんまりふざけてっと蟹の餌にするぞ」
最後のデスマスクの言葉は半分本気だった。何はともあれ彼等はビアホールでソーセージとビールを楽しむのだった。それはジャミアンが勧めるだけに絶品だった。この日の一行はまずは陽気にライプチヒでの旅を過ごすことができた。
その翌日。デスマスクは一人ライプチヒの街中を歩き回っていた。派手で赤と黒の目立つ服を着ている。周りのドイツ人達とは明らかに雰囲気が違う。ドイツの街にもいささか不釣合いであった。
だが彼はそれに構わずに街中を歩き回っている。そこにゾルダがやって来た。彼も私服だ。
「見つかったか」
「はい」
ゾルダはデスマスクの顔に自分の顔を寄せて頷いた。目が鋭くなっていた。
「いました」
「狂闘士の奴等か?」
「雑兵でした」
ゾルダはこうデスマスクに答えた。
「狂闘士の連中は見なかったんだな」
「はい、主立った連中は」
「そうか。だがいるな」
「いますか?」
「感じないか、この小宇宙」
真剣な顔になっている。普段の余裕綽々な態度が殆ど消えていた。
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