聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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444部分:第六十二話 マチュピチュへその二
第六十二話 マチュピチュへその二
「大体その地上絵にしてもですよ」
「何をどうやったらあんなにできるんですか?」
「小さな図面を拡大したにしろ」
「あんな昔にそんな技術が?」
なすかの地上絵は俗に小さな図面を拡大してそのうえで描かれたとされている。しかしそれをできるだけの素養が必要であるしまた目的もわかっていないのである。
「何処までも奇怪ですよね」
「本当にここの文明は」
「今我々はそのことについて知ることはできない」
アイオロスの言葉は無念さが込められていた。
「わかるにはあまりにも知る為の手段が不足している」
「ですよね、本当に」
「何もかもが」
「マチュピチュも然りだ」
彼等が向かうその場所もだというのだ。
「あの場所もまた」
「一体何が」
「確かなことはわかっていない」
マチュピチュにしろそうなのだ。インカ帝国の生き残りが最後の拠点としたという説が有力とされている。しかしそれも確かなことはわからないのだ。
「それにだ」
「それに?」
「まだあるんですか」
「インカ帝国といえば黄金だな」
アイオロスは今度はこのことを仲間達に話した。
「このことは知ってるな」
「ええ、エル=ドラドですよね」
「それですよね」
青銅の者達がすぐに言ってきた。白銀の者達もアイオロスのその顔を見る。そしてそれはもう一人の黄金聖闘士であるミロもであった。
「その伝説の黄金郷」
「あの話のことですね」
「そうだ。インカ皇帝はスペイン人達の前にとうもろこしの粒がたたえられたその黄金の杯をひっくり返したうえで言ったのだ。
その言葉こそが、なのだ。
「貴方達が奪った黄金このとうもろこしの零れ出た数粒に過ぎないと」
「じゃあ残りは」
「一体何処に」
「全くわからない」
それもなのである。
「スペイン人達は探し回ったがな」
「しかしわからなかった」
「全くですか」
「インカ帝国は滅んだ」
アイオロスの今度の言葉は絶対の響きを持つものだった。
「そして黄金も何処かに消えた」
「ええ、その黄金も」
「何処かに」
「技術も真実もだ」
それは黄金よりも重要だと。アイオロスは言外に述べていた。
「何もかもが今はわからなくなった」
「これからわかっていくでしょうか」
「それは」
「わかればいいのだがな」
アイオロスの言葉は希望を語るものだった。
「何時かはな」
「何時かは、ですか」
「今じゃないんですね」
「今我々が中南米の文明についてわかることは僅かだ」
そのあまりにも独特で魅力的な文明についてはなのだった。
「本当に僅かだ」
「本当にあれですよね」
「とうもろこしの杯の中の数粒ですよね」
「そういうことだ」
まさにそういうことだった。彼等がわかることはだ。
「案外そういうことなのかも知れないな」
「黄金とは知識のことですか」
「そうとも考えられるってことですね」
「そうも思うのだがな。真実は何もわかりはしない」
結局のところ何もかもが謎なのだった。この文明についてはそうであった。
そんな話をしながら先に進んでいく。するとであった。
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