聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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440部分:第六十一話 対話その五
第六十一話 対話その五
「所詮青銅は青銅です」
「冥皇ハーデスも何か間違えたのでしょう」
「本来の身体は冥界にあるままですし」
「その通りだ。ポセイドンもまた本来の身体をこの世に出してはいない」
男はポセイドンもだと述べた。
「ソロ家の代々の者に憑依しているがな」
「ですから本来の力を出せません」
「我等と違い」
「だからこそあの者達は聖域に遅れを取っているのだろう」
男はそう分析したのであった。
「だからこそな」
「本来の身体と魂が合わさっていればどうということはありません」
「ですから我等は」
「最後に勝つのだ」
敗れるとは微塵も思っていなかった。最後に勝つのは自分達だと信じて疑っていない。自分達の力をそこまで高く見ているのである。
「よいな。今はどの勢力にも介入するな」
「今まで通り」
「このままで」
「これまでは聖域と他の神々が聖戦を行ってもすぐに他の勢力が顔を出してきた」
男はこれまでのことを思い出していた。そのうえでの言葉である。
「それにより我等の地上への統治が遅れました」
「忌まわしいことに」
「しかしこれからは違う」
「はい、全ての勢力が倒れ」
「その最後に」
「我等が出るのだ」
そうだというのであった。
「聖域にもアーレスにも精々潰し合ってもらおう」
「今のうちは教皇であるシオンも健在ですが」
「忌まわしいな」
シオンの存在を耳にして眉を顰めさせる男であった。
「あの男は人にしては力があるだけでなく小才も効く」
「はい、先代教皇セージと同じく」
「ですからあの小才を何とかせねば」
「だが。介入するのはやはり止めておく」
シオンについてもそうだというのである。
「それはな」
「されないのですか」
「あの者についても」
「そうだ。出来ればあの者が戦いの中で倒れてくれればいいのだがな」
これは男の願望であった。とはいってもやはり今は動こうとはしないのだった。
「そうも上手くはいかないか」
「まあことの成り行き次第でしょう」
「それによって」
「ギガンテス達も出て来れば面白いのだがな」
ふとこんなことも言った男だった。
「あの者達もな」
「あの者達は死んだのでは?」
「蘇ったのでしょうか」
「いや、それはない」
それはすぐに否定された。
「神話の時代に滅ぼされたきりだ」
「それではあの者達は」
「出て来ないと」
「テューポーン」
古の異形の巨人の名である。
「あの者もまた封印されている」
「はい、シチリアにいます」
「もう二度と出ることは適いません」
「そうだ。この私の手によってだ」
男がまた誇らしげに述べた。
「だから決してあの火山から出ることはない」
「今だに怒り狂ってはいますが」
「それでもですね」
「その通りだ。あの者達の復活は有り得ない」
男はその可能性を完全に否定してみせた。
「何があろうともな」
「それに古の神々も眠りについております」
「とりわけあの大地の女神は」
「ガイアか」
男の言葉の調子が変わった。何か懐かしい、かつての永遠に戻らない甘く優しい日々を思う出す様な。そうした言葉になっていた。
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