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『残骸』

作者:零那
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『輝き』



いつだったか2人で写真にハマったね。
とにかく綺麗なものを探しては見つけたよね。
其れを残そうとしたんだ。

夕暮れ時の瀬戸内海に浮かび揺れる橙。
里芋の大きな葉に残ったキラリ光る雨粒。
笑顔が溢れる嘘の無い幸せな家族達。
波打ち際に在るピンクやセルリアンブルーの丸くなったガラスの破片。
幼き子の澱みのない無垢で美しい笑い声。

永遠に変らないもの。
此の苦しみ。
輝き在る綺麗なもの。
手に入らない。

物語の様に魔法使いに出逢えたなら何を望む?
君は『管理される側から逃れたい』と言った。
僕は『何が1番の望みか解らない』と言った。

人生という永く永い時間の中。
『生きてくことは学ぶこと』
誰かがそう言っていた。
違うだろう。
『生きてくことは死より深い苦しみに耐えること』
僕はそう捉えている。

綺麗なものが見たい。
汚いものは見飽きたから。


 
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