聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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401部分:第五十五話 痛み分けその五
第五十五話 痛み分けその五
「そうか。カミュがか」
「はい」
シャカがシオンの前に片膝をついて控えていた。そうしてそのうえで彼に対して報告しているのだった。
「ベリアルと分けました」
「そうか。ならばいい」
それを聞いて納得したように頷くシオンであった。
「分ければな」
「それで宜しいのですね」
「そうだ。いい」
あらためていいと答えるシオンであった。
「それでな。今はそれでいいのだ」
「左様ですか」
「シャカよ」
ここまで話したうえであらためてシャカに対して言う。
「今回の戦いではまずは御前には聖域の護りに就いてもらっているが」
「はい」
「やがて御前にも出てもらう時が来る」
厳かな声であった。
「その時まで頼むぞ」
「わかっております」
シャカの言葉は静かなものであった。それと共による肯定の返答であった。
「そのことは」
「そうか。もうわかってくれているのだ」
「問題はです」
今度はシャカから言うのであった。
「これからのトラキアですが」
「トラキアか」
「一つ気になることがあります」
シャカはさらにシオンに対して述べる。
「デスマスクに倒された五人の狂闘士達のことですが」
「死者の顔になかったのだな」
「そうです。デスマスクに倒されたならばです」
このことについてさらに言うシャカであった。そこにこそ何かがあるというのは明らかな言い振りであった。
「その顔が巨蟹宮に出る筈ですが」
「しかしそれはない」
「デスマスクは既に気付いているでしょうか」
「あの男が気付かずして誰が気付くのか」
こう言うシオンであった。
「間違いなく気付いている。あの男も愚かではない」
「はい、その通りです」
シャカにしろデスマスクのことは知っていた。知らない筈がなかった。そしてその評価も決して低いものではなかった。彼を知っているからこそである。
「しかしあえて言いません」
「多くを語る男ではない」
当然ながらシオンも彼のことを知っていた。
「言うべきことはな。あえて言いはしない」
「自分からは中々」
「それを言わせること自体が中々厄介なことだ」
やはりデスマスクのことを知っているのであった。そうしてそのうえで今シャカと話をしている。シャカもまた彼について知っていることを踏まえてである。
「しかしだ」
「しかしですか」
「おそらく黄金聖闘士ならば殆どの者が気付いているだろう」
このこともわかっているシオンであった。
「やはりあえて口には出さないが」
「私もそう見ています」
そしてそう見ているのはシャカも同じだった。彼等はわかったうえで話をしているのである。
「やはり狂闘士達は」
「死んではいる」
それははっきりと感じ取っているシオンであった。
「だが」
「だが、ですか」
「そうだ。しかし冥皇ハーデスは死した狂闘士達を蘇らせている」
シオンはこのことも知っているのだった。
「そしてアーレスもだ」
「有り得ますか」
「先のアーレスとの聖戦ではその話はなかった」
「はい、それは確かに」
「だがあれからアーレスは冥界に逃げ込んだ」
彼は言うのだった。
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