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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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390部分:第五十三話 氷の妙技その七


第五十三話 氷の妙技その七

「この攻撃は。避けられるかしら」
「そしてかわせたとしても」
 四人目はシルクであった。
「私がいるのよ。受けなさい!」
 彼女が叫ぶと巨大な木の蔦が次々と雪原の中から出て来た。そしてそれぞれ複雑な動きを示しそのうえでカミュに突き進むのであった。
「ウッドウィップ!」
 技の名前を叫ぶ。四人の攻撃が一度にカミュに襲い掛かる。
 そして最後の一人であった。クレーベが今。己の周りにいるその亡者達に対して告げるのであった。
「行け!」 
 こう命じた。
「そしてアクエリアスを冥府に連れ込むのだ。ヘルズダンス!」
 冥府の亡者達はわらわらとカミュのいる方にそれぞれ向かいその爪と牙で引き裂かんとする。今五人の攻撃がそのままカミュにぶつかろうとしていた。
 しかしであった。ここでカミュは。この技を放ったのであった。
「フリージングコフィン!!」
「何っ!?」
「そこでその技を使うというの!?」
「どういうことだ?」
 五人はカミュが今その技を使ったのを見て声をあげた。
 すると忽ちのうちにカミュの周囲を氷の障壁が守り。それに触れた羽根や亡者、それに蔦や水までもが次々に凍てつきその動きを止めたのであった。
「ちっ、やばい!」
 それを見て接近攻撃を仕掛けていたボーイもすぐに飛び退いた。それにより氷にされることから避けて見せたのであった。まさに間一髪であった。
「危ないところだったぜ」
「そうね」 
 彼に対してシルクが応える。
「あと一歩で、だったわ」
「それで我々の技を防ぐとは」
 クレーベはカミュのそのフリージングコフィンを見て言うのだった。
「アクエリアス、予想以上か」
「いや、予想以上ではない」
 カミュはここでこうクレーベに対して返してみせたのだった。
 そしてそのうえで。こう言った。
「私はそれより遥か先を読んでいる」
「先をだと?」
「そうだ。見るのだ」
 言いながらだった。今まさに右手の人差し指を回してみせた。するとだった。
「くっ」
「これは」
「カリツォーだ」
 その氷の輪で狂闘士達を動けなくしての言葉だった。氷の輪は彼等の腰と両腕を捉えそのうえで動きを完全に防いでみせているのだった。
「私のこの技のことは知っている筈だが」
「ふん、その通りだ」
「この程度ならっ!」
 狂闘士達はそれぞれ力を込めてみせた。するとそれだけで氷の輪は壊れて消えてしまった。しかしその時既にカミュはあらたな攻撃に移っているのであった。
「何っ!?」
「もうだというの!?」
「言った筈だ」 
 カミュはここでまた言うのだった。
「私は御前達のさらに先を読んでいるとな」
「くっ、アクエリアス」
「そこまでとは」
「受けるがいい」
 今まさにその技を放とうとしていた。そのうえでの言葉だった。
「この技をな」
 言いながら右腕を出し。その技を繰り出すのだった。
「ダイアモンドダスト!」
 氷の輪を断ち切ったばかりの彼等に対して今技を放った。動きをそこに集中させていた彼等に今の攻撃をかわすことはできなかった。
 吹雪が彼等を襲い一瞬のうちに吹き飛ばしてしまった。そしてそのうえで。彼等を倒してしまっていたのであった。
「ううう・・・・・・」
「まさかそう来るとは」
「アクエリアス、ただ攻めるだけではないのか」
「無論だ。氷はただ攻めるだけではない」
 倒れ伏し雪の上で事切れようとする彼等に対しての言葉であった。
「この様にして。凍らせることもできるのだ」
「そうなのか。それで」
「我等を倒したと」
「そういうことか」
「安らかに眠るがいい」 
 その彼等に告げた言葉であった。
「いいな」
「怖ろしい男・・・・・・」
「これ程度までとは」
 今五人は雪の上で事切れた。カミュもまた敵を倒したのだった。しかし彼の戦いはこれで全て終わりではなかったのであった。
「来たか?」
「わかっていた筈だ」
 既にレダが来ていた。そのうえでカミュに対して告げてきたのである。
「次に私が来ることはな」
「確かにな。それではあの時の続きだな」
「そうだな。だが」
 レダはここで言葉を付け加えてきた。
「一つ言っておく」
「何をだ?」
「狂闘士は同志の仇は必ず討つ」
 彼がここで言うことはこのことだった。
「アクエリアス、貴様もだ」
「そういうことか」
「言うことは。それだけだ。では」
 その全身に赤い小宇宙をみなぎらせる。そのうえで。
 今二人の闘いがはじまろうとしていた。両者は睨み合ったまま最初にそれぞれの小宇宙を高め合いそのうえではじめようとしているのであった。
「私が予想していた以上の小宇宙だな」
「侮ってもらっては困る」
 こう返すレダだった。
「八大公の一人である私をな。侮ってもらってはな」
「そうだな。御前達八大公もまたセブンセンシズに目覚めていたな」
「その通りだ。それもまた見せよう」
 レダの今の言葉は完全に本気のものであった。
「今ここでな」
 氷と炎の激突であった。今まさにカミュとレダはそれをぶつけ合おうとしていた。北での戦いはいよいよ佳境に入ろうとしていたのであった。


第五十三話   完


                 2009・9・13
 
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