聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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386部分:第五十三話 氷の妙技その三
第五十三話 氷の妙技その三
「それがこの私なのよ」
「そうだったな。アガリアレプトはそうした魔神だな」
「そして」
レティーナはさらに言うのであった。
「ただの参謀ではないということも覚えておくことね」
「ただの、か」
「アガリアレプトもまた魔神の一人」
今度はその魔神ということを強調してきた言葉であった。
「戦うこともまたするのよ」
「だからこそ今こうしてここにいるというのだな」
「ジェミニ、貴方を倒す為に」
サガを名指しさえしてきた。
「今ここにいるのよ」
「ではレティーナ」
リュートが彼女に声をかけてきた。
「仕掛けるとしよう」
「ええ。それじゃあ」
「行こうよ」
クリフも応える。そうして彼等はまずは飛び上がるのであった。
「飛んだか」
「アガリアレプトは空を舞う魔神の一人」
サガの上に舞いながら上を見上げてきた彼に告げるレティーナだった。
「そして私達もよ」
「我等全員」
「空を舞う魔神なんだよね」
彼女だけでなくリーリエとリュート、クリフも言ってきたのであった。見れば彼等は確かにその背にあるそれぞれの翼の形の戦衣を使うか様に空を舞っていた。それはさながら赤い翼であった。
「だからこそ、ジェミニ」
「空を飛べない貴方をここから倒す!」
「私が空を飛べないというのか」
サガは彼等のその言葉に対して反応を見せた。
「何時誰がそう決めた」
「戯言を」
リュートは今の彼の言葉を聞いて嘲る笑みを浮かべた。空を舞いつつ彼の隙を徐々に窺いながら。
「今そうして地にいることが何よりの証」
「その通りだね」
クリフも言うのであった。確かに今サガは雪原の上に立ったままである。白い世界にその黄金の聖衣は何よりも目立っていた。
「それとも飛べるというのかい?翼がなくても」
「飛べるといえばどうする」
こう彼等に返すサガであった。
「その時はどうするのだ?一体」
「では飛んでみせるといいわ」
レティーナもまた彼がそんなことができるとは夢にも思っていなかった。何故ならサガに翼がないのは明らかであるからだ。それでどうして飛べるかというのである。
「そうしたら信じてあげるわ」
「わかった」
レティーナのその言葉に頷くサガであった。そうして。
「では参ろう」
「何ィ!?」
「何ですって!?」
狂闘士達はそのサガを見て驚きの声をあげた。何と彼はそのままの姿勢でゆっくりと空中に浮かびだしたのである。
そのまま悠然と彼等の前にまで来た。翼は使っていないがそれでも宙を舞ってみせたのである。
「ど、どういうことなんだ!?」
「これは一体」
「セブンセンシズを使えばどうということはない」
驚く彼等に対してこう告げるサガだった。平然とした顔で。
「宙を舞うことも他の技を使うこともな」
「ま、まさかこれも黄金聖闘士の技のうちだというの!?」
「セブンセンシズの」
「その通りだ。どうやら御前達はセブンセンシズについてあまり知らないようだな」
サガは完全に己のペースで話すのだった。
「それを使えば。宙をこうして舞うことも造作もないことなのだ」
「くっ・・・・・・」
「まさかこんな」
「それではだ」
今度は歯噛みした彼等に対して告げたサガだった。
「行くぞ」
彼は言うのであった。
「このジェミニのサガの技、受けてみるのだ」
「くっ、その前に!」
だがレティーナはサガが動こうとしたところで他の三人を見つつ声を出した。完全に流れを掴まれてしまったがそれでも臆してはいなかったのだ。
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