聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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375部分:第五十一話 黒い炎その五
第五十一話 黒い炎その五
「貴様等がそれ以上先に進むことはできない」
「戯言を!」
「この程度の嵐で我等が!」
「見よ」
しかしカミュはここでまた言うのだった。
「この嵐でだ。貴様等の脚がまず」
「な、何っ!?これは!」
「我等の脚が!」
そうなのだった。冷気により凍結してしまい。そのうえで雪原に縛り付けられてしまっていたのである。恐るべき冷気であった。
「こ、これがダイアモンドダストだというのか」
「その冷気で我等の脚を」
「そしてだ」
カミュはさらに告げてきた。
「この冷気はさらに貴様等を覆っていく」
「くっ、おのれ・・・・・・」
「冷気が上半身にまで・・・・・・」
「これでは」
「眠るがいい」
そしてカミュは最後にこう告げた。
「この雪原で安らかにな」
最後に残ったのはインプ達の数だけの氷の彫像だった。彼等はまたしてもカミュの手によって氷の中に閉じ込められてしまったのであった。
だが戦いが終わってもカミュの表情は鋭いままであった。その鋭い表情でまだ姿を現わしていないその男に対して告げるのであった。
「貴様が出てもいい頃になった」
「ふふふ、その様だな」
「その声は!?」
「貴様は!」
カミュの後ろにいる青銅の者達はその声でようやくわかったのだった。
「ベリアルのレダ!」
「やはり貴様か!」
「どうやら私が来ることは予測していたようだな」
そのレダは聖闘士達の前に出て来た。そうしてそのうえで不遜な笑みを浮かべて告げてきたのであった。
「既にか」
「貴様ならば来ると思っていた」
カミュは普段通り落ち着き払った声でレダに返すのだった。
「必ずな」
「そうか。必ずか」
「最初は予測しただけだった」
カミュはまたレダに対して告げる。
「しかしだ」
「しかし?」
「小宇宙もまた感じた」
それもだというのである。
「貴様のその疑いようもない禍々しい小宇宙をな」
「黄金聖闘士が相手では私も小宇宙を隠せるものではないということか」
「それとも隠すつもりだったのか」
こうも返すカミュだった。
「それだけ禍々しい強大な小宇宙を放っておいて」
「隠しておくつもりだったのは事実だ」
だがレダはこう言うのだった。
「それはな」
「しかし私に対しては無駄なことだ」
カミュの声もまた有無を言わせぬ響きがそこにあった。
「逆に考えて私が隠れていても貴様は見つけ出すな」
「私に対してはどの様な謀も通じぬ」
レダは口の右端を歪めさせてそれを笑みとして言ってみせた。
「そしてアクエリアス、貴様程の小宇宙ならばすぐに察する」
「それと同じだ。だからこそ私にもわかったのだ」
「互いに伯仲した実力者同士だからこそ察することができる」
こうした表現にもしてみせるレダであった。
「そういうことだな」
「そういうことになる。それではだ」
カミュの言葉に剣が宿った。それはまさに氷の剣だった。
「ベリアルよ、この度は何を仕掛けてきた」
「何を、か」
「貴様は謀を巡らす男」
既にのこのこともわかっているということだった。
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