ラブライブ! コネクション!!
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Track 2 受け取るキモチ 繋げるミライ
活動日誌11 きっと・セイシュンが きこえる! 2
そして、これは後日談になるんだけど――
s を LL に変えた意味は別にあるんだって。
s は1つなのに L は2つにした理由。
スクールアイドル μ's は、去年お姉ちゃん達3人で始めた活動だ。そして、最初なんてほとんど応援する人もいなかった。
それが完敗のファーストライブなんだけど。
だけど9人が集まって、全員で頑張ってきたおかげでラブライブ! の頂点に輝き――彼女達の周りには沢山のファンの想いが集まった。
その想いを新しいユニットでも引き継ぐと言う気持ちのユニット名。
最初は自分達だけのSサイズの想いだったものが、みんなから送られた夢と想いによって膨らんで――今ではLサイズでは入りきらないほどの、LLサイズの夢や想いが、自分達には集まっているのだと思っている。だからLLにした。
そして、自分達の活動する目的にはスクールアイドルの大会――Love Live! がある。
去年はその大会のおかげで自分達は成長できたし、頑張ってこれたんだと思っていた。そんな感謝と新たなる挑戦と新しい出会いを願って――頭文字を取ってLLにしたらしいのだった。
あと、小文字にしなかったのはラブライブ! もあるのだけど――単に小文字よりも大文字の方が見栄えが良いからでもあるんだって。
まぁ、見栄えは大事だよね? なんてね。
♪♪♪
「……それでね?」
「「「……はい」」」
「これは、別に強制じゃないんだけど……3人のユニット名も考えたから、参考程度に聞いてほしいんだけどね?」
「「「えっ?」」」
拍手がおさまるのを見計らって、花陽さんは私と亜里沙と涼風を見ながら言葉を紡いだ。
私達が返事をすると、笑顔を浮かべながら私達のユニット名も考えていたことを告げる。私達は驚いて花陽さんを見つめたのだった。
すると花陽さんは無言で真姫さんに目配せをしていた。花陽さんの目配せを受けた真姫さんは、再びノートに文字を書き始める。
真姫さんは書き終えて私達を見ると――
「私達が音と坂を使った訳だけど……貴方達には木を使ってほしいと思ったの。そんな意味を込めて……Dream Tree なんてユニット名を考えてみたのよ?」
優しい微笑みを浮かべて言葉を紡いだのだった。
ドリームツリー。直訳すると『夢の木』ってこと。私は瞬時にアノ曲を思い出していた。
私と亜里沙が入部届を提出した日の昼休み――音楽室を訪れた際に真姫さんが弾き語りをしていた μ's のアノ曲。
アノ曲の歌詞に何度か使われている夢の木――そこに真姫さん達の託した想いが感じられたのだった。
お姉ちゃん達のユニット名 μ'LL は、天上から舞い降りてきた女神が地上で音楽を降り注ぎ続ける坂。
そんな坂から降り注がれた音楽を私達、夢の木が託されて、注がれて、大きく育っていく。
そして大きくなった私達の夢の木は、やがて大きな想いをつけるだろう。
その実に込めた音楽と言う歌をみんなへ与えていく――お姉ちゃん達から私達に託された想いを、私達が繋いでいくミライ。
私達に名付けた Dream Tree には、そんな意味があるのだと思っていた。
それは私だけじゃなくて、亜里沙と涼風も同じことを思っていたようだった。
3人とも μ's を見続けてきたんだから、真姫さん達が伝えたいことは理解できるんだと思う。だって、お姉ちゃん達は私達にそんな想いを伝えてきたんだから。
そんな言葉に出さなくても伝わった想い。私達を想って、考えてくれた名前。
私達が断る理由は何もない。
私達は3人で見つめ合い、無言で頷くと――
「Dream Tree を使いたいです!」
「――えっ! ……ほ、ほら、参考程度に話しただけなんだし……もう少し考えても良いのよ?」
「大丈夫です! みんなで決めましたから……」
「「…………」」
「うん、それじゃあ決まりだね?」
代表で私が答えたのだった。その私の答えに慌てて言葉を返す真姫さん。
どうやら2つのユニット名とも真姫さんの考えた名前だったらしい。だから即決されたことに責任を感じたのかな? なんてね。
だけど私達の答えは変わらない。
この2つのユニット名が、一体どんな想いで考えられたのか――もちろん真相は聞いていないのだから違うのかも知れない。
でも私達には、私達の考えた真相が真姫さん達の心意なんだと確信していた。
それだけスクールアイドルを愛しているから。それだけ音楽を愛しているから。それだけ音ノ木坂学院を愛しているから。そして、それだけ――
スクールアイドル μ's を愛しているって知っているから。だから私達の答えに変わりはないのだった。
私はみんなで決めたと真姫さんに伝えると、亜里沙と涼風を見つめる。2人は私に笑顔を浮かべて頷いてくれた。
そんな私達を見つめて納得の笑みを溢すと、花陽さんは笑顔で決定を切り出すのだった。
花陽さんの決定に全員が笑顔を浮かべて、またもや拍手が部室内を包んでいた。「もう少し考えて?」と言っていた真姫さんも、拍手を送り始めたメンバーを見つめて、一瞬だけ苦笑いの混じった呆れ顔を浮かべていたけど――すぐに笑みを溢して拍手を送ってくれていたのだった。
そんな拍手が響く部室内。そう、この時点から――
お姉ちゃん達 μ'LL と私達 Dream Tree と言う、2つのユニットが音ノ木坂学院に誕生した。
まだ誰も知らない2つのユニット。だけど数日もしない内にライブが開催されるんだ。
この、真姫さん達が考えてくれて、託してくれた Dream Tree と言うユニット名――
私は今日から Dream Tree の高坂 雪穂なんだ。
それは、もう私達が無名の少女ではないってこと。
だけどその名に恥じないくらい、自分達で頑張らないと、いつまでも無名なのと同じなんだ。
そして託された想いがある以上、簡単に諦めたり挫けたりは出来ない。
この名前には大事な使命があるのだから。
私は、その意味を深く受け止めながら全員の顔を眺めていたのだった。
♪♪♪
私はお姉ちゃん達を素直に追いかけてきた。もちろん、亜里沙と涼風も同じだと思う。
ただ身近な存在にいたからとかじゃなくて、全てを知って、楽しさだけじゃない苦しさも知った上で――勇気を持って追いかけてきたんだ。
いつかお姉ちゃん達と同じステージに立ちたい――そんな私達の小さな願いが明日を作ったんだと思う。
不安は沢山あるけれど、できるかもって思える。
だって、亜里沙も涼風も――そして、お姉ちゃん達も望んでいるなら!
だから、誰よりも頑張っちゃえ!
とにかく、心に芽生えている情熱のままに!
私達が目指すのは、お姉ちゃん達の立つステージへと繋がる――綺麗な、暖かい風が吹く道。
私達には今と言う羽が与えられた。お姉ちゃん達に近づける為の希望の羽。
だからその羽を広げる様に腕を上げて。お姉ちゃん達が待つ、お姉ちゃん達が見てきた――輝かしくて、まぶしい未来へと飛ぶんだ!
飛び出せば、飛び続けていれば――きっと、いつか私達の心には青春が聞こえるだろう。
その瞬間に聞こえるだろう――今しか感じられない、今だけの大切な想いを奏でる光景を。私達が笑顔でいれば、いつだって聞こえてくるから大丈夫!
きっと、いつか私達の心には青春が聞こえるだろう。
その瞬間を私達も見てみたい――となりには亜里沙と涼風がいて、そんな嬉しい景色を見たい。
きっと、私だけで見るものでもないし、お姉ちゃん達でもない――私達は Dream Tree と言うスクールアイドルなんだ。
だから、となりには亜里沙と涼風がいて、3人で素敵な景色を見ていたいんだ!
それが私の青春なのだから。
♪♪♪
こうして、私達のファーストライブとユニット名が決まった。
まだまだやることは山積み状態だし、不安が大きくなるだけだ。
そもそもファーストライブは学院で開催されるんだけど、私達の目標はラブライブ! なのだ。
ラブライブ! を目指す以上、今以上の努力をしていかなければならない。
元より、私達の目指すべき場所がお姉ちゃん達である以上、それは当然の話なんだ。
だけど私には亜里沙と涼風がいる――そして、お姉ちゃん達だっている。
絵里さん達、卒業生がお姉ちゃん達に託したように。
お姉ちゃん達が花陽さん達に託したように。
そして、花陽さん達が私達に託した想いや願い――
私達にはそうやって繋がれてきた想いや願いが受け継がれているのだった。
これが歴史ある国立音ノ木坂学院の校風――生徒の自主性を重んじる意味を深く受け止めた生徒達が大切に育まれてきた繋がりなのだろう。
だけど受け継いだ以上――私達は次へと繋いでいく義務がある。
受け継いだ想いが輝きを失わないように、願いの意味が損なわれないように。
受け取ったキモチをミライへ。
自分達の力で繋いでいけるように。
私達は与えられた Dream Tree と言うユニット名を心に刻みつけて、明日からの練習を頑張ろうと決意するのだった。
=Track 2 → Track 3=
後書き
Comments 花陽
とりあえず、ライブとユニット名が決まって……本格的に活動開始な感じだよね?
私達のユニット名と雪穂ちゃん達のユニット名。
どちらも真姫ちゃんの案だったけど――
私と凛ちゃんだって、ちゃんと考えていたんだよ?
だけど、真姫ちゃんのユニット名が良いって思ったからコレに決めたんだよ。
……本当だよ?
でも、真姫ちゃんの想いが伝わったみたいで良かった――
うん。雪穂ちゃんの考えたことで合っているからね?
これからは、ライブに向けて忙しくなると思うけど――
お互いユニット名に恥じないように頑張ろうね?
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