ラブライブ! コネクション!!
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活動日誌7 ぼくらのライブ・きみとのライフ! 2
「お待たせーっ!」
「遅くなりました」
「お疲れ様ぁ」
「「「お疲れ様ー」」」
「「「お疲れ様です!」」」
「……あっ、あなたが新入部員の……えっと?」
「た、高町涼風と言います。よろしくお願いします!」
「涼風ちゃんかー! よろしくね?」
「よろしくお願いします」
「よろしく、涼風ちゃん」
花陽さん達が意見を出し合っていると――
屋上の扉が開いて、練習着に着替えたお姉ちゃん達が現れた。
さすがにお姉ちゃん達が来たのに座っているのも変な話だし、立ち上がって出迎えることにした。
すると、お姉ちゃんは涼風に気づいて彼女に声をかける。
声をかけられた涼風は緊張しながらも、お姉ちゃん達に挨拶をしたのだった。
「では、早速ですが……真姫?」
「そうね? じゃあ、1年生はコッチに集合して?」
海未さんの声かけに真姫さんは納得すると、私達に声をかけながら歩きだす。
海未さんも真姫さんと一緒に歩きだしたので、私達も後ろをついていくのだった。
遅れるってだけで、今日も練習に来るのを知っていたのか――
練習に来た時点での話だったのかは知らないけど、2人はこれからのことを話し合っていたみたいだった。
屋上へ出る扉の前方辺りが、普段お姉ちゃん達が練習するスペースらしい。
今はお姉ちゃんとことりさんが花陽さん達と合流する為に、ストレッチを開始している。花陽さんと凛さんはさっきの練習をやめて、ダンスの基礎練習を始めていた。
そして、校舎内へ入る階段室の壁面が唯一の日陰になる為に、そこにレジャーシートが敷かれてある。その上にタオルだったり飲み物が置かれているのだった。
その階段室を横切り、ちょうどお姉ちゃん達とは反対のスペースに私達は集まった。
「では、まずはダンスの基礎を教えます。とは言え、私の知るダンスでしかありませんが」
海未さんが私達に告げる。そこからはダンスの基礎を真剣に教わったのだった。
私達で試行錯誤しながら自分なりの練習メニューを考える。
確かに、そうは言ったけど――
正直、ダンスと歌に関しては基礎がない状態だからね?
それこそ出来ることと言えば、お姉ちゃん達のダンスを見よう見真似で踊って聞いたとおりに歌うことしか出来ないから。
それでは、いつまでたっても応用なんて出来ないのだ。
だって、基礎の理屈がわからなければアレンジなんて出来ないじゃん!
試行錯誤したくても、理屈がわからない部分を下手に変えたら良いものにはならない――思い通りの良いものなんて作れる訳がないんだ。
だから基礎を教えてもらえるのは凄く嬉しかった。
そう思って教えを受けていたんだけど、どうやら涼風はダンスを相当やっていたらしい。まぁ、本人も言っていたから知ってはいたんだけどね?
でも、海未さんに一通りの基礎を教えてもらって、確認の意味で海未さん達の前で実際に踊ってみたんだけど――私や亜里沙とではレベルが違って見えた。
それを見ていた海未さんは――
「けっこう出来るのですね? 基礎もしっかり身についているようですし……これなら3人で練習を始めても大丈夫でしょう」
微笑みながら、涼風を褒めていたのだった。
それを聞いた涼風は恥ずかしそうに――だけど嬉しそうな表情を浮かべて顔を赤らめていた。
私も自分のことのように嬉しくなった。隣にいた亜里沙も満面の笑みをこぼしていたから同じなんだろう。
海未さんが認めたと言うこと。それは私達にとって大きな一歩になるから。
もちろん、ダンスに関して涼風に全部押し付ける訳じゃないよ? でも色々教われるってこと。当然、部活以外の時間でも!
自分達だけでダンスの知識を吸収していけるってこと。成長できるってことなんだ。
身近にダンスが出来る人がいるのは、お姉ちゃん達と一緒じゃなくても私達だけで練習が出来るんだから。
いつかは自分達だけで意見を言い合える――そんな花陽さん達のような関係も築いていけるんだろう。
改めて、涼風が入部を決意してくれたことを感謝しながら彼女を見つめていたのだった。
「さてと……それじゃあ、次は私の番ね?」
海未さんが役目を終えて、真姫さんに目配せをしてから、お姉ちゃん達の方へ歩きだすと――今度は真姫さんが私達の前に立った。
まぁ、ずっと海未さんの隣にいたんだけどね? 一応、ダンスのサポートをやってくれていたし。
「次は歌……と言うより、発声の練習ね?」
そう言いながら、発声の練習が始まった。
歌は普通に歌えるって思っていたけど――考えが甘かったって素直に思えた。
確かにカラオケには良く行くし、歌の練習だってしていた。
だけど基礎を教わると全然違っていることに気づく。
何て言うんだろう――音の捉え方って言うのかな?
歌ってさ? どうしても音の連なりになるから1音をしっかり意識しないんだけど――
発声って1音1音をしっかり捉えないとダメだから、ちゃんと意識するよね?
そうすると音の持つ役割って言うのかな? そう言うものが何となく感じられる気がした。
きっと、ピアノを弾いて作曲もしている真姫さんだからこそ、感じることだったんじゃないかな?
そんな風に思えたのだった。
♪♪♪
「……まぁ、こんなところかしらね? 一応、基礎は教えたから……あとは貴方達で自分なりの練習を見つけると良いわ?」
「「「はいっ! ありがとうございました!」」」
「それで――もし貴方達だけで練習をするんだったら、コッチのスペースを自由に使ってくれてかまわないから」
「「「ありがとうございます!」」」
「でも、そうね? 今日は、もう帰っても良いわよ? 私達はまだ練習していくけど、私達に付き合う必要もないんだし……さすがに初日は疲れたんじゃない?」
「「「…………」」」
「……まぁ、帰ってしまうでも良し……どこかで練習メニューを話し合うでも良し。自由に決めなさい?」
「「「はい」」」
基礎を教わり、ちゃんと覚えたことを確認すると――
真姫さんは今後コッチ側を練習スペースとして使って良いことを告げると、もう帰っても良いと言ってくれた。
私達は無言で苦笑いを浮かべていた。
正直な話、まだ居残って練習が出来るほどの体力なんて残っていないから。
とは言え、基礎を教わったばかりで帰ってしまうのは気が引けるんだよね?
ほら、お姉ちゃん達が練習するんだったら見ているのも勉強になるしさ?
自分達で練習メニューを考えて別行動で練習をするとしても、やっぱり部活動な訳だし?
疲れたから帰るって言うのも後輩としてどうなんだろうって感じていたから。
それを察してくれたのか、苦笑いを浮かべて、私達で帰るなり話し合うなりすることを薦めてくれていた。
たぶん、残らないで済む理由を作ってくれたんだろう。
真姫さんは私達が了承すると、微笑みを浮かべて自分の練習に戻ろうとしていたのだけど――
「……そうそう、貴方達に伝えることがあったわ」
そう言いながら私達の方へ振り返った。
そして、微笑みを浮かべると――
「別に急いで作る必要はないのだけど……貴方達3人で1曲作詞してみなさい? 出来たら私が曲を作ってあげるから、持ってきて?」
そんなことを告げたのだった。
えっ? 作詞ですか?
私達3人は驚いて顔を見合わせていた。
だって今日初めて3人で活動したんだし、まだまだ練習メニューを模索している――いや、してもいないんだけど。
そんな状態で、もう作詞ですか?
そう感じていたのがバレたのか、真姫さんは苦笑いを浮かべて――
「別に、急がなくても良いわよ? それに1人1曲じゃなくて、3人で言葉を繋いで1つの曲を作れば良いんだから……自分達の曲の方が、色々活動する面で優位だと思うし、誰かの曲よりも自分達の曲の方が練習も楽しくなると思うわよ?」
優しく伝えるのだった。
確か、お姉ちゃん達の曲――
去年の第2回ラブライブ! の最終予選で歌ったアノ曲。
そう、私達受験生の為に実施された音ノ木坂の学校説明会のあった、大雪の降り続けていた日。
ステージのイルミネーションが白から――大サビに突入する瞬間にオレンジに変わった感動的なアノ曲。
アノ曲は、お姉ちゃん達スクールアイドル μ's のメンバー全員で言葉を繋いだ――全員で作った曲だったのだ。
そんな全員の言葉を繋いだ、まさに雪の光に照らされた結晶のような曲だから――
見ていた私達全員の心も繋がれ、そして照らされたんだろう。なんてね。
あれは希さんが望んで発案したことだったみたい。
まさに、希さんの望み――希望だったんだね?
いや、別にダジャレが言いたかった訳じゃないから!
と、とにかく、そんな風に私達にも全員で作ることの楽しさや絆を感じてほしくて言ったことなんだと感じていたのだった。
♪♪♪
とりあえず私達は、お姉ちゃん達に挨拶をして、先に帰らせてもらった。
とは言え、帰りに3人でファストフード店に寄って、これからの話をしていたのだった。
今日の練習を踏まえて、私達で出し合っていた結論。
意外なことに3人とも同じ答えが揃う。
それが――
お姉ちゃん達と一緒に練習をすると言うことだった。
あっ、別に自分達で考えるのが面倒だからじゃないよ? ただ、今日お姉ちゃん達と一緒に練習をしてわかったこと――
今の私達が、自分達だけで練習をしても何も始まらないんだと思った。
だって基礎練習に付いていくのが精一杯なのだから。
そんな状態では自分達の練習なんて偉そうに言える訳がない。
まずはお姉ちゃん達と同じ練習メニューを対等にこなす――レベルの問題ではなくて体力的な面で。
それが出来てから初めて自分達の練習をすることが出来るんだと思った。
第一、基礎を覚えたと言っても――どんな方向に進んでいくのかは見当がつかないもん。
悪い方向だとしても、すぐに修正が出来ないのでは時間が無駄になるからね?
涼風がダンスが出来ると言っても、お姉ちゃん達の方が的確な指示が出せると思う――別に涼風が出せないって話じゃなくて、ね?
より高度なレベルで指示がもらえるって意味だから。
お姉ちゃん達だって――海未さんが指導していたダンス練習を、絵里さんに教えて欲しくて頼んだのだから。
自分たちの向上には必要なんだと思う。
私達はお姉ちゃん達から教えは請わない。
だけど、お手本や参考にはしたいし――的確な指示や意見は嬉しいと感じている。
だったら、近くで一緒に練習をするのが1番だと思ったのだった。
そもそも? 自分達のスクールアイドルを目指すと言っただけ。
スクールアイドル μ's に入らないと言っただけ。
だから、完全に独立した活動を始める必要はなかったんだよね?
同じスクールアイドル研究部。一緒に練習をすれば良かったんだと考え直したのだった。
その上で自分達だけの練習を増やしていけば良かったんだ――今日の花陽さん達みたいに。
そんなことを全員が感じていたから、同じ答えになったのだろう。
♪♪♪
お姉ちゃん達と一緒に練習をすることについて、特に理由は聞かないし誰も話さなかった――
ううん、答えなくて良いんだよね?
みんな、わかっているんだから――
胸にえがいた場所は同じなんだから。
その代わり、私達は自分たちの見続けてきた憧れについて語った。
今、同じ場所にいる――
いつか私達も憧れを抱いてもらえるようになりたい――いや、絶対になるんだ!
そんな譲れない2人の――
ううん、私も含めた3人の瞳の煌きを見て――
やっぱり、この3人なんだって強く感じていた。
とにかく、今日から私達3人の活動が始まったんだ。
この先、さまざまなことが起こるかも知れない。
躓くこともあるかも知れない。
だけど、思い付きでも良いから追い続けたい。
こころ踊る場所を、見つめ合える嬉しい冒険の道のりを。
私達の今が!
亜里沙と涼風との生活が!
こうして幕を開けたんだ!
私は心の中で、お姉ちゃん達が9人になって初めて歌ったアノ曲を口ずさむ。
私達の笑顔はどこまで届くのだろう?
それはわからないけど、私は亜里沙と涼風と一緒に届けていきたいと強く思った。
これから始まる――
私達3人の偶然と言う名の希望の欠片を集める冒険の始まりに胸を躍らせながら――亜里沙と涼風と私。
3人で、これからの活動について話し合っていたのだった。
後書き
Comments 亜里沙
お疲れ様、雪穂。
涼風ちゃんから渡されたので読んでいるよ?
Tシャツは、ハラショーだったよ。でも良いなー、穂乃果さんとお揃い。
私はサイズが合わないから、お姉ちゃんの練習着は着れないから。
でも、制服のリボンはお姉ちゃんから貰ったんだけどね。
練習凄かったよね? 疲れたよね?
家に帰ったら気づいたら寝ちゃっていたよ。
これからも、よろしくね?
一緒に頑張ろっ!
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