| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ラブライブ!サンシャイン!!~千歌キチとAqoursの夢の軌道~

作者:高田黒蜜
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第1話:彼が眺めたいモノ

僕は、6時間の授業を終えると速攻で教室を抜け出す準備をする。
帰りのSHR後に、1秒でも早くお嬢を迎えるためだ。

「千歌、準備はできたかい?」
「うん!一緒に帰ろ♪」
「ああ、行こうじゃないか」

許嫁とともに帰路に立つ。もちろん、手を繋いで。
柔らかな、そして心安らぐ温もりが手を通じて、全身へと伝わる。
僕の手?ヌメり気ハンパない。手汗はとりあえず死ね。

「ご、ごめんな?僕、手汗すげェから……」
「気にしないよ、君と一緒にいれるだけでそんなこと考えられなくなるもん」

クシャッという表現がまさしく合っているような笑顔を見せ、2人を繋ぐ鉄錠はより強いものとなる。
こうして僕達は、他の生徒が見る中でバージンロードを築き上げながら自宅へと向かったのだった────



──────



──だったらよかったのに………


今、僕は。


「これくっそ重いんだけど!アホじゃねぇの!?」
「ほら、つべこべ言わず動く!」

絶賛雑用中なう。これは酷い。青春の"せ"の字もねェ。むしろ奴隷だろ、彼女持ち(理想)の僕にはあまりにも相応しくない状態だと思うのだが?なァ?

「もっと青春っぽい放課後の過ごし方があるよなァ……」
「まーたそんなこと言って、さっきまで張り切ってたくせに」
「それとこれはちげぇよ……今頃千歌は何してるかなァァはァァァァ……」
「溜息が大きいないちいち!!練習でしょ、こっちも頑張らないとほら!」
「あーうん……わかってはいるんだけどねェ……千歌……」
「相変わらずの千歌一筋ね……正直すごすぎて引くわ……」

そこら辺理解していただけてるなら、僕が持っている大量の機材をどうにかしてくれませんか?千歌の笑顔見たいお……僕、死んじゃいます!自分で言ってなんだが、気になります!よりタチが悪いぞ。あと見たいおって何だよ。キモオタじゃねぇか。

「よっこらせ…野鷹ー、ここに置けばいい?」
「おっけー。僕もやっと運び終わったし、あとの2人も呼んで休憩いれっか」
「あー……さっき買い出しに行ったから私たちだけで先に入っておこうか」
「む。了解」

約1時間ぶっ通しで働いたからな。正直言って、動きを止めると眠さが出てくる。普段あんま運動しねぇからな……
500mlペットボトルに僅かに残っていたお茶を飲み干し、広い体育館の真ん中に座る。
つーか、ここを人で埋め尽くせだなんて新理事長も無理を言いやがる。全校生徒が来ても埋まりきらない上に、ここは都会様と違って生憎のドが付くくらいの田舎だ。人も少ないし、そもそもスクールアイドルが何かっていうことさえわかっていない人が多いだろう。

「にしても、一番文句言ってるのに一番働いてるよね、野鷹って」
「急になんだよ。働くことに一番も何もねぇよ」
「作業の指示を出してるのはあなただし、音響やライトの借り出しをしたのもそう。あなた以外の3人は、少なくとも野鷹が一番やってると思ってるよ」

僕の慣れていないことランキングトップと言ってもいい奴が来た。褒められるのすっげぇ苦手なんだよなァ……というか僕は。

「──僕は無我夢中でやってただけだ。千歌がやりたいって言い出したことなら、僕はそれを粉骨砕身の精神でサポートする。
それと、あいつは今までにあんなに一つのことに熱中したことがなかった。それは僕もだ。だから、僕も同じくらいには最低でも熱中して、あいつの横に立っていけるようにしたい。千歌が見た世界を、見ていきたいんだ。あいつの夫を名乗る以上は、これくらいのことは簡単にやってのけないとな」
「……ホント、深すぎるくらいの愛だね」
「当たり前だ。この世で1番千歌を1番好きでいるのは僕だって自負してる」
「その言葉、案外間違ってないかも。あ、でも同じくらい千歌が好きな子、1人思いつくわ」
「は?誰だそいつ、ちょっと僕の前に召喚しろ。この目で然と確かめてやる」
「え、気づいてないの……あなたの身近にいる人だと思うんだけど」

ガチで思い浮かばないのだが……見つけたら即刻品定めしてやるからな。絶対僕の方が上だ。

「そろそろ切り上げっか。さーて、まだまだやることだらけだなァ」
「粉骨砕身して頑張るんでしょ?」
「おいやめろ、あれ自分で言ってても死ぬほど恥ずかしいからな」
「いやいや、かっこよかったですぞ?」
「茶化すな」

そう言ってむつの頭を軽く叩く。まあ、ああ思っているのは紛れもない事実なのだが。
確かに、目の前に立ちはだかる壁は大きいかもしれない。この場所でスクールアイドルをやるということ、続けるということ自体が大きな壁なのかもしれない。

でも、それならその壁を壊せばいい。倒せばいい。壁は壊せるもの、倒せるものなのだから。μ’sという、偉大な先輩が言っていたように。

僕はその先に広がる景色を見たい。千歌と共に────そして、僕と同じように千歌と共に歩んでいく者たちと共に。Aqoursと共に見るためにも、ここで僕が頑張らなければならない。

「──準備、とっとと終わらすか」
「そうね、頑張ろ」



──────



僕が帰りに寄った場所。ここは内浦の砂浜。ここでいつもあの3人は練習しているわけだ。まだ部活動として認められていない以上、なにかしら場所を見つけて練習しなければならない。千歌の自宅である旅館・十千万も近いし、バス停もすぐそこにあるから練習するにはもってこいの場所なのだ。あと地面が安定していないため、ライブで激しい動きをするのに必要な筋肉も自然と鍛えられる。スポーツ選手がよく砂浜トレーニングをするように、砂浜は脚を育むためによく使われる。
今日も、Aqoursの3人──いや、今日はまだ2人か。曜が水泳部のほうに顔を出しているため遅れると言っていたが、千歌と梨子は迫る本番に向けて着々と力を付けようとしている。


んじゃ、行きますか。



「千歌ァァァァァァ!!」
「うわぁっ!!……なんだー、孝紘くんかー!今日もお疲れ様♪」
「驚かせてすまなかったね、2人も練習お疲れさん」
「……これ、曜ちゃんに見られたら殺されるわよ」
「知ってた。てか曜がいたら絶対やらない」
「んぇ?なんで?」

千歌、世の中にはよくわからないものっていうのが存在するんだよ……と言うと、首を傾げてポケーとしてしまった。なにこのかわいい生物。とりあえず僕と一緒に家庭を作ろう。後ろから抱きついたときに言われたお疲れ様で疲れも吹っ飛んだし、やっぱり僕は千歌の笑顔と声がなければ死んでしまう病気だ。
嫁の温もりを感じながら脳内カルテを記入していると、梨子がスマホの画面をこちらに見せて話しかけてきた。

「野鷹くん、ここのステップをちょっと見てほしいんだけど、どうかな?」
「お、合点承知の助だ。任せろ。どれ……」

ダンスは僕と曜がベースを作って、そこに千歌と梨子の意見を取り入れながら細かい動きなどを決定していくスタンスである。そしてそれを実践して、流れの悪いところは修正、ただ単に動きがズレているなら本人に直してもらうという具合だ。
元々音楽に精通していた梨子や、体を自分の思っている通りに動かすのが得意な曜はあまりズレることはないのだが、千歌は今までこういったものの経験があるわけでもなく普通の生活を送ってきた女子高生なので中々上手くいっていない。
実際今回も、

「千歌がやっぱりズレてるかな。50分の1秒くらいだけど」
「またかぁー!!うぅぅ……本番まであとちょっとなのに……」

落ち込むマイエンジェルにドンマイと一声かけてると、猛ダッシュで迫る奴が一人。即座に千歌から自分の体を引き離す。
やめろ、来るな。

「遅れてゴメン!渡辺曜、ただいま到着しました!」
「はいうるさい。Go back」
「なんて無慈悲な……よーし今から練習するぞー!!」
「は?もう暗いし帰りたいのですがあの」
「そうだね!もうちょっと練習してから帰ろうか!」
「うん、やろう!!」

嫁が言うなら仕方ない。もう大分暗いし帰りたいけど、もう少し練習しようじゃないか。

「変わり身早すぎだよぉ~……あ、ちょっと千歌ちゃん!曜ちゃん!」
「よーし行くぞー!全速全身ヨーソロー!!」
「コスプレ系脳筋は黙ろうね」
「こ、コスプレ系脳筋……?」
「のうきんってなあに?」
「ああ、脳筋っていうのはね、曜みたいな脳みそが筋肉でできてる人間のことだよ」
「そ れ ど う い う 意 味 ?」
「ほらこうやっていつも喧嘩になるじゃない!野鷹くん、謝らないと……」

おっと、これはまずい状況だな。下手したらガチギレされそうだ。
じゃあ謝り──────ませーん!!煽れるところまで煽ってやるからな銀髪野郎。

「どういうってそういうだよ。ほら、千歌を見てみなさい。こんなにも女子女子してるっていうのにお前は……うん、なんかかわいそうになってきたからごめん」
「それじゃ逆効果じゃ……ひぃ!?」
「孝紘くん、ちょっとこっちきな。今すぐ青空jumping kickかましてあげるから」
「なにそれよわそー。ヨーソローだけにヨーワソーってか」
「あーもうマジで許さない、ぶっ飛ばす」
「2人とも落ち着いて!」
「はい。曜落ち着きな。姫が申しておる」
「だから変わり身はやすぎなんだよこの千歌キチド変態!」
「んなッ……変態じゃねぇっつのこの脳筋水泳女!!」────



まあこの日は結局言い争って終わったとさ。後で千歌に「もうっ!ダンス担当2人がしっかりしてくれないと練習できないでしょ!!」って怒られた。ごもっともです、即座に土下座した。梨子からも「野鷹くんが煽るのが大体原因じゃない」って言われたけど、それは納得いかねェ。あいつが悪いだろほとんど。
にしても怒ってる千歌かわいかったなァ……嫁の表情を今後収めていくためにも、一眼レフが必要だな。仕方ない……貯金全部引き出して買うしかないか……
 
 

 
後書き
※今回の後書きは下ネタ要素が強いので、見たくない人はブラウザバック推奨。

おい変態。何が変態じゃねぇだよ。大嘘じゃねぇか。
「いや、夫人の写真を撮ることの何がいけないのです?」
そもそもまだ恋人ですらねぇじゃねぇかよ。それただの盗撮だからな。あとその写真何に使うんだよ。
「もちろん観賞・保存だが」
おまわりさん、ここです。
「待て待て待て!!変態っていうのはアレだろ、その写真使って夜のセルフサービスとかする奴のことだろ!僕は違うからな!!」
なんだよ夜のセルフサービスってただのオナn
「はいアウト!それ以上言うな!!垢BANされたらどうすんだよ!」
……それもそうだな。で?お前は本当にそういうやましいことには使わないわけ?
「当たり前だろ。したこともないし、する予定もない。好きな人の画像でそういうことする奴の気が知れないね」
観賞・保存でも十分アウトだと思うんだが……まあ万歩譲って許すわ。
「ああ……よかった……危うくこの話が主人公逮捕オチという最悪の結末を迎えるところだったぜ」
ところでさ。
「ん?」
俺はお前はてっきり千歌をオカズにしてるとしか思ってなかったんだけど、本当は何で抜いてるの?
「えっ」
いやだからさ、何で抜いてるのって話だよ。
「聞こえてるわ!理解もしてるわ!!な、なんでそんなことに答えなくちゃいけねぇんだよ!?」
じゃあ聞き方を変えるわ。お前、本当に千歌で抜いたことないの?
「…………」
おい誰か110番!
「だから違うっつってんだろうがァァァァァ!」
何が違うんだよ!無言は肯定なんだぞ!
「さっきと聞いてることが違うじゃねぇか!さっきは『"千歌の写真を使って"シたことあるのか』って聞いてたくせに、今度は『千歌でシたことあるのか』って聞いてきたじゃねぇか!」
……あー、言われてみれば。
「だろ!?だから僕はなんの問題もない!」
はぁ……なんか色々察したからいいよ……お腹いっぱい。
「いや聞いてきたお前が……うん、僕もお腹いっぱいだわ」
じゃあさ、どんな妄想をして抜いt
「絶対満腹じゃねぇな!?まだ腹5分目にもいってねぇな!?」
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧