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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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351部分:第四十八話 幻影の罠その三


第四十八話 幻影の罠その三

「そのうえでアーレス様が戻られればだ」
「そうです。我等の勝利はなったも同然です」
「この地上は我等のものとなります」
「では今はあの者達は動かさぬ」
 この決断を下したエリスだった。
「よいな」
「有り難き御言葉」
 己の意見を容れられたリーヴェは満足した面持ちで答えた。
「それではそのように御願いします」
「今は封印を解くことに専念する」
 あらためて告げるエリスだった。
「それにかかるのだ」
「はっ」
「それでは」
 その指揮にあたる八大公達の返事だった。
「そうします」
「それでは」
 これで話は決定された。八大公達は再びエリスの言葉に頷く。このようにして今現在の彼等の行動が決定されたのであった。
 だがそれでもエリスの言葉は続く。彼女はさらに八大公達に対して告げるのだ。
「そしてだ」
「はい」
「次は何でしょうか」
「聖域にいる黄金聖闘士は十一人だったな」
「左様です」
「その通りです」
 エリスのその言葉に答える八大公達だった。
「今はライブラ以外の者が聖域にいます」
「アクエリアスが出陣していますが」
「だが十一人か」
 このことをあらためて確認するエリスだった。
「残る一人のライブラじゃが相変わらずか」
「この状況でも動きません」
「やはり。あの五老峰に留まったままです」
「ハーデス様の軍勢の監視を続けておるのじゃな」
 既にこのことは知っているエリスだった。話を聞いてすぐにこう述べるのだった。
「今だに」
「その通りです」
「我等がこのトラキアに現われようとも動きません」
「我等を無視するというのか」
 エリスはまずその可能性を考えた。
「もしや」
「そうではないと思いますが」
「ですが小宇宙はこちらには向けられておりません」
「そうじゃな」
 伊達に神ではない。エリスもまたその小宇宙のことはよく感じ取っていた。神である彼女が黄金聖闘士とはいえ人に過ぎない彼の小宇宙を感じない筈がないのだ。
「それは感じぬのう」
「やはり今聖域にある黄金聖闘士の小宇宙は十一」
「それに教皇のものがあるだけです」
「教皇は先のアリエス」
 エリスはまた言った。
「あの者は我等を常に見ておるな」
「常になのですか」
「そうじゃ。気をつけることじゃ」  
 エリスの言葉は警戒するものであった。その警戒する言葉で八大公達に対して告げたのだ。
「あの者は常に我々を見ておるぞ」
「そうだったのですか」
「それは」
「気付かぬのも道理じゃ。あちらもあえて気付かれぬようにしておる」
 シオンはそうしているのだと。既に見抜いているエリスだった。
「我等の動きを常に見ておるのじゃ」
「だからこそ迅速に動いてくるのですね」
「我等を見ているからこそ」
「そういうことじゃ。あの者も先の聖戦、ハーデス様との戦いでの生き残り」
 このことはあまりにも有名であった。シオン、そして童虎は先の聖戦で僅かに生き残った者達なのだ。彼等の他は皆壮絶な戦死を遂げたのである。
「あの者の小宇宙はじゃ」
「どれ程に達するというのですか」
「若しかするとじゃ」
 こう前置きしてからまた述べるのだった。
 
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