ドラゴンクエストⅤ〜イレギュラーな冒険譚〜
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第五十九話 会議
前書き
そろそろ六十話になると思うと感慨深いです。
ドラクエⅤスマホ版買いたいですけど金がないんですよね。
「さて、皆様が揃った所でこれより会議を始めます。皆様、まずはこちらをご覧ください」
オジロンさんは部屋の奥に取り付けられた世界地図を指した。
彼が指している方を見ると、そこはサラボナだった。
「ここサラボナで光の教団の講演会が行われており、尚且つそこで石化したアベル王の目撃情報がつい先日ありました。これは世界有数の大商人であるルドマン氏の長女、デボラさんからの情報です。その後我々グランバニアは、デボラさんを通じてルドマン商会に光の教団のキャラバンについて調査するように依頼しました。今回の会議の内容はその調査結果について話し合い、今後についての方針を決める事です。先ずは調査結果の発表です」
商会の人達が立ち上がり、発言した。
「私達の調査の結果、光の教団のキャラバンはラインハットで講演会を行った後、ビスタ港からの船に乗船しポートセルミまで移動した後そこからサラボナに向かい講演会を行い、ポートセルミに戻った後今度はテルパドールに向かった事がわかりました」
「テルパドールからはキャラバンの足取りは掴めなかったのですかね?」
オジロンさんがそう質問した。
「キャラバンの足取りはテルパドールを境に足取りが掴めなくなりました。申し訳ございません」
「そうか……」
まぁ、何せあのゲマが居る組織なのだから、仕方ないといえば仕方ない。
「ですが、調査の結果様々な事実がわかってきました。今からそれを発表します」
「うむ」
「彼らは講演会を開く事で信者を増やしているようです。信者募集に伴い怪しげな様々な物品を売りつけている事実も明らかになりました。又新たに入会した信者の中の大多数は平民が多かったですが、幾人か富豪や商人も信者になっている事がわかりました」
「なるほど。富豪や商人を信者に引き込む事で資金面で援助させる気か」
「そして一番重要である事実がわかりました」
「何?」
会議室の全員の視線が使者に集中した。
使者は緊張か、汗を流しつつも手に持った紙の内容を読み上げた。
「キャラバン自体の足取りはテルパドールで途切れているものの、彼らが販売していた物品は幾人かが買い取りました。その買い取られた物品の中にアベル王がいたとの事です」
その情報に全員が衝撃を受けたのがわかった。
「本当ですか?もし本当ならその買い取った人物は誰ですか?」
私は思わず、使者にそう問いかけていた。
「買い取った人物はドガとボガ。両名共無職。調査によると彼らはアベル王の石像を買い取った後それをオークションに出品して転売したとの事です。これは飾っているだけで幸せを呼ぶ石像だと、光の教団の謳い文句をそのまま石像を売るために利用したようですね。落札者はブルジオという富豪で我がルドマン商会ともそれなりの繋がりがありますね」
これらはとても有意義な情報だ。
私は思わず興奮して、無意識のうちに手を固く握りしめていた。
「そうか、報告ありがとう。さて、次はこちらからの報告です」
「研究の結果石化させられた人間を元に戻すには『ストロスの杖』と呼ばれる古代の杖を使えばいいという事がわかりました」
古い本を持って、そう言うのはマーリンだ。
「又『ストロスの杖』があるのはここ、『最果ての祠』と呼ばれる場所にあるという事もわかりました」
マーリンは、世界地図の北の大陸の先端を指した。そこがどうやら『最果ての祠』の場所らしい。
その後何回か話し合いをした結果、ストロスの杖の探索とアベルの石像の回収を並行して行う事が決定したところで会議は終わった。
私が片付け、部屋を出ようとしているとオジロンさんが話しかけてきた。
「いや、良かったですな。アベル王がどこにいるか場所の目処がついて」
「そうですね。何もわからないよりはいいかと思います。でもビアンカの安否が不明で、アベルの石像の回収や石化解除も首尾よく行くとは限らない以上手放しでは喜べませんね」
「ううむ。その通りですな」
確かにアベルがどこにいるかはわかったから嬉しいけど、ビアンカの手がかりは全くと言っていいほどなかった。
デボラにも聞いてみたところ、見たのはアベルだけでビアンカはいなかったらしい。
アベルの情報をこうして入手できるのにもこれ程の時間がかかったのに、ビアンカはより多くの時間をかけなくてはならない。
それを考えると、少し気が重くなった。
*
会議が終わり、廊下を歩いているとレックスとタバサに出会った。
「先生!お父さんとお母さんの事何かわかりましたか?」
「取りあえず、お父さんの行方はわかったわ。お母さんは……残念だけどまだ何もわからないわ」
まだ幼いこの双子にこんな事を言うのは心苦しかったけど、私はアベルとビアンカの子供を育て導く人間だ。
だからこの子達には包み隠さず言わなければならない。
「そうですか……」
タバサが少し沈んだ声で言う。
そのタバサの様子をを見て私は胸に棘が刺さったかのように感じた。
「でも、お父さんはどこにいるかわかったんだよね?だったらきっとお母さんも見つかるよ!僕はそう信じてる」
笑顔でタバサに言ったのはレックスだった。
双子の兄としての責任感からか、レックスはタバサが落ち込んだり悲しんでいたりするとこうやって励ましている。
「そうね。きっとあなたたちのお母さんは見つかるわ」
そして、ビアンカが見つかるのを信じているのは私も同じだ。
だから、レックスがこう言ってタバサを励ましているのを見ると自分も励まされているような、そんな気持ちになるのだ。
「後もう一つ、良い事があるわ。お父さんとお母さんを元に戻す方法が見つかったのよ」
「やったねタバサ!」
「うん、お兄ちゃん」
はしゃぎだす双子達を少しの間、微笑ましげに見た後私はある事を切り出した。
「お父さんとお母さんを元に戻すには『ストロスの杖』っていう杖が必要で、それは『最果ての祠』という所にあるんだけどーー」
「ーーあなた達一緒に来ない?その『ストロスの杖』を回収する旅に」
それを聞いて、しばらく2人は驚いた表情のまま固まっていた。
「確かに驚くのも無理はないと思うけど、でもレックスは勇者でタバサは勇者の妹としてどの道戦わなくてはいけないわ。だからせめてあなた達に早めに経験させておきたいのよ」
私が言い終わると、真っ先にレックスが言った。
「僕いきます!だって僕は勇者ですから!」
続いてタバサが、
「私もです!私は勇者じゃないけれど、でもお父さんやお母さんを助けたい!」
思わず笑みが溢れた。
全くあの2人の子供らしい。
「じゃあ決まりね。旅に出るのは今すぐというわけじゃないけど、あまり時間はないからこれからビシビシ行くけどついてこれる?」
「「もちろんです!」」
「わかったわ。じゃあ改めてよろしくねレックス、タバサ」
「「よろしくお願いします、ミレイ先生」」
そしてその翌日の授業の終わりにいつもの倍の宿題を出したら、レックスが若干涙目だった。
悪いけど我慢してレックス。私だって昔はそうだった。
そう思いながら、私は胸の中でレックスにエールを送ったのだった。
後書き
ストロスの杖の場所どうしようっかなーとは考えていたんですが、最果ての祠にあるということにしました。
元々最果ての祠は学者が一人いるだけで話しかけても太陽の冠の情報が聞けるだけなのですが、仲間会話でサンチョ(でしたっけ?イマイチよく覚えてません)がストロスの杖の情報もここで聞いたと言っていたのを思い出したのでだったらストロスの杖の場所をここにしてしまえとなりました。
ちなみにゲームでは『祠』と名前がついている割には小屋ですが、この小説ではれっきとした『祠』です。
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