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Three Roses

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第十六話 姉妹が会いその五

「そして新教に傾いている国を旧教に戻し」
「断としてですね」
「もうそこから変わるべきではありません」
「だからこそですね」
「マイラ様ならばそれが出来ます」
「はい、それはです」
 司教はオズバルト公の強い言葉に答えた。
「私も同感です」
「左様ですね」
「はい、しかし公爵は」
「何でしょうか」
「異端審問には反対ですね」
「法皇猊下のお考えは私なぞにはわかりません」 
 オズバルト公は法皇そして法皇庁には深い敬愛の念を抱いている、それは強い信仰もあり揺るぎないものになっている。
 しかしだ、異端審問についてはこう言うのだ。
「ですが彼等は」
「お好きではないですか」
「品性のよくない者が多いと見受けます」
「それ故にですか」
「司教殿は使われたい様ですが」
「公爵としては」
「この国に入れること自体が」
 そもそもというのだ。
「よくないかと。王国の者も多いですし」
「異端審問官は国を問いませんので」
「生まれた」
「法皇庁自体がそうですし」
「そのこともありますし」
「公爵はこの国はこの国の者のものとお考えですね」
「はい、出来れば他の国の者はです」
 こう言うのだった、実際に。
「入れるべきでないと思っています」
「それ故にですね」
「異端審問にしてもです」
「そうですか、ですが」
「新教のこれ以上の拡大を抑える為にも」
「私は彼等を入れたいのです、ですが」
 それでもとだ、司教はオズバルト公にさらに話した。
「彼等の勝手にはさせません」
「それはないですね」
「はい」
 全く、という言葉だった。
「このことはご安心下さい」
「彼等はすぐに暴挙に走りますが」
「罪のない者を異端、異教徒と決めつけてですね」
「拷問にかけ火炙りにします」
「それは事実です」
 実際に異端審問官達はそういうことをするとだ、司教も認めた。
「実際に。ですが」
「それでもですか」
「彼等のことはわかっています」
 知っている、だからこそというのだ。
「それで、です」
「抑えることはですか」
「出来ます。私は以前教皇庁にいましたね」
「ではその時に」
「彼等を見てきましたので」
「知っているのですね」
「個々を見れば」
 異端審問官達をだ。
「それぞれ弱みもありますので」
「その弱みを握ったりもして」
「抑えられます」
「左様ですか」
「ですから」 
 だからだというのだ。
「彼等についてはお任せ下さい、そして」
「そしてとは」
「私からも公爵にお話したいことがあります」
「と、いいますと」
「はい、マイラ様をお護り下さい」
「軍で、ですか」
「公爵は元帥でもあられるので」
 軍の高官でもあるからだというのだ。 
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