動かざること
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第三章
「動いてないわよ」
「そっち方面にはね」
「それこそ全然ね」
「そうみたいよ」
「わかったわ」
ここまで聞いてだ、リカは頷いた。
「それじゃあね」
「動くのね」
「あんたがそうするのね」
「ここは」
「やってみるわ」
こう言ってだ、そしてだった。
リカは実際にだ、マイチャンをだ。
こっそりと学校の校舎裏、誰もいない場所に呼んでだ。告白した。マイチャンは彼女の告白を笑顔で受け入れた。
こうしてマイチャンは彼女を得た、リカと楽しい時間も過ごす様になった。友人達はその彼にこうしたことを尋ねた。
「何か自然にな」
「彼女出来たな」
「告白を受けてな」
「何か普通にな」
「動かなかったのにな」
「だって下手に動いても」
ここでマイチャンは彼等に笑って言った。
「変に思われるじゃない」
「ガツガツしてるとかか」
「女の子にばかり興味あるとか思われて」
「女好きだと思われる」
「だからか」
「実際ね、自分から告白して」
そうしたことをしてもというのだ。
「失敗したらどうかな」
「ああ、それな」
友人の一人が言った、今彼等は学校帰りに出店でお茶を買ってそのお茶をそれぞれ飲みながら話をしている。
「俺コクったことあるよ」
「どうだったの、それで」
「駄目だったよ」
苦い顔でだ、彼はマイチャンに答えた。
「本気で好きだったけれどな」
「そうだったんだね」
「中学の時な、そうしたけれどな」
失敗してとだ、彼はマイチャンにさらに話した。
「振られてその振った奴があちこちに笑って言い触らしてな」
「おい、それ酷いな」
「最悪の展開だろ」
「そんなことする女かよ」
「最悪な女だな」
友人達もその話を聞いて眉を顰めさせた。
「振っただけならまだしもな」
「それから笑って言い回るとかな」
「そんな女付き合わない方がいいぜ」
「付き合っても碌なことにならないぜ」
「ああ、俺も今はそう思うさ」
彼もこう返した、苦い顔で。
「告白ってのはリスクでかいんだよ」
「そう、僕もそう思うよ」
マイチャンも言う。
「そのことはね」
「自分から動いてか」
「変に思われたり失敗してか」
「ダメージ受けるよりも」
「動かない」
「その方がいいのか」
「うん、それで嫌な目に遭うよりもね」
それよりもというのだ。
「動かない方がいいと思ったからね」
「相手が来るのを待つ」
「そうしたんだな」
「それでリカちゃんの告白を受けた」
「そうだったんだな」
「これはっていう相手が来るのを待っていたんだ」
これまでの自分自身のことを話した。
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