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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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275部分:第三十八話 牛の角その六


第三十八話 牛の角その六

「そうだ。そしてその生贄に求められるのは子供だった」
「子供だって!?」
「何てこった」
 皆それを聞いてさらにその顔を顰めさせた。
「とんでもねえ奴じゃねえか」
「何なんだよ、それはよ」
「信者達はモロクを形どった巨大な金属の像の中に炎を燃やし」
「炎を」
「そしてその中に子供達をってわけかよ」
「それにより多くの子供達が生きながら焼かれた」
 それがモロクへの崇拝だったのだ。生贄への。
「その断末魔の悲鳴を打ち消す為に太鼓が叩かれた。凄まじいまでにな」
「ちっ、そんな野郎かよ」
「とんでもねえ奴じゃねえかよ」
「これは言い訳になるが」
 ドーマはその彼等の言葉を聞いて述べるのだった。
「俺は生贄なぞ望んではいなかった」
「ふざけるな!」
「現に貴様の為に多くの子供達が犠牲になったんだぞ!」
 青銅の者達はこう言って彼を批判する。
「それで何でそんなことが言えるんだ!」
「事実だろうが!」
「確かに事実だ」
 ドーマもそれは認める。
「俺は生贄は欲してはいなかった。そしてそれは今もだ」
「そうだな」
 彼のその言葉に頷いたのはアルデバランだった。
「貴様はそうした者ではない」
「タウラス、貴様にはわかるのか」
「わかる」
 彼はドーマを見据えてはっきりとした声で答えるのだった。
「貴様から感じられる小宇宙は確かに禍々しい」
「禍々しいか」
「狂闘士の小宇宙だ。しかし」
「しかし。何だ?」
「そこには邪悪なものはない」
 こうドーマに告げるのだった。
「決してな。それはない」
「それでわかったのだな」
「そうだ。貴様は生贄なぞ欲してはいなかった」
 アルデバランだからこそわかる、まさにそうしたことだった。
「貴様が欲しているのは力。そうだな」
「その通りだ」
 まさにそれだというのだった。ドーマ自身も。
「俺が求めているのはそれだけだ。豪の力だ」
「そうだったな」
「だが。生贄の者達の心は忘れてはいない」
 ドーマの言葉がここで変わった。
「俺の為に死んだ者達の心はな」
「!?こいつまさか」
「生贄なぞ望んじゃいなかったっていうのか?」
「そうだ」
 アルデバランはドーマ自身の言葉を聞きいぶかしむ彼等に対して告げた。
「その通りだ。狂闘士といえど決して邪悪な者ではない」
「俺が欲するものは二つだけだ」
 ドーマは堂々として言い切ってきたのだった。
「一つはアーレス様が治められる世界だ」
「まずはそれか」
「アーレス様こそがこの世を治められるのに相応しい御方」
 如何にも狂闘士という言葉だった。
「だからだ。我等はその為に戦っているのだからな」
「だからこそなのだな」
「そしてだ。もう一つはだ」
 彼はさらに言ってきた。
「力だ」
 これだというのだ。
 
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