聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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274部分:第三十八話 牛の角その五
第三十八話 牛の角その五
「それじゃあそれで」
「出来るだけ水を使わずにですね」
「そういうことだ。それではだ」
アルデバランは食べ終えるとそのティッシュで手を拭くのだった。
「食べ終えたならば拭いてくれ。いいな」
「はい、それじゃあ」
「それで」
青銅の者達は彼等の言葉に応える。そうしてそのうえでドーナツとコーヒーを楽しんでいた。暫く食べているとだった。前にいたモーゼスとアルゲティがアルデバランに言ってきた。
「!?アルデバラン様」
「前に」
「わかっている」
アルデバランはすぐに言ってきたのだった。
「ならばだ」
「敵ですね」
「狂闘士。来ましたね」
青銅の者達もその表情を一変させた。
「どうやら」
「案外早かったですね」
「全員出るぞ」
アルデバランは次にこの言葉を彼等に告げた。
「いいな、すぐにだ」
「はい、わかってます」
「それじゃあ」
彼等はすぐに車から出た。出た時には全員聖衣をその身に纏っている。とりわけアルデバランは黄金聖闘士の証の一つであると言ってもいいマントさせその身に纏っていた。その姿で車から出て戦闘態勢に入っているのであった。既に戦う気に満ちていた。
「狂闘士だな」
「そうだ」
車の前に立っていた巨人がアルデバランの問いに答えてきた。
「俺のことは知っているな」
「無論だ」
アルデバランは鋭い声で彼に返した。
「八大公、モロクのドーマだな」
「如何にも」
男はアルデバランを見据えて答えた。
「タウラスよ、久し振りだな」
「そうだな。貴様が来るとはな」
「八大公モロクのドーマだと!?」
「この男がそうだというのか」
アルデバラン以外の聖闘士達は彼の言葉を聞いてその顔を一斉に険しくさせた。既に戦う気に満ちていたがそこにある警戒の色がさらに強まっていた。
「狂闘士達の頂点に立つ八大公の一人」
「この男がか」
「それだけではない」
モーゼスはとりわけ驚きを隠せない青銅の者達に説明してきた。
「モロクとはどういった魔神か知っているか」
「モロク!?」
「いや」
彼の問いには青銅の者達は誰も答えられなかった。
「そういえばだ。一体どんな魔神なんだ?」
「かなり位が高いのはわかるけれどな」
仮にも八大公である。位が低い筈がないのはわかることだった。これについては最早説明不要と言ってもいいことであった。
「しかし。どんな奴なんだ?」
「ゲヘナがどうとかっていうのは聞いたけれどよ」
「多くの魔神達がそうだったようにモロクもかつては崇められていた」
モーゼスはいぶかしむ彼等に対してまずはそこから話すのだった。
「そのゲヘナの地でな」
「何だよ、神様だってのかよ」
「ってことは」
「その通りだ。モロクはかつては神だった」
魔神ではなく神だったのだ。そういうことだったのだ。
「しかしだ。その加護の見返りに生贄を要求していたのだ」
「生贄!?」
「そんな神だったのかよ」
青銅の者達は生贄と聞いて顔を曇らせた。それは彼等にとっては最も忌むべきものの一つだった。彼等聖闘士、そしてアテナにとっては。
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