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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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261部分:第三十七話 砂漠においてその一


第三十七話 砂漠においてその一

                    砂漠において
 闇の中で。今彼はいた。
 そこにあるのは闇だけだった。音も何もない。ただ無限に広がる虚空の中に彼はいた。
 しかし彼は孤独ではなかった。その無限の闇の中にふと。彼に声をかける者がいたからだ。
「元気か」
「叔父上か」
 若い男の声だった。しかも端整であり張りもある。その声で応えていた。
「何用だ」
「貴殿に仕える者達が今必死に動いている」
「そのようだな」
 男の声はそれを聞いて微笑むのだった。
「どうやらな」
「嬉しいか?」
 声はまた楽しそうに男に問うてきた。
「そのことが。貴殿の為に動いているということが」
「嬉しくない筈がない」
 男の声は微笑んでいた。
「それがな」
「そうか。やはりな」
「私の愛する者達だ」
 そして今度は愛とも言うのだった。
「その者達が働いてくれているのだ、私の為にな」
「そして貴殿が欲する世界の為にだ」
「そして私はそれに応える」
 男はまた言った。
「必ずこの世界から出る。叔父上」
「うむ」
 話をさらに続けていく。
「今までのこと礼を言う」
「礼には及ばん」
 それはいいとするのだった。声の主は。
「こちらとしても貴殿の世は臨むことだ」
「だからか」
「戦いがあればそれだけ多くの死す者が出る」
 声は笑っていた。
「それは私にとっても非常に有り難いことだからな」
「死者は叔父上のもの」
 男はこうも言った。
「そしてこの世は私のものとなる」
「お互いにとって実に素晴らしいことだ」
「しかしだ」
 だがここで男はふと声に対して己の声をかけてきたのだった。
「叔父上に一つ聞きたいことがある」
「何だ?」
「叔父上も地上を欲しているのではないのか」
 こう彼に問うのだった。
「違うか。それは」
「私がか」
「叔父上は過去幾度もアテナと聖戦を経ている」
「その通りだ」
 そのことは隠しはしないのだった。声もまた。
「それがどうかしたか」
「叔父上もまた地上を欲しているということだな」
 男はそのことを問うのだった。
「違うか。それは」
「だからどうだというのだ?」
 声はそのことを隠そうともしなかった。
「それで。どうだというのだ」
「先に奪った方がということか」
「貴殿の信条ではないのか」
 声は楽しそうな含み笑いと共に男に問うてきた。
「それは」
「力か」
 男は声が何を問いたいのかわかっていた。だからこそすぐに応えることができたのだった。
「力こと正義ということだな」
「力を持つ者が全てを手に入れる」
 声はまた言ったのだった。
「そうだったな」
「そう、その通りだ」
 声はまた楽しそうに笑いながら応えてきた。
 
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