聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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260部分:第三十六話 四つ目の戦場その七
第三十六話 四つ目の戦場その七
「いいな。それでな」
「ですがそれは聖闘士としてあまりにも」
「そうです」
チクとグリーザがここでアルデバランに告げてきた。
「そんなことではなりません」
「その通りです」
「我等もまた死力を尽くし」
「戦わせて頂きます」
「それはいいのだ」
アルデバランは今度はニコライとブリットの言葉を受けたがそこにも何かを含んでいた。
「それはな」
「宜しいのですか、それは」
「では」
「しかしだ。決して無理はするな」
それでもこのことを何度も念を押して告げるアルデバランだった。
「決してな」
「では」
「命を賭けよ」
これはいいとする。
「しかしだ。命を粗末にはするな」
「?仰る意味がわかりませんが」
「どういうことですか?」
「言葉はそのままだ。命は粗末にするな」
いぶかしむ青銅の者達に対してまた告げるのだった。
「決してな。よいな」
「はあ」
「粗末にするなですか」
彼等はアルデバランの言葉の意味がどうしても理解できなかった。
「命は賭けても」
「粗末にするなとは」
「アルデバラン様、それは」
「どういうことですか?」
白銀の二人もそれはわかりかねた。それで彼等もまたいぶかしむ顔になりアルデバランに対して問うのだった。問わずにはいられなかった。
「いずれわかる」
「いずれですか」
「では今は」
「少なくとも俺は御前達を死なせるつもりはない」
彼の本音であったがそれでもそこにあるものを理解できるのは六人の聖闘士の中にはいなかった。やはりいぶかしむばかりであった。
「それはわかっておけ」
「そうなのですか」
「死なせるつもりはない」
「それは有り難いのですが」
このこと自体は、であった。
「ですがアルデバラン様」
「我等も聖闘士です」
このことを忘れてはどうにもならない。彼等が聖闘士だからこそその誇りがあり全てがある。だからこそ忘れることはないのだった。
「それから外れることはありません」
「そう、決して」
「それもまたわかっている」
アルデバランはあくまで彼等の言葉を受けていた。しかも正面から。
「では。そのうえでだ」
「はい、イラクに」
「今こそ」
六人全員で述べる。そしてだった。
「狂闘士達を倒しましょう」
「あの地で」
「うむ。では行くぞ」
今アルデバランが最初に一歩を踏み出した。
「戦場にな」
「はい、それでは」
「我等も」
今七人の聖闘士達が戦場に足を踏み出した。そうしてそのうえで戦いに向かう。四度目の戦いが再びはじまろうとしているのだった。
第三十六話 完
2009・5・31
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