SAO~円卓の騎士達~
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第七十六話 攻略大成功!
~アーサー side~
アーサー「行ったか。」
サクラ「だね。」
周りの奴等はユウキ達が中に入ったことで一旦俺達への攻撃を止めた。
アーサー「さーて、アンタ等はどうする? デスペナ覚悟で戦うか、帰るか。 因みに、退くなら今のうちだぜ。 ここから先の戦いは退路断たせて貰うから。」
「ぎ、ギルドの面子潰されてノコノコ帰れるかよ! お前ら、行くぞ!」
リーダーらしいサラマンダーの男がそう言う。
アーサー「あっそ。 んじゃ、アリス、ユージオ頼むわ。」
次の瞬間、相手の隊の後ろの空間が凍り付いた。
巨大な氷の壁が通路を塞いだのだ。
ついでに敵のメイジ隊も。
方法はユージオの氷属性最上位魔法『アブソリュート・ゼロ』の絶対零度の冷気をアリスの風属性上位魔法『サイクロン』で巻き上げ本来は地面から相手を少しずつ凍らせるところを一気に空間ごと凍らせる。
数ある合体魔法の中でも特に威力が高く、今のところ五種類しかない『厄災魔法』に分類された『アイス・エイジ』だ。
アーサー「言ったろ? 退路は断つって。」
「ふ、ふざけやがって!」
アーサー「ふざけてる、だと? どの口がそう言うんだ!? テメェ等マナー違反までしてボス攻略してたんだろうが! しかも先にボス攻略しに来た奴等の邪魔までしやがって!」
「ぐっ、」
アーサー「もういい。 お前ら徹底的に潰す。 死に戻りした後お前らのギルドマスターにそう伝えておけ。」
そう言って三本の剣を構える。
一番前に居たサラマンダーのリーダー格の奴を一撃で倒す。
続けてその後ろに居た二人を倒す。
「こ、こいつ!」
背後からの攻撃を尻尾の剣でパリィする。
それをすかさずサクラが倒す。
「か、囲め!」
その声に反応した二十人ほどのプレイヤーが周りを囲むが、
アーサー「サクラ、伏せろ。」
回転すると共にソードスキルの魔法効果で風が発生、小さな竜巻ができる。
放ったのは全方向広範囲オリジナルソードスキル《サイクロン・ゾーン》
風によって発生した無数の斬撃が相手を襲う。
俺から半径三メートル以内に居た奴はHPが全損し、六メートル以内の奴も全損までいかなくともかなりのダメージを受けた。
風属性付きのソードスキルなので相応の硬直が襲うが、サクラが六メートル以内のダメージを受けた奴に止めをさしている間に硬直は解けた。
それと同時にサクラが最後の一人を倒した。
アーサー「ふぅ、後はキリトとサクマの方だけか。 それも、後、、、、十秒くらいで終わるな。」
サクラ「そうだね。 一回ギルドに戻るの? それとも待つ?」
アーサー「戻る、と言うよりもさっきの奴等のギルドに行く。
こっちには記録結晶で撮った動画とアルゴの情報があるからな。 潰すって言ったけど今暴れたお陰で少しスッキリした。 だから、今回は警告だけにしておく。 と、キリトとサクマも終わったか。」
サクラ「じゃあ、私も行く。」
アーサー「分かった。 キリト! サクマ! 行くぞ。」
氷の壁を三回ほどノックするとユージオが魔法を解除し、壁が消えた。
俺達はイグシティに向かうべくその先に進む。
キリト「本当に良かったのか? ボス戦譲って。」
アーサー「良いんだよ。 俺達全員で決めたことだろ。 蒸し返そうとするな。」
サクマ「攻略が出来たか確認しようと残らなかったクセにか?」
アーサー「あぁ。」
~side out~
~No side~
ボスとの四十分を超える戦闘、山ほど持ってきた回復用のポーションも残り僅か。
それでも、ボスの挙動が既にバーサク状態になっているところからして、HPがあともう少しだというのはボスと戦っている彼等には分かる。
苛烈な攻撃を掻い潜り、防御や回避などでダメージを抑えるけれど、必ずどこかでHITしてしまう。
ユウキ「うーん、どーすれば良いかな?」
実際、このままではジリ貧だ。
回復アイテムが無くなれば回復は後衛の二人に任せるしかなくなる。
だが、後衛の二人もそろそろMP回復アイテムが怪しくなってくる頃。
どこかのタイミングで玉砕覚悟のアタックをするか、未だに見付けられていないボスの弱点に強攻撃をして残りのHPを削りきるか、の二択しかない。
もちろん、これが普通の攻略なら撤退という手も有るが、今回は違う。
ここで撤退をしては彼等をここまで助けてくれた『円卓の騎士団』に会わせる顔が無い。
そのため彼等の思考は「撤退するくらいなら全滅した方がマシ。」という考えに至っている。
ラン「ユウキ!」
ユウキ「姉ちゃん! どうしたの!?」
ラン「アイツの2本の首の付け根中央、あそこが弱点になってる。 攻撃が当たれば大ダメージを与えられる!」
ユウキ「弱点!? 高い、僕がジャンプしても届かないよ!」
弱点の場所を見て、さすがに攻撃のHITは無理だと言うユウキ。
それに対してランは笑みを浮かべて応える。
ラン「ちょうどいい踏み台があるよ。」
ユウキ「え、あ、そっか!」
ランの視線の先、ユウキもそこを見て納得する。
視線の先にはテッチがいる。
すぐさまユウキはテッチに向けて次のハンマー攻撃後、しゃがむように指示を出し、彼も理解したように頷いた。
そこでボスはブレス攻撃を放ち、前面に立つ全員のHPを削る。
直後、ボスはハンマーを振りかざした。
それを確認したユウキはダッシュの体勢に入る。
ラン「最後のチャンス。 頑張ってね、ユウキ!」
ユウキ「分かってるよ! 任せて、姉ちゃん!」
ハンマーが振り下ろされ、放射状の震動波をテッチがしゃがみ防御でやり過ごし、そこに走ってきたユウキが飛び上がって、テッチのヘルメットの天辺を踏み付け、さらに高みへと飛翔した。
ユウキ「やあぁぁぁぁぁっ!」
彼女は11連撃のOSSを放った。
交差する5連突と5連突、最後に弱点部分に向けての強力な突きが命中する。
絶叫を上げるボス。しかしそれも次第に弱ってから止まり、不自然な体勢で動きを止める。
その体に亀裂が入って次々と広がっていく。そして、その体は無数の大小異なるポリゴン片となって崩壊した。
ガチャリ、と次の層に続く大扉の鍵が開く音が聞こえた。
ラン「ふぅ。」
ユウキ「やったやった!! 勝ったよ姉ちゃん!」
止めを指したユウキがランに駆け寄り、飛び込んだ。
そしてボス部屋の入り口の方の扉も開くが、そこにはアーサー達の姿は無かった。
ユウキ「あれ? アーサー達居ない?」
ラン「色々とさっきの戦いの後始末があるのよ。」
ユウキ「そっか。 じゃあ、次の層アクティベートしたらギルドに戻ろう!」
ユウキ達は問題なく次の層へと到着。
転移門を解放し、完全に二十七層を攻略した。
それから数分後。
『円卓の騎士団』のギルドホーム、いや、今では『風林火山』、『月夜の黒猫団』そして『スリーピング・ナイツ』、合計4ギルドのホームとなっているイグシティの準一等地に建てられた大きな建物。
建物に付けてある旗には代表である『円卓の騎士団』の物だ。
ただ『風林火山』はSAOでギルドホームが有った階層が解放され次第そのホームの建物を買い、ここから出る予定だが。
そこへと帰ってきたユウキ達は先に帰っていたアーサー達に攻略完了を報告した。
アーサー「そりゃ良かったな。 んじゃ、打ち上げするか!」
キリト「だとしたら場所はここの中庭か、俺達の家か。」
ユウキ「え!? キリト家持ってるの!?」
キリト「あ、あぁ。 二十二層の湖畔に。」
ユウキ「あの自然一杯の二十二層に!? じゃあ、そこでバーベキューやろうよ! バーベキュー!!」
というリクエストがユウキから出たので全員で二十二層のキリトとアスナの家へ。
各々のストレージに眠っていたS級食材、酒をここぞとばかりに出す。
ユウキ「ボス攻略成功を祝して、かんぱーい!!」
「「「「「「「かんぱーーい!!!!」」」」」」」
ユウキが取った乾杯の音頭、全員で同時にワインを飲んで、どんちゃん騒ぎに移る。
各々が話しをしながら打ち上げの雰囲気を楽しんでいる。
ジュン「それにしても、あのボス厄介だったよな。 ブレスは厄介だった、臭いし。」
テッチ「同感。 ハンマーの攻撃もきつかった。 だけど、達成感がある。」
キリト「仲間と一緒に強敵を倒すっていうのは、そういうところが良いんだよ。」
ノリ「くぅ~、一仕事終えた後の一杯が美味い!」
タルケン「何時もそれを言ってるじゃないですか。 まぁ、今回は良く分かりますよ。」
クライン「よっしゃあ! 俺様の秘蔵の一本だ! 味は保証する!」
「「「「おお!」」」」
エギル「なら俺からもだ! 出血大サービス! 売れば四十万はする逸品だ!」
「「「「おお!」」」」
ランスロット「なら私からはこれだ。」
エギル「んなっ!? これは、危険度最高レベルのクエストのボスからドロップして、さらにドロップ率1%以下というALO最高の酒、『クレスト・ウインドミル』!!??」
クライン「何だとぉ!!??」
ランスロット「これ一本しか無いのでね。 ちゃんと分け合ってくれたまえ。」
大人達が酒の出し合いを繰り広げる。
ラン「これってS級の『スパイラルブルのタン』ですか!?」
サクラ「えぇ。 偶然ドロップしてそのままだったの。」
アーサー「牛肉、豚肉、鶏肉はもちろん、猪肉、蛇肉、鹿肉、兎肉もある。」
ユウキ「へ、ヘビかぁ。」
アーサー「今ユウキが食べてる奴だぞ。」
ユウキ「ぶふぅ!! ・・・魚かと思ってた。」
サクラ「見た目も食感もかなり似てるもんね。」
アーサー「ちなみにシノンが食べてるのがカエルの肉だったりする。」
シノン「!? ッゲホ! ッゲホ!」
サクマ「お、おい平気かシノン?」
シノン「だ、大丈夫よ。 アーサー、アンタ知ってたんなら先に言いなさいよ。」
アーサー「次から気を付ける。」
シノン「気を付ける気無いでしょ。」
アーサー「あぁ。」
サクマ「はっきりと言うんじゃない。」
食べ物ネタ(?)で盛り上がる。
アヤノ「ねー! 何か余興やろー!」
シンタロー「何かって何やるんだよ。」
モモ「ふふん、私の出番ね。」
コジロウ「そういえばモモさんアイドルでしたね。 一応。」
モモ「一応って言うな! ・・・コホン。 こんな事もあろうかと用意しておきましたよ。 カラオケアイテム!」
シンタロー「・・・何で剣と魔法の世界にカラオケという機械が?」
モモ「細かいことは気にしないの。」
モモが機械をしばらくいじるとキチンと音楽が流れ始めた。
モモ「それじゃ、野外フェスいっきまーす!」
シンタロー「ちゃんと能力抑えろよ。」
モモが一曲歌い終えた。
リーファ「よーし、次私行きます!」
という風にカラオケ連鎖が繋がっていく。
そして打ち上げは続いていった。
そんな中、ユウキが家のテラスに立って何かを言おうとしている。
その目は決意と不安が混ざっていた。
ユウキ「・・・すぅ、はぁ。 実は僕達『スリーピング・ナイツ』は皆に一つだけ黙っていたことがあります。」
アスナ「え? ユウキ?」
ユウキ「僕達『スリーピング・ナイツ』は、、、、皆病気なんです。 それもかなり重度の。」
アーサー以外が驚いた顔をしている。
ユウキ「特に僕と姉ちゃんはエイズです。 ・・・でも、皆と会えてとっても嬉しかった。 楽しかった。 こんな僕達からお願いがあります。 こんな、こんな僕達で良ければ、友達になってください! お願いします!」
ユウキが頭を下げる。
沈黙が流れる中、1人だけが動いた。
アーサーだ。
羽でユウキの前に立つと、、、デコピンした。
ユウキ「あたっ!?」
アーサー「やっぱ、お前バカだろ。 俺達もう友達だろうが。 それにどんな事情があろうと俺達は態度を変えない。 裏切られる以外ならな。」
ユウキ「アーサー。」
キリト「あぁ。 エイズだからどうした? そんな事気にする奴なんてこの中には居ない。」
ユウキ「キリト。」
『風林火山』からも『月夜の黒猫団』からも、『円卓の騎士団』からも受け入れられた『スリーピング・ナイツ』はもう孤独ではない。
アーサー「それに、この事はすでにランから聞いて全員に話した。 後はお前の気持ち次第だと思っていたが、こんなに早く言うとは思っていなかった。」
ユウキ「え!? 姉ちゃん話してたの? じゃあ、今の皆の驚いた顔って。」
アーサー「演技。」
ユウキ「僕の決意って、、何だったんだろう。」
アーサー「まぁ、そう言うな。」
ユウキ「はぁ。 でも、ありがとう。」
若干苦笑いが混ざってはいたが、それでもユウキは満面の笑顔だった。
~side out~
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