SAO~円卓の騎士達~
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第六十七話 騎士王VS皇帝
~サクマ side~
ウェボル「良い戦いだった。 ありがとう。」
サクマ「こちらこそ。」(しかし、最後の一撃は何だったんだ? 体術スキルでもないのにあの威力。)
ウェボル「・・・最後の一撃が気になるようだな。」
サクマ「! あ、あぁ。」
ウェボル「・・・だが、教えられない。 心配するな。 次のバトルで分かる。」
そう言うとウェボルは向こうの控え室に戻っていった。
サクマ「お、おい! それはどういう事だよ!?」
だが、ウェボルは俺の言葉を無視し、戻っていった。
サクマ「・・・気を付けろよ。 アーサー。」
~side out~
~アーサー side~
アーサー「『妖精連盟』。 流石に強者揃いだな。」
サクラ「気を付けてね。」
俺はサクラの頭に手を置き、
アーサー「俺が負けたこと無いだろ? 安心して見てな。 久し振りに楽しめそうだ。」
サクラ「そ、そう。 それなら良いけど。」
アーサー「勝ったときは、何か頼むよ。」
サクラの髪を撫でながら耳元で言う。
アーサー「愛してるよ。 桜。」
サクラ「へ? ふぇ!?」
顔を真っ赤にしながら混乱するサクラを「可愛いな」と思いながら見る。
サクラ「も、もう。 不意打ちなんてズルいよ。///」
アーサー「ゴメンゴメン。 じゃ、行ってくる。」
サクラ「うん。 行ってらっしゃい。」
マイク「最終決戦!! 勝つのは『円卓の騎士団』か『妖精連盟』か!? この戦いで全てが決まる! 『円卓の騎士団』からはギルドマスター、『円卓の騎士王』、アーーーサーーー!!」
観客「「「「うおおぉぉぉぉぉ!! 『騎士王』! 『騎士王』! 『騎士王』!」」」」
マイク「そして『妖精連盟』からはギルドマスター、『紅蓮の皇帝』、ブラッーードーー!!」
観客「「「「『皇帝』! 『皇帝』! 『皇帝』!」」」」
ブラッド「良くここまで来た。 それは褒めてやろう。 だが、最後に勝つのは我々だ。」
アーサー「だーかーらー、やってみなきゃ分からないって言ってるだろ。」
デュエル開始のカウントが進む。
5、4、3、2、1、0
マイク「デュエーール、開始!」
ほぼ同時に飛び出した俺とブラッドは丁度中間点で剣と剣をぶつける。
ガッキィィィン!! ギギギギギギギ
剣と剣が火花を散らしながら互いに押し合う。
そして、互いに離れ羽を展開し、空中で何度も剣をぶつけ合う。
ガッ! ガガッ! ドッ! ズガガッ! ドンッ!
剣を打ち合う毎に衝撃波が発生する。
しばらく打ち合った後地上に降り、向き合う。
アーサー「準備運動はこんなものでいいだろ?」
ブラッド「あぁ。」
俺は『覇気』と『ゾーン』を解放する。
ブラッド「! その『覇気』、キサマ、朝霧 龍也か!?」
アーサー「何でお前が俺の名前を知ってるんだ?」
ブラッド「質問を質問で返すな。 まぁいい。 その問いにはこれで答えよう。」
そしてブラッドも『覇気』と『ゾーン』を解放した。
アーサー「・・・その『覇気』、武田 虎影(たけだ とらかげ)か。」
ブラッド「その通りだ。 キサマとまた戦えるときを夢にまで見たぞ。」
アーサー「ったく、世界は広いんだか狭いんだか。」
~side out~
~キリト side~
キリト「こ、この『覇気』は!?」
アスナ「キリト君! まだ動いちゃダメだよ!」
サクマ「あぁ。 アイツだ。」
ランスロット「誰かね?」
ユージオ「アインクラッドに閉じ込められる前の剣道の全国大会の僕達の準決勝の相手チームの主将だよ。」
コジロウ「その当時の実力はアーサーさんよりホンの少しだけ下ぐらいでした。」
キリト「あぁ。 それでも俺とユージオが手も足も出なかった奴だ。」
サクマ「悔しいが俺よりも実力は上だ。 恐らく今も。」
アスナ「そんなに強い人なの?」
キリト「俺達の同世代では龍也が『龍』でアイツが『虎』だった。」
ランスロット「なるほど『龍』と『虎』は実力が拮抗している事を表すのによく使われる。 『龍虎相討つ』などのように。 それほどまでにあの二人が君達の世代のツートップだったのだな。」
リーファ「で、でも先輩は二年間、命懸けでSAOをクリアしたんだよね? だったら先輩の方が強いんじゃ、」
コジロウ「そうとも言えないんです。 『覇気』はその人の強さを示すと言われてますが、アーサーさんとブラッドさんの『覇気』はほぼ同じ強さ。」
サクマ「恐らく血の滲むような特訓を続けてきたんだろう。」
キリト「どっちが勝っても全くおかしくない。」
サクラ(アーサー、!!)
~side out~
~アーサー side~
ブラッド「キサマが居ない大会は詰まらなかったぞ。 俺と張り合える奴が居なくてな。 このゲームには強者を探しに来たのだが、見つからなかった。 まだボスを一人で倒している方が面白かった。」
アーサー「分からなくもないな。」
ブラッド「そうだろうな。 俺とキサマでは根本的な所では似ている。 だが、その詰まらない日々も今日で終わりだ。 キサマという最高のライバルが現れたお陰でな。」
アーサー「理由なんてどうでも良い。」
ブラッド「そう、だったな。 キサマと俺の間に言葉など不要。 全て戦いで語り合おう。 行くぞ! アーサー!」
アーサー「来い! ブラッド!」
地面を蹴り、また剣をぶつけ合う。
だが、今度の威力は先程の比では無い。
剣を打ち合った衝撃波で地面にクレーターが出来るほどだ。
ほぼ同時に後ろに跳ぶ。
ブラッド「動く事雷霆の如し、加えて、侵略する事火の如く。」
ブラッドが俺の真後ろに回り、強烈な一撃を出してきた。
アーサー「がっ、」
何とか剣で受けるものの吹き飛ばされる。
アーサー「出たな。 風林火陰山雷。 それより、雷は縮地法だろ。 再現出来たのかよ。」
ブラッド「苦労したがな。」
風林火陰山雷とは風林火山の本当の状態で、ブラッドこと武田はそれぞれを現した六つの奥義を持っている。
其の疾き事風の如く、風
静か成る事林の如く、林
侵略する事火の如く、火
知り難き事陰の如く、陰
動かざる事山の如く、山
動く事雷霆の如し、雷
アーサー「おぉぉらあぁぁ!!」
ブラッド「動かざる事山の如く。」
俺の本気の一撃も山の鉄壁防御により防がれる。
だが、俺にも筋力値カンストとしての意地がある。
アーサー「ぁぁぁぁぁぁあああ!!」
ブラッド「なにっ!?」
ブラッドを吹き飛ばす。
さらに追撃する。
ブラッド「調子に乗るな! 疾き事風の如し!」
体勢を一瞬で立て直したブラッドが居合いの要領で横振りの高速の一撃を放つが俺はそれをスライディングで避け、そのままバク転の要領で顎に蹴りを入れる。
だが、ブラッドはそれを体を後ろに反らすことで避け、俺の足を左手で掴み壁に向かって投げる。
アーサー「のわっ! けどな、」
俺は壁に足を付け、『ジャンピングブラスト』で向かってくるブラッドの腹に向かって頭突きをする。
ブラッド「ぐはっ、」
流石にこれは予想してなかったのか対応できず、当たった。
ブラッドは羽を展開させ俺と距離を取る。
ブラッド「く、ふふふ、ふははははは! そうだ。 やはり戦いはこうでなければ面白くない。」
アーサー「まったくもって同感だな。」
自分自身の口角が上がるのを感じながら言う。
ブラッド「『氷星解放』。」
ブラッドの声と共にブラッドの剣の周りに冷気が漂い始める。
ブラッド「凍り付け!」
ブラッドが剣を振るうと冷気が俺の方に向かってきた。
俺はそれを避けるが、僅かに足に当たり、当たった部分が凍った。
アーサー「冷たっ!?」
ブラッド「『雷星解放』。 焼き切れ!」
今度は雷がブラッドの剣を纏い、雷が俺を襲う。
が、『龍爪剣』がALOにリメイクされた時に追加された効果、『雷属性と風属性の攻撃を吸収し、自身の攻撃力に変える。』によって、雷を吸収した。
ブラッド「なんだと!?」
アーサー「それはこっちのセリフだ! 何なんだよ、その剣。」
ブラッド「・・・『七星剣』。 炎、水、氷、風、雷、光、闇の七つの属性を出すことが出来る。 MPは消費するがな。」
アーサー「なるほど。 俺のは『龍爪剣』。 雷と風属性の攻撃を吸収し、自身の攻撃力へと変える事が出来る。」
ブラッド「そうか。 ならキサマに雷と風の攻撃は止めておこう。」
アーサー「お互いチート級の武器だな。」
ブラッド「それは言わない方が良かろう。」
さっき吸収した雷を剣に纏わせ、ブラッドに攻撃を仕掛ける。
バチィ!
剣と剣がぶつかったところでスパークが生じ、それによりブラッドのHPが削れ、イエローゾーンに入る。
そこでブラッドはまた俺と距離を取った。
ブラッド「そろそろ本気で来たらどうだ?」
アーサー「そっちこそ、まだ何か隠してるだろ?」
ブラッド「ふ、やはり誤魔化せんか。」
アーサー「新システム外スキル、お披露目と行くか。」
そう言ってブラッドは剣をアイテムストレージにしまい、俺は逆にストレージからさらに二本の剣を出す。
出した剣の一つを左手に、もう一つをケットシー特有の尻尾で持つ。
これが新しいケットシー族専用システム外スキル《三刀流》
どこぞの海賊アニメの方向音痴みたく口で持つなんて事はしない。
だってアレ、三本目の剣の動きがかなり制限されるじゃん
ちなみに、今出した剣は二本とも古代級武器だ。
・・・伝説級欲しいな。
それはさておき、
ブラッドは空手の型で構える。
だが、何となくで分かる。
アレは空手とは違う。
もっと実戦向きの拳法だ。
古武術の一種、と言ったところだ。
アーサー「格闘術か。」
ブラッド「そうだ。 俺にとって剣は相手の実力を測るための道具にすぎん。」
アーサー「さて、無駄話もこれくらいにして、さっさと決着付けようぜ。」
ブラッド「望むところだ。」
ほぼ同時に地面を蹴り、距離を詰める。
ブラッドの左足の蹴りに対して右の剣で受け流し、体を回転させ、尻尾の剣で攻撃する。
それをブラッドは手で白刃取りし、防ぐ。
ブラッド「燐脚八十七式。」
そして、蹴り。
だが、今度は威力がさっきのとは桁違いに高い。
これは受けるのはまずダメ。
そして受け流すのもこの体制では困難。
なら避ける。
そう考え後ろに身を引くがわずかに当たり、切られたようなダメージエフェクトが出る。
ブラッド「裏拳七十二式。」
そして裏拳。
これもかすっただけで切られたようなダメージエフェクトが出る。
アーサー(相当、キレのいい攻撃だな。 まともに喰らったらまずいな。 だが、ここで退くわけには行かない! 攻撃こそ最大の防御!)
そう考え、一気に攻め立てる。
しかし、俺の怒濤の攻撃は避けられ、受けられ、あまりダメージが通らない。
そこで俺は尻尾の剣を一旦、左手で持ち、尻尾をブラッドの腕に巻き付け、地面に叩き付ける。
そこに右手の剣を降り下ろすがこれはかすっただけで避けられた。
そして、お互いにHPを削り、削られ、戦い続けた。
観客の誰かが小さく呟いた。
「この試合、ずっと見ていたいな。」と。
だが、そんな戦いにも終わりは来る。
互いのHPがレッドゾーンの残り数ドットまで削られた。
強攻撃が入ろうものなら完全にHPは無くなる。
ブラッド「行くぞ、奥義。 《虎砲》」
アーサー「三刀流オリジナルソードスキル《リバース・トライアングル》」
互いの最高の技がぶつかる。
ブラッドはこの前の試合でウェボルが最後に出したカメ○メ波のような攻撃。
対して、俺は三つの剣を相手の体の中心に刺し、下、右斜め上、左斜め上の三方向に斬るOSSだ。
三つの剣と二つの拳がぶつかる。
一瞬で勝負は付いた。
お互い、技を出した後の形で、体を止める。
数秒後、俺の古代級武器が二本とも折れた。
ブラッド「見事だ。」
数コンマ遅れて、ブラッドのアバターが爆散した。
マイク「しょ、勝者!! アーーーーサーーーー!!」
観客の歓声が鳴り響く。
最後のブラッドの一撃はおそらく両手同時の発勁(はっけい)だろう。
発勁とは中国武術で自分の拳に衝撃を乗せ、相手を攻撃することにより相手を内部から破壊する事が出来る技だ。
俺はブラッドのその一撃を左手と尻尾の二本の古代級武器で抑え、右手の龍爪剣で止めを刺した。
だが、まともに喰らった二本の剣が両方折れるとは、予想外の威力だ。
自分の体に喰らっていたら負けていたのは俺だったろう。
ブラッドがリメインライトから復活し、元の姿に戻る。
ブラッド「やれやれ、また負けてしまったか。 だが、次にやるときは俺が勝つ。」
アーサー「いーや、俺が勝つね。」
俺達は握手をした。
その後、表彰式が行われ、俺達はALO最強ギルドの栄光を手にした。
~side out~
~??? side~
現実世界 とある病院。
その一室に一人の男が居た。
胸に付けられた名前には倉橋と書かれている。
倉橋は自分に割り当てられた部屋の中を落ち着きが無く、うろうろしている。
その時、彼のパソコンに一通のメールが届いた。
送り主は厚生労働省だ。
その内容をすぐに確認した倉橋は部屋から飛び出し、彼の患者二人の所に急いで向かう。
倉橋「木綿季くん、藍子くん、奇跡だ! 奇跡が起こったんだ!」
そのメールの内容とは、
『エイズ治療の為、「キメラ抗原受容体」の使用を許可します』
だった。
~side out~
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