聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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191部分:第二十六話 薔薇の聖闘士その二
第二十六話 薔薇の聖闘士その二
「今はだ。わかったな」
「はっ、それでは」
「その様に」
「話はこれで終わりだ」
ここまで話したうえであらためて彼等に告げた。
「下がれ。そしてそれぞれの任に戻るのだ」
「はい」
黄金聖闘士達は頭を垂れ教皇に礼をした。そうして教皇の間を後にする。アフロディーテはそのまま教皇の宮殿の入り口から出陣するのだった。
「では。今からですね」
「そうです、今からです」
斜め後ろから声をかけてきたムウに対して応えるのだった。
「中国に行って参ります」
「そうですか。それではその間はお任せ下さい」
ムウは厳かな声でアフロディーテに言葉を返した。
「貴方がおられないその間は我々が必ず聖域を護りますので」
「お任せしました。今はこの教皇の間までの道も」
そこは紅く染まっていた。まるで紅の河であった。
「只の道になってしまいますが」
「そうか。そうだったな」
アイオリアも今の言葉でそのことに気付いたのだった。
「双魚宮から教皇の宮殿までの道はな」
「そうです。私の薔薇により護られています」
こう述べるアフロディーテであった。
「この紅の薔薇によって」
「そうだったな。それがなくなるのだな」
「この薔薇は教皇の間までの最後の護り」
彼はまた言った。
「それがない間。宜しく御願いします」
「わかった」
アルデバランが彼に対して頷いてみせた。力強く。
「我等が死力を尽くして必ず護る。それは安心していろ」
「わかっています。貴方達なら」
彼等のことがよくわかっている。だからこその言葉であった。
「必ず私がいない間この聖域を護り通してくれます。ですから安心して」
「行くというのだな」
「そうです。それでは」
最後にアイオリアの言葉に応える。そうして。
道を染め上げていた紅の薔薇が消え去り白い道が姿を現わした。それと共にアフロディーテもまた何処かへと姿を消した。後に残っているのは他の黄金聖闘士達だけであった。
その残った彼等がだ。ここで言うのだった。
「今度はあの男か」
「ピスケスのアフロディーテ」
ミロとカミュが言った。
「十二宮最後の宮を護る男」
「聖域の最後の備え」
「あの顔に惑わされてはいけません」
ムウもまた彼をしかと見てそのうえで言葉を出していた。
「その小宇宙は紛れも無く黄金聖闘士のものですから」
「その通りです。彼に関しては全く何の不安もありません」
シャカまでもが太鼓判を押す程だった。
「見ているだけでいいのです」
「またえらく安心しているな、おい」
「確かにアフロディーテの小宇宙はかなりのものだが」
デスマスクとシュラは今のシャカの言葉に驚いたような、それでいて少し冷やかすような顔をして述べた。特にデスマスクはそうした顔になっている。
「相手もやばいんじゃねえのか?」
「アスタロトといえば魔神の中でもかなりの存在の筈だ」
既に彼等も魔神にるいてはある程度以上知っていた。
「氷を操るんだったな、確か」
「魔神の中でもとりわけ残虐だとも言われているが」
「それは貴方達と全く同じ条件です」
シャカは二人に対して表情を変えることなく告げた。
「それに関して言えば」
「俺達とか」
「同じだというのか」
「ベルゼブブもベールもどちらも魔神の中で最も恐ろしい者達です」
彼は言った。
「いえ、八大公全てがです」
「だからこそ八大公になっているというのだな」
カミュは冷静に述べた。
「狂闘士の中の最高位である彼等に」
「その通りです。だからこそです」
また言うシャカであった。
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