平成ライダーの世界
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第十三章
彼が何故誕生したのか。それを考えるとやはりスサノオに行き着くのです。スサノオがジョーカーを作ったとしか考えられないのです。
まずジョーカーはアンデットのままでした。当然その心は人のものではなくただ戦いのことのみを考えている存在でした。まさにアンデットの中でもイレギュラーな存在でした。
ヒューマンはその彼に気付き自らが彼に封印されそのカードを与えることで取り込もうとしたと思います。スサノオの意図を読んだうえで、です。
スサノオはバトルファイトを彼にとってより面白いものとする為にジョーカーを生み出したと思います。そこには楽しみを追い求め退屈を嫌う彼の性格が出ていると言えるでしょう。
そのヒューマンがアンデットの中に入ります。それによりジョーカーは人の心が入っていきます。これはおそらく電王劇場版で出て来た刑事、相川始を演じておられた森本亮治さんが演じておられたあの刑事こそヒューマンだったと見ています。
あの刑事はすぐに死んでいます。これはジョーカーに封印されてのことだったと思います。わざと封印されそのうえでジョーカーを人間としてそのうえでバトルファイトを終わらせる策の一つとしたのでしょう。それが行われそれからバトルファイト、剣本編となりました。
この人間が必ず勝者になり強大な力をも手に入れるバトルファイトでスサノオは何を見たかったのでしょうか。それはこの時も人間そのものを見たかったのだと思います。
人間達、即ちライダー達が人間として戦いを勝ち抜いて成長していきそのうえでジョーカーをどうしていくか、そしてジョーカーはどうなっていくのか、ヒューマンは終盤で剣崎一真に貴方ならどうするか、と尋ねています。その答えは二つありました。
まず一つはジョーカーを封印することです。これは映画版の最初です。普通はこの選択に至ります。しかしおそらくこれは正しい答えではありません。
その証拠にスサノオはもう一体のジョーカー、アルビノジョーカーを出してもう一度ライダー達を戦わせています。そのうえでジョーカーとライダー達、ジョーカーもライダーなのですが彼等を共闘させています。そしてその時にジョーカー即ち相川は自分が犠牲になるという人間でなければ取れない行動を取っています。そして剣崎も彼を仲間と認めました。橘朔也も上城睦月もです。ライダー達は彼を仲間、人間だと認めています。
このジョーカーを封印するということは正解ではなくスサノオはもう一度人間とは何かを見せなければ納得しないものでした。それでは正解は何だったかというとです。
それはテレビ版最終回の剣崎がアンデットとなることでした。この時剣崎は俺は運命を変えてみせる、と言っています。それはできないかも知れないという不安があったものではなく確信だったと思います。それはこれこそが正しい答えだと剣崎がわかったからです。
ジョーカーが二人になりバトルファイトが続けられます。しかしこの時に統制者はライダー達の前に姿を現し何としても戦わせようとします。
しかし相川はその心から人間になろうとしており剣崎は元より人間です。ならばバトルファイトをどうして続けさせるのか。
僕は拙作で剣崎、相川からアンデットのその身体を切り離させてました。これもヒーローショーであった演出ですがやはりそれしかないだろうと思います。そうでもしないとバトルファイトを行わせることができないからです。剣崎と相川がバトルファイトを望まないからです。
そしてその二体のジョーカーを倒したらどうなるかです。統制者、即ちスサノオが出るしかありません。そしてそのスサノオを倒せばバトルファイトは終わりその途中でスサノオが介入して生み出したオルフェノク達も消えます。平成ライダーの世界はファイズ、剣を接着点として全ての作品がつながっていると僕は考えているのですがここで一つの大きな因果が終わります。
オルフェノク、そしてバトルファイト。この二つがスサノオの分身である王を倒しそして統制者を倒すことによって終わります。そしてスサノオは人間にそれができるのかを見ようとしているのです。その為にこのバトルファイトは人間が必ず勝利者にならなければならずそれ以外の誰も勝ってはならなかったのです。
そしてその結果バトルファイトとオルフェノクの因果は終わりました。二つの作品に渡った、そして気の遠くなるまで遠い時代から続いた戦いも終わりました。もっともこれはスサノオが人間に仕掛けた戦いの一つに過ぎなかった訳なのですが。しかしライダー達はこの二つの因果も終わらせました。ヒューマンの思惑通りです。
そしてそれを終わらせることはです。剣で戦った四人のライダー達でなければできなかったでしょう。不器用でありますが一途でひたむきな彼等の泥臭い戦いと心がなければです。僕は平成ライダーの中でライダーとして、そして剣の作品中でもこの四人が最も好きです。その心が実にまっすぐで純粋だからです。
まず剣崎ですが彼はその戦闘力よりも心が素晴しかったです。心があり強さがその後からついてきた人でした。あくまで仲間を信じて人々や仲間の為に戦う、本当に崇高な戦士です。
このことは剣自体に言えることですが所謂オンドゥル語やその騙されやすさといったことが問題視されますがそれでもです。剣崎は騙されやすく他のライダー達と比べて格好よくは見えないです。しかしそれはあくまで颯爽とした格好よさということでありあくまでひたむきに向かうその一途さは泥臭い格好よさがあります。
人の為に戦いそれを誇らない。そして仲間のことを考え信じています。過去に数え切れないだけ裏切られていてもです。人は裏切られるとこのことが心の傷になります。僕は人に裏切られたことで長い間人間不信になりコミュニケーションを取ることが下手になっただけでなく人間性まで暗くなってしまった人を知っています。そうした人を見ているからこそ剣崎のその強さが素晴しいものに見えます。
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