| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

平成ライダーの世界

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十二章

 オルフェノクであると考え多くの人を殺し自分を助けてくれた真理も殺そうとしました。このことがストーリーの中盤を大きく動かしました。澤田は気まぐれ的にデルタのベルトを草加に渡しそれにより村上の逆鱗に触れてオルフェノクの世界から追放されます。村上の怒りはそれでも収まらず刺客さえ放っています。彼は最後は結局影山達ラッキーグローバーと戦おうとします。しかしその時に草加が変身したカイザの攻撃を受け戦線を離脱します。そして乾に結果として人間とは何かということを見せて死んでしまいました。彼は最後の最後になってオルフェノクも人間であるということを理解したのでした。
 そしてもう一人オルフェノクの側にありながら人間としての道を選んだ者として琢磨逸郎がいます。
 彼はオルフェノクでも特別な立場にあるラッキーグローバーの一員として絶大な力を持っていました。しかし木村沙耶のデルタに一敗地に塗れたり乾や草加に敗戦を続けたりしていき次第にその立場が弱く情けないものになっていきました。そしてその人間として陰湿な面も見せていきます。人間の弱い部分をこれでもかと見せるようになっていきます。
 それは最終回間際になると顕著になり弱っている北崎にこれまでの仕返しをしたりもします。それもまた人間の姿でした。
 そして最後ですが彼は意識しないうちに人間でいることを選択しました。それは王を前に人間の姿を完全に捨ててオルフェノクになった影山を見て恐怖して逃げたことです。このことが彼を人間にしたのです。
 彼はスマートブレインでのこともオルフェノクのことも捨ててそのうえで人間として生きることを選びました。そのうえでそれまで常に読んでいた詩集を胸に収め工事現場で働いていました。そこで人間の現場監督にどやされもしています。しかし彼は人間として生きることを選びオルフェノクであることを捨てました。
 彼は意識していないでしょうが人間とオルフェノクの違いはそうしたものに過ぎないということも見せていました。そのうえで彼は今も生きているのでしょう。彼は戦いから離れましたしオルフェノクでなくなりました。それは彼にとっては幸いでした。
 ファイズはその人間とオルフェノクの違いとはどういったものかを見せている話でしたがその中で真理と菊池啓太郎、阿部里奈は戦士達を見ていました。時には彼等が戦場にいること、向かうこともありました。そして乾達の理解者となりました。そうした意味で前述の木村も同じです。オルフェノクとは何か、そして人間とは何か。彼等は闘いの中で生きる戦士達を見てそのうえでそのことがわかってきました。そのうえで戦士達を受け入れることができました。
 乾達にとってこのことは幸せであると共に彼等にとっても幸せでありました。人間とは何かを知るということを知りそのうえで彼等との友情、そして愛を掴むことができたのですから。井上敏樹脚本では痛いまでに純粋な愛が見られます。それがファイズにおいて見られました。
 このファイズの世界と完全に一つになりスサノオの存在を露わにしたのが剣の世界でした。
 その剣の世界の核となるのはバトルファイトですが前述の通りこれはスサノオの仕組んだものでした。一万年前のその時から彼は仕組んでいたのです。 
 それに気付いたヒューマンが彼に対して講じた手段とそれに対するスサノオの工作、そこでオルフェノクが生まれまた三つのベルトが誕生したのも前述の通りです。
 そして剣本編でのバトルファイトです。これは見ていくと次第にライダー、即ち人間が他のアンデット達を倒していき最後には絶対に人間が勝者となるものでした。スサノオはこれも意図していたのでしょうがここで天王路はその勝利の果てに勝者である人間を倒し究極の存在として生き残ることを考えていたのでしょう。
 天王路の正体はオルフェノクでした。オルフェノクは長くは生きられません。天王路は間違いなく花形社長と同じクラスにあるかなり高位のオルフェノクでした。その彼はバトルファイトの中で絶対の存在になろうとしました。それがオルフェノクである彼が目指したものでした。そのうえで永遠の命を得ようとしたのです。
 しかし彼の想定以上にライダー達、つまり人間達は強くなっており彼は敗れてしまいました。彼は自分がオルフェノクであると考えそのうえで人間を滅ぼそうとしました。しかしオルフェノクは人間なのです。それを理解していなかったことで既に彼の運命は決まっていました。彼もまたスサノオの罠に陥っていたことに気付かない者でした。
 このバトルファイトの中で一人特異な存在がいました。それは剣というストーリーを形成した非常に重要な要素であるジョーカーです。彼は突然出て来たイレギュラーな存在としてのアンデットでした。ヒューマンの力で相川始となりカリスのカードで仮面ライダーカリスとなる。そうした存在でした。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧