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おぢばにおかえり

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第三十五話 詰所での再会その三

「詰所や大教会に伏せ込みさせてもらうつもりなの」
「伏せ込みっていいますと」
「住み込みで働かせてもらったり勉強させてもらうことよ」
「つまり修行ですね」
「仏教とかで言うとそうね」
 このことはおみちの用語です、他の宗教ですとそうなります。
「実際にね」
「やっぱりそうですね」
「ええ、それでね」
 私は阿波野君にさらにお話しました。
「教会を継がせてもらうつもりなの」
「将来決まってるんですね」
「三年先は闇でしょ」
「あくまで予定ですか」
「大学落ちるかも知れないし」
「もう一回受験するとか」
「そうも考えてるけれど」 
 実は天大に行けなかった時のことも考えています、もう高校三年生なのでそうしたことも考えているというか一年の時から考えていました。
「少なくとも天理教の勉強はさせてもらうわ」
「ひのきしんもさせてもらってですか」
「そう、働きながらでもね」
 この考えは変わりません。
「専修科も考えてるし」
「専修科?」
「そういうコースもあるの」
 天理大学に進学する以外にもです。あと本部勤務といってこのおぢばの天理教関係の場所で働かせてもらう人もいます。
「教校学園高校ってあるでしょ」
「あの前は親里高校だったっていう」
「合併したのよ」
 教校附属学園という学校とです。
「あの学校からよく行くのよ」
「その専修科にですか」
「言うなら天理教のことを勉強する専門学校よ」
 私は阿波野君にわかりやすく説明しました、この子は高校から天理教のことを勉強しだしたはじまったばかりの子だと思ったからです。
「そうしたコースもあるの」
「色々あるんですね」
「勉強のコースは一つじゃないの」
 それが天理教なのです。
「色々なコースがあるの」
「大学だけじゃなくて」
「そう、昔は専修科も二つあったしね」
「あれっ、そうなんですか」
「専修科は二年だったけれど五年のコースもあったのよ」
 五年間みっちりとおみちのことを勉強していたのです。
「第二専修科っていってね」
「そんなコースもあったんですか」
「そうなの、今は別のコースになって名前も変わってるけれど」
「五年って凄いですね」
「そうでしょ、本当に色々なコースがあるのよ」
「天理大学が軍隊で言う士官学校だって思ってましたけれど」
「いや、士官学校って」
 阿波野君のその例えにです、私は目を瞬かせて返しました。そうしたお話をしている間に詰所からすぐの場所にまで来ました。
「何それ」
「いや、軍隊で士官つまり将校を育成するコースで」
「それは知ってるけれど」
「日本にも防衛大学ってあるじゃないですか」
「それで天大もなの」
「はい、おみちの士官学校って思いましたけれど」
 軍隊みたいなことを言ってきました。
「違うんですね」
「全然違うわよ」
 私は半分呆れながら阿波野君に答えました。 
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