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おぢばにおかえり

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第三十五話 詰所での再会その二

「お風呂入ってるのはね」
「駄目ですか」
「本当に図々しいでしょ」
「そうですか」
「そうよ」
「清潔第一じゃないんですか?」
「清潔にすることもいいことにしても」
 それでもです。
「詰所の人達も優しいから」
「それでお風呂入ってすっきりしてお家に帰るんです」
「それじゃあもう詰所に住んだら?」
 こんなこともです、阿波野君に言いました。
「そこまで馴染んでるなら」
「はい、そうした機会もあるかも知れないですね」
「全く、どういう子なのよ」
「こういう子です」
「そこでそう返すし」
 ああ言ったらこう言うな感じです。
「そんなので三年間やっていくつもりなのね」
「あと大学も」
「天理大学行くつもり?」
 略して天大です、皆こっちの略称で読んでいます。
「それじゃあ」
「そのつもりで勉強してます」
「そうなのね」
「つまり七年間ここに帰るんですね」
「ううん、私もね」
 阿波野君が七年と言うとです、私もでした。
「大学は天大のつもりだから」
「じゃあ勉強の方も」
「それなりにね」
 本当に真剣にしています、少なくともそのつもりです。
「やってるわよ」
「そういえば詰所の人が言ってました」
 阿波野君は私に言ってきました。
「先輩成績いいらしいですね」
「そんな話も聞いてたの?」
「先輩有名みたいですよ、詰所で」
「詰所は普通に行き来してるから」
 物心ついた頃からです、おぢばに帰った時はいつも寄っていますし馴染みの人ばかりです。殆ど家族みたいなお付き合いの人ばかりです。
「普通にね」
「有名なんですか」
「というか天高行ってたら」
 それも寮生なら余計にです。
「普通に出入りするでしょ」
「まあ僕もそうですしね」
「そうよ、有名でもないわよ」
「そうですか、とにかくですね」
「私成績いいって聞いてるのね」
「はい」
「そんなにいいとはね」
 自分ではです。
「思っていないわよ」
「謙遜ですか?」
「謙遜じゃないわよ。私より成績いい人一杯いるから」
「けれど推薦は貰えるんですよね」
「ええ、それ位はね」
 自分でもです。
「やっぱり天大行きたいから」
「どうしてそこまで天大に行きたいんですか?」
「だって。私実家が教会で」
 本当にこのことが大きいです。
「しかも三人姉妹の長女だから」
「継がないといけないんですね」
「だからね」
「天大なんですね」
「あの大学で天理教のことを勉強して」
 そうした学科もあります、宗教学校なのでその宗教を専門に勉強する学科があって私はそこに入りたいと思っているんです。
「そのうえでね」
「実家を継がれるんですね」
「そうなの、それで」
「天大ですか」
「そこでも天理教の勉強をさせてもらって」
 それからも考えています。 
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