| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

平成ライダーの世界

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七章

 城戸は彼に非常に影響を受けましたし秋山も彼を見てから心に確かなものができていきました。最後にはサバイブのカードも譲り受けています。こうして中盤を盛り立てていましたが城戸を守って死んでしまいました。彼は城戸達に多くのことを残して去った人でした。ライダーとは何か、だけでなく人間とは何か、さえ考えさせられるキャラクターでした。
 その時彼はかえって安堵していました。自分の占いがやっと外れた、と呟いていました。そのうえで安らかな顔で去っていきました。このことは非常に印象的でした。
 この手塚とは別に芝浦淳、仮面ライダーガイがいます。大金持ちの家の御曹司でゲームマニア、その性格は傲岸不遜で策謀家であります。とにかく嫌な奴として登場していて井上敏樹的なキャラクターとして彼もまたストーリーを動かしました。丁度序盤から中盤に入る辺りです。
 彼はライダーバトルもゲームと考えていました。人と人の戦いをゲームと考えるその考えが正しいか正しくないかは別としまして彼の様な考えもまた存在しているのが龍騎の世界でありまた人間の世界でしょう。彼はライダーバトルについてあまり深い考えは持っていません。現実世界でも野心家でありますがライダーバトルでも大して変わっていません。ただありのまま策謀を巡らし上を目指す人間です。そして全てをゲームと考えています。
 その彼ですが他人を見下す性格の為浅倉という野獣に手を出してしまいました。そのうえで倒されたのは自業自得と言うべきでしょうか。こうした人間の陥りやすい結末として描かれたと思います。
 このライダーバトルですがやがてこのことに気付き疑問を感じていく人も出て来ました。清明院大学教授であるオルタナティブこと香川英行にその学生であったオルタナティブゼロこと仲村創です。東條悟については後述とさせてもらいます。
 香川は後半、丁度ストーリーの第三クールの場面で出て来ましたがその頭脳を活用して自分からライダーとなったかなり独特な立場にある人物でした。ただ頭脳があるだけでなく正義感もありモンスターによる被害をなくす為にミラーワールドの謎を突き止めようとしています。人を助ける為に動き仲村もそれに協力しています。
 彼はそうした意味で城戸に近い正義ですが彼よりも強い芯がありました。それは犠牲も止むを得ない、という考えです。この考えはウルトラマン等円谷の特撮において非常に強く出ています。香川はそうした立場のキャラクターです。その為に時として反感を持たれやすい一面もありました。城戸もそれに怯んだような場面もありました。しかし彼の本質は家庭を大事にする良心的な人物でありそれが彼を形成していました。
 ある一面においては英雄的でしたが人間的でもあります。ここで言う人間的とはいい意味においてです。そのことは非常にいいことです。
 しかしそれが間違っているか正しいかというとです。多くの人は正しいと思うでしょう。僕も香川のキャラクターは好きです。彼もまた正義であると思います。ですがそれを英雄かどうかで考える東條には倒されるべき対象となりそれによって倒されてしまいます。この結末は非常に後味の悪い忌々しいものでした。しかしその正義は確かでした。その為HEROSAGAにおいては彼の志は優衣に対して受け継がれることになっています。香川は優衣を必要な犠牲として抹殺しようとしますがそれでもです。優衣に受け継がれるべき正義でもあったのです。やはり彼は確かな正義でありそして人間でした。
 ここで東條のことをお話するのが流れでしょうがその前に仮面ライダーインペラーこと佐野満についてのお話をさせてもらいたいと思います。
 彼は至って普通の人間です。蝙蝠的な立場であり城戸達の間を動き回っていました。目的は自分が豊かな生活を手に入れることです。その為に戦っていました。
 軽い気持ちで戦いに加わっておりこのことは非難されるべきことでしょう。しかしそれは人間だからこそそうした行動も取ってしまうということです。誰もが幸せになりたいと思いますしそうなりたいものです。佐野がライダーになったのはあまりよくない意味において人間的だったものです。
 時として城戸達と戦うこともあれば手を組むこともあります。香川達のグループに入ったのも深い考えがあってではありません。とにかく豊かな暮らしを手に入れて幸せになりたかったのです。その中で自分が何をするかもわかっていなかったふしがあります。
 彼は実は大企業の社長の息子で父親に勘当されていました。それは自立心を養わさせる為のものでありました。それでその父の死で彼はその社長になり豊かさにそれと地位、やがて婚約者まで手に入れます。しかしそれで戦いから離脱できるかというとそうではなく神崎に戦うことを強要されます。戦わなければ生き残れない、ライダーバトルの鉄則を突きつけられたうえで、です。
 それで東條を仲間に引き入れて城戸と戦いますがよりによってその東條に後ろから攻撃を受け倒されてしまいます。その時の東條の言葉は人格障害者そのものの言葉であり平成ライダーにおいてとりわけ胸の悪くなる言葉の一つでした。
 その彼を逃がしたのは今戦っていた城戸でした。彼は持ち前の人間性で佐野を逃がします。仲間をいきなり後ろから攻撃する東條に怒りを覚えてです。城戸は前述の様に非常に正義感が強く浅倉が自身の弟を謀略で誘い出しモンスターの餌食にした時は暫く呆然となってから御前みたいな奴がいることが信じられない、と言って怒りを露わにさせました。そうした正義感の強い人物です。佐野もまた助けない筈がありませんでした。しかし佐野は結局突然出て来た浅倉の攻撃を受けてライダーのカードを割られてしまいます。そしてそれと共にミラーワールドに閉じ込められてしまい無惨な最期を迎えてしまいます。ミラーワールドではモンスター以外は長い時間生きていられないのです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧