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Three Roses

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第十四話 同じ父を持ちその七

「何時でも対することが出来る」
「帝国の力で」
「兵も持っている、それで教皇庁を制圧してもいい」
「それで、ですね」
「帝国は教皇庁と持ちつ持たれつだ、そのカードも持っているからだ」
「教皇庁が帝冠を授けぬと言ってきても」
「対する」
 その時はというのだ。
「それが出来るのだ」
「そのこともあってですね」
「我々は教皇庁の介入を退け寛容であれるのだ」
「それはわかりましたが」
「教皇庁を甘く見ないことだ」
 太子はこうも言った。
「帝国にも常に尖兵を仕込もうとしている」
「異端審問だけでなく」
「あれこれとな」
「それ故に」
「教皇庁の手先かそうであると思われる者はだ」
 絶対にというのだ。
「近付けるな」
「絶対に」
「そうだ」
「しかしマイラ様は」
「妃にも言うべきか」
 太子は難しい顔で言った。
「私から」
「そうされますか、ですが」
「妃は、だな」
「あの方は特に近頃です」
「人の言うことをだな」
「聞かれぬ様になってます」
 頑なだったその心が特にというのだ。
「その様になっています」
「では、か」
「太子は随分教皇庁を警戒しておられますね」
「否定はしない」 
 太子は冷静にだ、司教に答えた。
「実際にな」
「そうですか」
「しかしだな」
「私はそこまではと思っています」
「そして妃もだな」
「マイラ様は特にです」
 またこう言うのだった。
「ですから」
「そうか、だが」
「言われますか」
「はっきり言っておく、私がこの国に来た理由はな」 
 太子は仮面を脱ぐことにした、それは既に司教が知っているものであったがあえてその素顔を出すことにしたのだ。
「この国をロートリンゲン家のものにする為だ」
「だからですね」
「それは言った筈だ」
「だからですね」
「私はこの国に入りだ」
 そしてというのだ。
「妃の夫になりだ」
「そして」
「妃との間に子をなしてだ」
「そのお子がですね」
「この国の王となり」
 それ即ちとだ、太子は司教に己の素顔を話していった。
「ロートリンゲン家がな」
「この国の主となり」
「この国もロートリンゲン家のものとなる」
「太子はその為に来られましたね」
「その通りだ、知っていたな」
「既に」
 司教は太子ににこりともせずに答えた、彼もまた素顔を出していた。
「そのことは」
「やはりそうだったか」
「ロートリンゲン家のことを考えれば」
「私がこの国に来た理由もわかるな」
「当初から、そしてですね」
 司教は太子に問うた。
「今も」
「その通りだ、だからだ」
「マイラ様にもですか」
「言ってだ、そして二人の間にもうける子が王になった時」
「その時に備えてですね」
「私はこの国に教皇庁の手の者は入れない」 
 決してというのだ。 
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