没ストーリー倉庫
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=戦闘訓練編= サクセンセレクト
前書き
私は気付いた……このシリーズ、もしかしなくても「はて迷」と同じく没ストーリーじゃなくなるのでは?
い、いや。大丈夫この小説は不人気だしすぐに飽きて投げ出すさ。そうに決まってる。
ついうっかり二次創作のオリキャラ特有のうざい長話をしてしまったせいで微妙な空気に包まれる中、訓練が再開された。一度は沈下したテンションだが次は盛り上がる筈だ!次のコンビは轟と障子………あっ(察し)。
しばらくお待ちください………。
「轟くんクソ強すぎて勝ち目なかった!!」
「うん、ぶっちゃけ知ってた」
「知ってたんなら言ってよぉ!!」
尾白と一緒に戻ってきてプルプル震えながら涙をこぼす葉隠に俺がかけたのは、慰めの言葉ではなく端的な事実だった。だっていあいつの個性って公式チートみたいなもんだし。右と左でそれぞれの個性の欠点を補う個性出すために命のガチャを相手の同意なしに4回も回したエンデヴァーの狂気染みた妄執しか感じない。
………でも、あの人オールフォーワン戦の最後ではちょっとかわいそうだったな。あれだけ人生を賭けて勝とうとしたオールマイトの弱り切った姿を前にしたエンデヴァーは、いっそ悲痛だった。
オールマイトを嫌ってはいたけど、同時に誰よりその実力を認めていたんだろう。だからエンデヴァーの頭の中でもオールマイトはいつだって最強で、きっと轟が大人になった頃でも最強だろうと信じていたんだ。運命も時の流れも真実も、すべては無常にて無情。果たしてあの後のヒロアカでエンデヴァーはどうなってしまったのか、続きを知らずにここへきた俺には計り知れないことだ。
「………で、なんで轟くんが強いって知ってたの?」
「そりゃあれだよ。名前占いで分かった」
「名前占い万能説っ!?」
そうでなくとも推薦組なんだから強いのはある意味当たり前なのだが、強い事と勝てることはイコールじゃないので彼女を責めるのも酷だろう。轟って『個性』氷だけでも十分チート臭い戦闘能力だもん。俺が正面から戦ったら間違いなく瀬呂と同じドンマイルート確定である。
………今思ったけど、俺って雄英語体育祭詰んでね?轟もそうだけど上鳴とかも相性最悪すぎワロエナイ。開幕ぶっぱの類は未来が見えてても回避できないからマジでお葬式だ。ほーたーるのーひーかぁりーってなっちゃう。
素手で戦わなければならないという条件を考えると切島も詰んでるなぁ、と思ってたら件の切島が意外そうな顔でこっちを見ていた。
「水落石ってバリバリの理論派っぽいのに占いとかするんだな。おめーそういうの信じないクチかと思ってた」
「都合のいいモンは信じる。悪いモンは信じない。そして警戒しろと言われたら取りあえず全力でないにしろ警戒しておく。占いには根拠はないけどムキになって遠ざける必要もないだろ?丁度いい感じに付き合ってればいいんだよ」
「オメーやっぱなんか冷めてるよな……」
うーん………さっき俺のことを「実は熱いヤツ」と称しただけに、自分の評価が実は間違ってたんじゃないかと不安になっているのかもしれない。
なんというか、駄目だな。入学からしばらく経つが、正直クラスのノリ軽い組とはあまり話が出来ていない気がしてならない。葉隠は向こうから過剰に近づいてくるので必然的に喋れるのだが、俺はどうにも「居眠り系インテリ」という非常に奇異なジャンルに分類されつつあるようだ。
何故だ、何故こうなった!?天狗か!?妖精さんか!?ようかいのせいか!?それともゴルゴムの仕業か!?……いいや違うねっ!原因は分かり切っている!
「俺に友達がいないのはどう考えても『個性』が悪い!」
「ほう、俺たちは友達でないと申すか」
「んっんー……ちょっと向こうで、3人でOHANASHIしようか~♪」
「えっ、あっ、ちょっ、今のは言葉のあやというやつででしてね……あや、あややや!?」
あの、常闇さんと葉隠さん?何故に俺の両腕を拘束してリトルグレイのように運搬しているんでしょうか?あの、まだ授業中なんですけどなんでオールマイトから見えない路地裏へ運ばれ……こ の 流 れ は ま さ か 。
……10分後。
「私は友達?」
「ウルトラキュート葉隠ちゃんは裏表のない素敵な友達です!!」
『オレとゴ主人はトモダチか?』
「常闇とダークシャドウは深淵より出でし宿命の戦士にして俺の素敵な盟友です!!」
(葉隠、少々やり過ぎだったのではないか?)
(……なんか私もそんな気がしてきた)
オレハショウキニモドッタガナニカサレタヨウダ。
= 常闇と葉隠との友情が深まった!!(?) =
しばらく、意識を失っていたようだ。
目が覚めたら授業は佳境に入っていた。時間にして10分は気絶していたのか?うーん、仔細が思い出せないが何か恐ろしいものを見た気がする……まぁ、いいか。どうせ寝ぼけてただけだろう。
『Cコンビがヒーロー!Jコンビがヴィランだ!!』
相変わらずオールマイトの発表によって4人の有精卵共が選出された。Cチームって俺のチームだな。あぶねー意識取り戻しておいてよかった。取り戻してなかったら本気の居眠り野郎だからな。
そして喜べ女子共、次の試合は全員男だ薔薇ってBLって腐れるぞ。この世界そこまで腐った人いないみたいだけどね。知ってるかあんたら、昔は腐女子って「頭の腐ったお姉さん」って言われてたらしいぜ。今とあんまり変わらんな。
「うーっし行くぞ峰田ー。勝ち目があるかどうかは別としてなー……」
「うーっす………って戦う前から不吉なこと言うなよぉ!オイラ直接戦闘向いてないんだからお前が頼りなんだからな!」
この作品のスケベとエロ代表なグレープ小人、峰田がズボンの裾をものすごく掴んでくる。確かにこのクラス内では反復横飛び以外の身体能力が滅茶苦茶低いし、しかも峰田の能力はどちらかというと防衛・迎撃向きだから不安になるのも無理はない。
だが峰田、心配することはない。
「頼りってお前、相手はどっちも戦闘力高い瀬呂と切島だぜ?カンがいいだけの俺を主軸に行くのは無茶どころか無謀レベルだ。特に今回のルールだと瀬呂が厄介すぎて勝てるイメージが沸かねーっつうの」
「そこを何とかするのがお前だろ!?頭脳派担当さんよぉ!?」
「いやいや無理無理勝ち目ありません。ぶどうとそうめん装備してタイガー戦車と戦うようなものです。この訓練は早くも終了ですねー」
「プルスウルトラする気概が微塵も感じられねぇ!?」
ぶっちゃけありえない☆(勝ち目が)。
爆豪と真正面から殴り合い出来る超タフネスの切島はこのクラスどころか作中でもトップクラスの耐久力だ。瀬呂は単純に能力の応用性が高くてかなりキツい。正面から戦り合ったら間違いなく負ける上に、相手はヴィラン故に無理して攻めないでもタイムアップ狙いで十分勝利条件を満たせる。切島はともかく瀬呂はその辺の勘定が出来る男だ。
しかし、そんな俺のまっとうな意見に対して周囲からはブーイングが浴びせられる。
「おいおい水落石、あんだけ麗日にズケズケ言っておいて自分がやるときは始まる前から諦めるって無責任だろ。ヒーロー科なんだから逆境くらい跳ねのけろよ!!」
「そーだそーだ!ミスター砂藤の言うとおりだ!!根性なしの臆病者ー!!」
「ね、ね、つくもちゃんもそう思うよね?」
『え、ええ?その、えっと………』
急に話を振られたつくもちゃんがオドオドしている。かわいい。
『けっ、ケガとかなく終われたら一番いいと思うんですけど……ああ、でも勝てないってわかってもピンチの時には前に出なきゃいけないのがヒーローだし……わ、私!お二方をいっぱい応援しますから……プルスウルトラ、ちょっとだけやってみましょ?ねっ?』
「よーっし峰田!いっちょ限界突破やってみますかぁ!!」
「オイラたちのコンビネーションなら絶対やれるぜ!!」
「単純っ!?」
――ああ、男って本当に分かりやすい生き物だと思わないか、峰田。
――お前とは美味いグレープジュースが飲めそうだぜ、水落石。
その日、俺たちは心の友となったのだ。
= 峰田実とソウルフレンドになった!! =
ああいう可愛い子に限って女子に嫌われる率が高いのは何故じゃ。某所のアンケートではジャンプのむかつくヒロインランキングに麗日さんの名前があってマジで唖然としたぞ。あれは詳細不明なんだけど何がどうなってあの結果になったんだろうか?
「で、実際問題作戦とかあるのか、水落石?」
「ん、そうだな……まずは敵の出方でありうるいくつかのパターンを考えて、そこから対策だな」
「………お前、あの時はやる気なさそうにしてたのにやっぱ考えることは考えてんだな?」
「無策だと思わせておいた方が相手の迂闊なミスを誘える。プロでもやってる小細工さ」
べぇ、とおどけて舌を出す俺に「お前意外と悪いやつだな」と峰田は笑った。現在俺たちは試験現場となる場所に移動する少ない時間を使って作戦を立てている。当然相手チームとは違うルートを通っているので情報漏えいの心配はない。
「まず俺が個人的に一番ヤバイと思ってるのが瀬呂の奇襲だ。リーチが長い上に拘束力が高い。こいつが来たら俺たちゃおしまいだ。一応来たら俺の十手で迎撃するが、倒すのは無理だろうな。そんときはお前がどうにか切島を掻い潜るか無力化して核奪取するしかなくなる」
「無茶苦茶言うなよ!!切島とタイマンなんて絶対嫌だぞ!?」
「だから言ったろ、一番ヤバイと思ってるってさ」
峰田のもぎもぎは投擲か設置の二択しかないトラップ系『個性』だが、そもそも切島は運動神経がいいし目もいいだろうから当たってくれない可能性が高い。峰田が素手で戦えるほどの体格と力を持っていたら状況的有利を作って拘束できる可能性があるが、見ての通り峰田は小人なので無理だ。
俺も俺で十手一本で瀬呂とやりあって拘束されない自信はない。1,2分保てればいい方だろう。
「ただ、二人同時に出てくると瀬呂は切島に当てないよう気をつけなきゃいけないから隙が出来る。また、瀬呂のテープはトラップとしても使えるから籠城決め込んでくる可能性もある。俺としては後者が一番勝率があると思うな」
「なんでだ?二人とも強いから苦戦必至じゃないのか?」
「例えばだけど、瀬呂単独で核を守っていたとしたら、瀬呂は攻略に滅茶苦茶時間がかかるようにテープでありったけの罠を仕掛ける筈だ。そしてそれに苦戦している俺たちを尻目に別行動の切島を呼び出せばお手軽挟み撃ちの完成になる」
「うわ、それは確かに詰んでるな。前門の虎、後門の狼ってやつか……」
逆に切島単独で守っている場合、瀬呂が罠設置に全力を注げる上に俺たちが最もしてほしくない瀬呂単独奇襲の確率がグンと上がる。二人とも核から目を離して迎撃に来るってのは……まぁ、サッカーでキーパーがゴールポストから離れるようなリスキーな真似だ。無論それでも勝算はあるだろうが、可能性としては低い。
となると、最大の狙い目はやはり2対2の核部屋での衝突。
「実際、2対2で迎撃された場合くらいしか勝ち目を引き出せない。もし相手がトラップ抜きの立ち回りならもぎもぎをバラ巻きながら乱戦に持ち込めるし、切島を上手く誘導させれば瀬呂の攻撃を大分制限出来る。瀬呂のテープなら入試で見たが、あれは乱戦では誤射の可能性が出てくるからな」
あのテープはコントロールも速度もかなりのものだが、いかんせん室内で使うと直線で進むから味方の動きも制限しかねない。それに――。
「テープトラップは諸刃の剣だ。相手の行動を制限できる分、自分の行動範囲も必然的に制限される。それだけならいいが、そこに同時に切島もいたとすれば、味方殺しを避けるための配慮が必要になる……」
「つまりそれがオイラたちの付け入る隙って事だな!」
「まぁな………言っておくが、あの二人は自分の『個性』を相当使い慣れてるように見えるから付け入る隙は結構狭いぞ」
「それでも勝ち目ゼロよりゃマシだろーが!!」
「まーそりゃそうだ!よっし、詳細詰めていくぞ!!」
こうして俺たちは、時間いっぱい戦い方や迎撃方法について話し合った。
峰田の手前そう言ったが、実際問題勝率は全部の可能性ひっくるめて1割行けばいい所だろう。
だが、ノリとは言え付母神が応援してくれると言っていたのだし、俺がボロクソ批評した爆豪と麗日もこの訓練を見ているのだからせめて意地くらいは見せなきゃならないだろう。
人には負けられない戦いがある。今回の戦いは、それではない。
でも、負けていい戦いだから負けても悔しくないなんてことは絶対にない。
「ちぇっ、口では何だかんだ言いつつも負けたくねぇのバレバレだなー俺はよぉ」
「オイラだって負けるのは嫌だっつーの。せっかく雄英入ったんだからヒーローらしくカッケェことしてーだろ!?」
「分かるわー。なんかガラにもなく燃えてきちまうよな、こういう逆境!!」
ああ本当、男って分かりやすい生き物。
「そして逆境の先にあるモテモテパラダイスを!!」
「いや、そこまでは……」
「ところで葉隠のおっぱいってお前から見てどうなの?」
「おい、そろそろ真面目な話しないと俺たちマジで負けるぞ?」
げに儚きは時の流れなりけり。
後書き
参謀役を強いられる系主人公。原作の2対2訓練は途中からダイジェストなので本人なりに精一杯考えています。水落石終わったら他のオリキャラの訓練をちらっと紹介できたらいいなぁ。
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