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英雄伝説~光と闇の軌跡~番外編 語り継がれなかった軌跡篇

作者:sorano
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外伝~”六銃士”の”鉄血宰相”への宣戦布告~第4話

ギュランドロス達が突撃を開始したその頃、エレボニア帝国軍の本陣では総司令のワルター中将が部下から信じ難い報告を受けていた。



~ベルガード門・ガレリア要塞間街道~



「ほ、報告!ナイトハルト少佐率いる”第四機甲師団”の歩兵部隊、全滅したとの事です!」

「何だとっ!?」

「ほ、報告!オーラフ中将率いる”アハツェン”部隊、完全に壊滅したとの事です!なお、”アハツェン”は全て破壊され、オーラフ中将も敵将ギュランドロス司令との戦いによって戦闘不能に陥ったとの事です!」

「馬鹿なっ!?”アハツェン”の部隊を破ったどころか、帝国軍最強の将軍の一人である”紅毛のクレイグ”を降しただとっ!?」

慌てた様子で報告をした兵士の説明を聞いたワルター中将は愕然とした。

「何だ、あの砂煙は……?―――――!!し、司令!!ま、前を……!クロスベル警備隊が突貫して来ます!」

「何っ!?」

兵士の指を刺す方向をワルター中将が見つめると多くの装甲車がまるで壁のように並んで走り、その後ろからは警備隊員が帝国軍の本陣に向かって突貫していた!



「な、何だあの数は!?」

「い、一体警備隊は何人いるんだ!?」

「そ、それよりこの数で迎撃できるのか!?」

主力の”第四機甲師団”に加えて”アハツェン”の部隊すら失ってしまい、半数にまで減った事に対して警備隊はその倍はある様子に気付いた兵士達は狼狽え

「グッ!?念の為に隠しておいた”アハツェン”を使えっ!」

「イエス・サー!」

そしてワルター中将の指示によって”アハツェン”が5台動き出した。



「なっ!?”アハツェン”!?全て破壊したはずなのに!」

一方姿を現した”アハツェン”を助手席から見ていた警備隊員は驚き

「やっぱり隠し持っていたわね!だけど、これもエルミナ大尉の予測通りよ!――――エルミナ大尉!いかがなさいますか!?」

装甲車を運転するミレイユ准尉は厳しい表情をしながら装甲車に搭載されてある通信器で指示を仰いだ。

「戦車は5台。ならばこちらは物量の差で圧せばいいだけの事。第一~第六部隊によるミサイルの一斉放射で砲撃を防ぎ、残りの部隊で反撃します!合図は私がしますので貴女達はいつでも撃てるように準備をしなさい!」

「イエス・マム!!」

そして”アハツェン”が帝国軍本陣の前に出て砲口を突貫して来る警備隊に向けた。



「撃てぇっ!クロスベルに”宗主国”の力を思い知らせてやれっ!!」

ワルター中将の号令によって5台の”アハツェン”の砲口からは辺りを轟かせる轟音を立てながら砲撃を放ち

「――――今です!撃ちなさいっ!!」

砲口から火が噴いた瞬間を見極めた装甲車の助手席に乗っているエルミナが叫んだその時、複数の装甲車から次々とミサイルが発射された!”アハツェン”から放たれた5つの砲弾は数倍以上の数に真っ直ぐに飛ぶミサイルに命中して空中で爆発を起こし、更に爆発によって周囲のミサイルも誘爆してその場は煙に包まれ、本陣に向かって突撃して来る警備隊の姿を隠した。

「馬鹿なっ!?砲弾にミサイルを命中させて砲撃を防いだだとっ!?」

砲撃を防がれた様子を双眼鏡で見ていた司令は信じられない表情をし

「し、司令!爆発による煙で警備隊が見えません!」

”アハツェン”の乗組員達は混乱した様子でワルター中将に通信した。



「狼狽えるな!ただの目くらましだ!あの煙の中に奴等はいる!撃って、撃って、撃ちまくれっ!!」

慌てた様子の通信にワルター中将が怒鳴り返したその時煙の中から無数のミサイルが現れて真っ直ぐに本陣の前に展開している”アハツェン”へと向かった!

「なっ!?」

「げ、迎撃しろっ!」

「だ、駄目だ!間に合わ――――」

自分達が乗る戦車に向かって来る無数のミサイルを見た乗組員達が慌てたその時、ミサイルは”アハツェン”やその周囲に命中して爆発や衝撃を起こした!

「ぐああああああっ!?」

「ぎゃああああっ!?」

爆発による衝撃によって歩兵たちは吹き飛ばされ、ミサイルが命中した”アハツェン”は砲口が破壊されて砲撃ができない状態になり、また乗組員達にも衝撃や爆発が襲った為、乗組員達自身も怪我を負った!



「アッハハハハハハッ!切り札の使いどころを間違えたねぇっ!?」

するとその時エルンストが帝国軍本陣の上空に転移魔術によって現れた。

「な、なんだあれは!?」

「ひ、人!?」

上空に浮かぶエルンストの存在に帝国軍人達が狼狽えたその時

「コイツでぶっ壊れちまいなぁっ!」

エルンストは両手にバチバチと迸る魔力を溜め込み

「――――エル=アウエラ!!」

溜め込んだ事によって球体となった魔力の塊を地上の”アハツェン”部隊に向けて解き放った。解き放たれた巨大な魔力の球体は地面にぶつかった瞬間戦場に閃光を走らせ、帝国兵達の叫びや戦車が破壊される轟音すらも呑み込む轟音を立てる爆発を起こし、爆発が収まるとクレーターとなった場所に木端微塵に破壊されて無惨な姿となった”アハツェン”の成れの果てや重傷を負って呻く兵達が地面に倒れていた!



「なあっ!?」

「そ、そんな!?”アハツェン”が……!?」

信じ難い光景にワルター中将は口を大きく開けて絶句し、兵達は表情を青褪めさせ

「し、”死神”だ!あれは”死神”だ―――――――ッ!!」

「う、うわああああああああああああっ!?」

「め、女神様―――――――ッ!!」

紫紺のローブを身に纏い、青白い肌を持ち角を生やしている事や圧倒的な破壊力を見せつけた事によってエルンストが”死神”に見えて恐怖を抱いた帝国兵達は混乱したり逃亡したりし始めた。



「逃げるなっ、貴様らっ!敵前逃亡は重罪だぞっ!?」

逃げ惑う兵達に怒りを抱いたワルター中将は怒鳴り散らした。するとその時警備隊が帝国軍の本陣に到着し、装甲車からは次々と警備隊員が下車して武器を構え

「テメェら!帝国軍共に俺達の力を見せつけてやれっ!!」

「―――総員、帝国軍を制圧せよっ!!」

「一人残らずボコボコにしちゃいなさい♪」

「さあ――――行くよっ、野郎共ぉぉぉぉぉぉ―――――ッ!!」

「オォォオォォオオオオオオ―――――――――――ッ!!」

”六銃士”の大号令によって警備隊員は鬨の声を上げて混乱する帝国兵達との戦闘を開始した!



「あっはははははははっ!暴れて暴れて暴れまくりなぁっ!」

「イエス・マム!!」

「うおおおおおおおおおっ!!」

「ががっ!?」

「ぐあっ!?」

「ぎゃあっ!?」

パティルナ率いるスタンハルバードを持つ近接部隊はまるで狼が走るかのような怒涛の速さで戦場を駆け回りながらスタンハルバードを豪快に振るって次々と帝国兵達を吹き飛ばしたり気絶させたりし

「うふふ♪――――みんな眠りなさい。」

「ヒッ!?」

「だ、誰か助け――――ぎゃああああああああああっ!?」

ルイーネは膨大な殺気で帝国兵達を恐怖に陥らせて身体の動きを鈍らせた後神速のスピードで細剣で突きを放って次々と戦闘不能にし、ルイーネの周りの警備隊員はルイーネが作った傷口を広げるかのように次々と攻撃して帝国兵達を戦闘不能にさせたり気絶させたりしていた。



「アーツ初撃部隊、放てっ!今です、近接部隊右翼!敵部隊を殲滅しなさいっ!!ライフル部隊左翼構え!撃て!――――近接部隊左翼!突撃!」

「ライフル部隊、一斉掃射開始!―――今よっ!近接戦闘部隊、一気に制圧しなさいっ!」

エルミナとミレイユ准尉は戦場で次々と指示を送って自軍の部隊を的確に動かし

「オオオオオオォォォォ―――――――――ッ!!」

ランディは全身に膨大な闘気を纏ってまるで獣が吠えるかのような遠吠えを上げながらスタンハルバードを豪快に振るって帝国兵達を次々と吹き飛ばし

「そらそらそらそら―――――ッ!まだまだあるよっ!?あっはははははははっ!」

エルンストはバチバチと迸る魔力を纏わせた両手を交互に振るって次々と爆裂する魔力弾を連射して帝国兵達をゴミのように吹き飛ばし

「ガッハハハハハハッ!どけどけどけ――――ッ!”暴君”のお通りだっ!!」

「ぎゃああああああっ!?」

「ががっ!?」

ギュランドロスはまるで暴れ牛が突進するかの勢いで戦場を駆け回りながら豪快に大剣を振るったり剛腕を振るって帝国兵達を吹き飛ばしたり、殴り飛ばしていた。



「あ、ありえん!誇り高き帝国軍が自治州の警備隊如きに蹂躙されるだとっ!?わ、私は悪い夢でも見ているのか……!?」

蹂躙される自軍の様子にワルター中将が愕然とした表情をしたその時

「違うなあ、これが”現実”だ。」

「な―――――」

「オラアッ!!」

「へぶっ!?」

凶悪な笑みを浮かべたギュランドロスが振るった剛腕がワルター中将の顔に命中し、ギュランドロスに殴られたワルター中将は鼻の骨が折れ、その結果鼻から大量の鼻血を出しながら気絶して地面に叩きつけられた!



「………………………」

一方演習の様子を演習場から離れた場所で巨大な画面端末で戦いの様子を見ていたノエルは目を見開いて口をパクパクさせ

「嘘だろうっ!?け、警備隊がエ、エレボニア帝国軍を蹂躙してやがる!?」

ダグラス少尉は信じられない表情で声を上げ

「あ、あいつら本当に俺達と同じ警備隊なのか!?」

「つ、強すぎる………!」

「というかギュランドロス司令、滅茶苦茶すぎだろ!?」

「な、生身で戦車を破壊するとかありえねえ………」

警備隊員は信じられない表情で戦いの様子を見つめ

「…………………………」

ソーニャ副司令はノエルのように目を見開いて絶句していたが

「フフ、どうやら”D∴G教団事件”は結果的にクロスベル警備隊を良い方向へと変える形になったようね。」

やがて静かな笑みを浮かべて微笑んだ。



「なっ!?」

「オイオイオイ!?警備隊が帝国軍を蹂躙するとか、こんなのアリか!?しかも生身で最新型の戦車である”アハツェン”を破壊する上、砲弾を撃ち返したり”アハツェン”を纏めて破壊するとか”化物”すぎだろ………」

「うわっ………蹂躙されている帝国兵達は御愁傷様だね~。というか”紅き暴君”ってホントにボク達と同じ”人間”かどうか疑わしいよね?しかも”六銃士”なんだから、”紅き暴君”みたいなのが後5人もいるんでしょう?こんな”化物”が6人もいるなんて、まさに悪夢じゃん………」

一方ガレリア要塞で演習の様子を画面端末で見ていたクレア大尉は信じられない表情をし、”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の一人でありオズボーン宰相の秘書を務めつつ”情報局”の大尉も務めているレクター大尉は疲れた表情で溜息を吐き、同じく若年ながらも”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の一人でもある少女ミリアムは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「つーかよ。こんなの”貴族派”の連中に知れ渡ったらオッサンや俺達にとって、厄介な事になるんじゃねえのか?」

「当たり前です!演習とはいえクロスベルの”宗主国”であるエレボニア帝国の正規軍がクロスベル警備隊に敗北……しかも完敗したという失態を創った”張本人”として宰相閣下や”革命派”を責める口実になります!―――それどころか数か月後に行われる”通商会議”にも影響が出てしまいます!情報規制は必須です!」

「ハア。ま~た、余計な仕事が増えたぜ。」

「ア、アハハ。”六銃士”が相手だと、ガーちゃんも簡単に破壊される気がしてきたよ………ボクは”六銃士”とは絶対に戦いたくないな~。」

「”六銃士”……まさかこれ程までの”規格外”だったなんて!彼らの事はカシウス・ブライト―――いえ、それ以上の警戒レベルに引き上げる必要がありそうですね……!」

”鉄血宰相”の手駒として働く”鉄血宰相”に”才”を見出された”子供達”はそれぞれの想いを抱えて画面端末に映る演習の様子を見つめていた。



そして1時間後合同演習は警備隊の勝利という形で終わり、双方の被害はクロスベル警備隊は約200名の戦闘不能者を出した事に対してエレボニア帝国軍の兵や将達は”全滅”に加えて”アハツェン”も全て完全に破壊されて使い物にならなくなり、更にはおよそ半数に及ぶ重傷者を出したという結果になり、演習はクロスベル警備隊の圧倒的勝利という結果に終わった。 
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