SAO~円卓の騎士達~
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第十六話 『圏内事件』再び
~キリト side~
事件の翌日、俺とアスナはもう一度ヨルコさんの所へ行き、話を聞くことにした。
アスナ「ところで、キリトくん。」
キリト「ん?」
アスナ「グリムロックって人に付いては何か分かったの?」
急激に冷や汗をかく感覚がする。
実際はそんなこと起こらないのだが。
キリト「いや、その、昨日色々ありまして、」
アスナ「結果は?」
キリト「何も分かっておりません。」
アスナ「ふーん。 言い訳聞いてあげる。」
キリト「まず、ギルドに帰ろうとしたら聖龍連合のシュミットとその仲間達に捕まり、」
アスナ「シュミットさんが? 何で?」
キリト「分からないけど昨日の事を聞きたがってた。 それに、あの武器まで取られそうになった。」
アスナ「取られそうになった?」
キリト「偶然、アーサーが通りかかって、んで、シュミット達が逃げてった。」
アスナ「じゃあ、結果としては取られてないのね?」
キリト「そのとーり。 で、今日はヨルコさんにシュミットとグリムロックの事を聞きに来た。」
話題を上手く逸らす事に成功。
やったぜ。
そして俺たちはヨルコさんのいる宿に着いた。
キリト「今日は昨日の事とは違うことを聞きに来たんだ。 って言っても関係はしてるだろうけど。」
ヨルコ「はあ。」
アスナ「グリムロックとシュミット。 この二人の名前に聞き覚えはありますか?」
ヨルコ「・・・はい。 私とカインズが入っていたギルドのメンバーです。」
キリト「ギルド?」
ヨルコ「はい。 『黄金林檎』というギルドでした。」
キリト「『黄金林檎』、確か中層の少人数ギルド、でも半年ぐらい前にギルドマスターの死により、解散したって聞いたな。」
アスナ「何でそこまで知ってるの?」
キリト「ギルドマスターを殺した方法が当時では珍しい睡眠PKだったから。」
アスナ「あぁ、そういうこと。」
ヨルコ「はい。 その通りです。 ちなみにギルドマスターのグリセルダさんはグリムロックと結婚していました。 ですが、ある時偶然レアな指輪を手に入れて、結局売ることにしたんですけどそれを売りに行ったグリセルダさんがその日泊まった宿で殺されて。」
キリト「そのグリムロックが今、何処に居るか知らないか?」
ヨルコ「いえ、ギルドが無くなってからはあまり連絡は取ってなかったので。」
キリト「そうか。」
そして、俺達は宿から出た。
アスナ「結局、あまり良い情報は得られなかったね。」
キリト「いや、そうでもない。」
アスナ「え?」
キリト「可笑しいとは思わないか? 半年前まで中層に居たシュミットが攻略に参加出来てるなんて。」
アスナ「確かに。 半年でそこまで急にレベルアップ出来るとは考えにくいわね。」
キリト「こりゃ本当にシュミット尋問してみないとダメかもな。 アポ取れるかな。」
アスナ「アーサーくんは色々とコネ持ってるから大丈夫じゃない?」
キリト「シュミットをヨルコさんと会わせた方が確実に話聞けると思うけど、出来ればヨルコさんの宿にしたいからな。」
アスナ「? 何で?」
キリト「個人的に聖龍連合苦手。」
アスナ「あー、分かる。 ちょっとやり方強引だもんね。」
その後、俺達はアーサーの名前を使って(本人に許可を貰い)シュミットをヨルコさんと会わせる約束をさせることに成功した。
そして、翌日。
ヨルコさんの宿。
シュミット「久しぶりだな、ヨルコ。」
ヨルコ「えぇ、久しぶり。」
シュミット「カインズが殺されたっていうのは本当か?」
ヨルコ「ええ。」
シュミット「クソ! 何で訳の分からない方法で殺されなきゃいけないんだ。」
ヨルコ「・・・昨日、寝ずに考えてみたの。カインズを殺したのはグリセルダさんじゃないかって。」
シュミット「ば、バカな。 死んだ奴がどうやって人を殺すと」
ヨルコ「あの指輪、売るか使うかで意見が別れたとき、私とカインズ、そしてあなたは売る方に賛成した。 でもそのせいでグリセルダさんは死んだ。 その事を恨んで私達を殺しに来るとしたら? いや、もしかしたら唯一グリセルダさんに任せると言ったグリムロックさんの復讐かも。」
ヨルコさんが立ち上がり窓の方に歩いていく。
ヨルコ「そうだとしたら辻褄が合うわ。 私達を殺そうとしてるのはグリセルダさんとグリムロックさんなのよ。 そうとしか考えられない、、っ!」
トンッ、という軽い衝撃音。
そしてヨルコさんが背中を此方に見せた。
キリト「なっ!?」
その背中にはダガーが刺さっていた。
そして、そのままヨルコさんは窓から落ちていった。
駆け寄って下を見るが残ってたのはポリゴンのみ。
そして、窓の向こうを見るとフードを被った人物が屋根の上に居た。
そして、その人物は逃げ出した。
キリト「クソ! 逃がすか!!」
アスナ「キリトくん!」
俺はそのまま窓から飛び出し、その人物を追い掛ける。
屋根から屋根へと駆け回るがその人物は俺が追い付く前に転移結晶を取り出した。
キリト「っ!」
俺はいつも装備してるピックを取りだし、その人物に狙って投げた。
少しでも相手が驚いて、動きが止まるのを期待して。
だが、その期待もむなしく、その人物は落ち着いたままでいた。
それと同時に鐘が鳴る。
その音に掻き消されその人物が何処に転移したのかも分からなかった。
そして、俺はヨルコさんの宿に戻った。
そして、部屋のドアを開けると
アスナに襟を捕まれ部屋の中に入らさせられた。
アスナ「まったく、何でそう後先考えずに行動するかな!?」
キリト「いや、ほら、容疑者がいるのに逃がしたら損じゃん。」
アスナ「もしかしたら君も死んでたかも知れないんだよ!?」
キリト「申し訳無い。」
とまぁ、いきなり怒られた。
シュミット「あ、あれはグリムロックの着ていたマントだ。 やっぱりヨルコの言ってた通り俺達を殺しに。」
震えた声でシュミットが言う。
キリト「あのなぁ、リアルではどうか知らないがこのVR世界では全ての事は説明がつくようになってるんだ。 まだ、トリックは分からないがアレが無条件で出来るんだったら今頃レッドが横行してるだろ。」
シュミット「それはそうだが、」
キリト「カインズを殺した槍も、このダガーもシステムに数行で書かれた物だ。」
そう言ってシュミットの前にダガーとギルティーソーンを投げる。
シュミットはビビって触ろうともしないが。
シュミット「お前らに頼みがある。 俺をギルドまで送ってくれ。」
ビビりすぎだろ。
~side out~
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