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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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131部分:第十六話 西部にてその一


第十六話 西部にてその一

                   西部にて
「シャカよ」
 シオンは己の前にシャカを呼んでいた。そしてそのうえで彼に問うていた。
「シュラはもうアメリカに着いたな」
「はい、今しがた」
 シャカはシオンの問いに静かに答える。片膝をつきそのうえで目を閉じたまま彼に答えるのだった。
「アメリカに着きました。そのまま連れている白銀及び青銅の者達と共に然るべき場所に向かっています」
「アメリカは広い」
 シオンは言った。
「だが。既にその場所はわかっているのだな」
「狂闘士達の小宇宙を追って」
「その場所にだな」
「はい。八大公の一人ベールのジークはニューヨークから南西に下っています」
「南西というとだ」
 シオンの頭の中でアメリカの地図が描かれた。彼はそこからある場所を見出した。
「あの場所か」
「そうです、あの場所に向かっています」
 シャカは答えた。
「まるでシュラ達を誘い込む様に」
「ドイツでの戦いと同じだな」
 シオンは彼の話を聞いて述べた。
「聖闘士達を引き寄せそこで戦うか」
「どうやら彼等には何らかの考えがあるようです」
「そのようだな」
 シャカもシオンも同じものを見抜いていた。両者共流石であった。
「それが何かはまだわからないが」
「少なくとも八大公をそれぞれ出陣させています」
「彼等にとっての切り札だ」
 聖域においては十二人の黄金聖闘士がそうである。彼等を出陣させる時は世界にとって危機が迫っている時だ。それだけに彼等が出陣した時は多少の犠牲は止むを得ないともされる。それ程の重いものも備えているのだ。
 その黄金聖闘士達と同じ位置にいるのはポセイドンの海闘士達では七大海将軍達でありハーデスの冥闘士達では三巨頭だ。そして今彼等が対峙しているアーレスの狂闘士達では八大公だ。その力は間違いなく黄金聖闘士に匹敵するものがある。それはデスマスクとカナンの闘いで既に実証されていた。
「その彼等をそれぞれ出している」
「何かあります」
「今彼等には主がいない」
 シオンは今度はこのことを述べた。
「戦皇アーレスがな」
「今アーレスは冥界の奥深くにいます」
「先のあの神との聖戦以来な」
 シオンはシャカに応えて述べた。
「そこにいる。実質的に封印されていると考えていい」
「封印、ですか」
 シャカは教皇の言葉にふと言葉を止めた。
「だからこそ今この聖戦に姿を現わさないのですね」
「そうだ。我等にとってはそれが救いだがな」
「確かに」
「しかし。油断はできない」
 流石に教皇としてそれはなかった。
「狂闘士達はあまりに強い」
「はい」
「戦いだけを求める血塗られた戦士であるだけはある」
 こう評した。
「その彼等に対することができるのはやはり御前達だけなのだ」
「我等だけですか」
「シャカ、御前にはこの聖域の護りを頼む」
 彼はそれに専念させることにしたのである。これは教皇としての彼の判断である。
「そして他の者達を随時出陣させていく」
「黄金聖闘士を一つの戦場に同時にですか」
「あの冥皇ハーデスとの戦いでもなかったことだ」
 シオンが生き抜いたあの時の戦いである。あの時の戦いで彼は多くの仲間達を失いまた自身も多くの死線を潜り抜け血と屍を見ていた。だからこそ知っていた。
「それはな」
「しかし今はそれをあえてですか」
「それだけアーレスの軍は強い」
 だからなのであった。
「だからだ。サガとアイオロスには負担をかけるがな」
「そのことですが」
 シャカはここでまた教皇に対して言ってきた。
「教皇」
「うむ」
「どうやらアーレスの軍勢は彼等だけではないようです」
「言い伝えに残っているな」
 シオンは静かに述べた。
 
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