聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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130部分:第十五話 第ニの戦いへその九
第十五話 第ニの戦いへその九
「この戦いは我等にとって何か」
「何かですか」
「そうだ。かつて我々はこの地上を手に入れんと聖域に戦いを挑んだ」
その過去の聖戦のことである。冥皇ハーデスとの聖戦に匹敵するとまで言われたその激しい聖戦であったと伝えられている。
「だが。我々は敗れ冥界に逃げ込むことになった」
「無念なことに」
「しかし今はこうしてようやく」
「左様。再び地上に戻っては来れた」
しかしそれで終わりではないのだ。彼等にとっては。
「だが。戦いで勝利を収めるには狂闘士達とあの者達の力が必要なのだ」
「あの者達の」
「ではいずれは」
「あの方々の封印も」
「これは私が解放しよう」
エリスは厳かな声で告げた。
「この力でな。あの者達とアーレス様が戻られれば」
「アーレス様が戻られる」
「さすれば。我々の勝利はなったも同じ」
インプ達はアーレスの言葉を聞いてそれぞれの顔を晴れやかなものにさせた。
「ではこれまで通り戦いを続けるのですね」
「アーレス様の為に」
「アーレス様は血を好まれる」
まさにそれがアーレスなのだ。彼は同じ戦いを司るとはいってもアテナとは全く違っていた。アテナの戦いはあくまで護る為のものでありそこには知性があるのに対してアーレスのそれはただ殺伐としているだけである。彼の戦いは攻めただひたすら殺戮を貪るものなのだ。
「だからこそ。戦いを行うのだ」
「この戦いはアーレス様の為の戦い」
「そうしてアーレス様が戻られれば」
「この世はアーレス様のものとなる」
語るエリスのその顔に凄みが宿った。
「この世は戦いに彩られ」
「血に染まる世界となる」
「アーレス様の好まれる血生臭い世と」
「ではそなた達は今はこのトラキアを守っているのだ」
今己の前にいるインプ達にはこう告げた。
「よいな。時が来れば動くがよい」
「はっ、ではそれまでは」
「今は。城を守らせて頂きます」
「アーレス様が戻られるこの城に」
「八大公達も力を尽くしてくれている」
エリスはそのことに満足していた。
「そして狂闘士達もな。よいことだ」
彼女は既に多くの狂闘士達を失っているがそれでも今は余裕を見せていた。まるでそれはどうとでもなるように。そのうえで今トラキアのアーレスの宮殿における己の座から全てを見渡すのだった。争いを司る女神として。
第十五話 完
2009・2・27
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