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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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最終話~それぞれの未来へ~

???年後――――



~レウィニア神権国・王都プレイア・セリカの屋敷~



「到着っと!それじゃあサティアさん、元気でね!」

ロイド達の時代より遥か未来の時代にサティアと共にセリカの屋敷の中庭の異空間から出てきたミントはサティアに微笑み

「ええ、ミント姉さんこそ、お元気で……!」

サティアも微笑みを返した。そしてミントは再び異空間を”エターナルソード”で切り裂いて元の時代へと戻って行った。

「あ、お母さん!」

するとその時セリカの容姿によく似た少女がサティアに走りながら近づいて抱き付いた。

「あれ?お母さん、どこかに出かけるの?剣を持っているし。」

サティアに抱き付いた少女はサティアの腰に鞘ごとつけられてある”天秤の十字架(ラクスリブラクルース)”を見て首を傾げ

「フフ、後で説明してあげるわ。」

少女の様子を見たサティアは微笑みながら答えた。

「――――どうやら終わったようだな。」

(クク、さぞ過去のセリカ達はお主の存在に驚いたであろう?)

するとその時セリカがサティアに近づき、セリカの剣の中にいるハイシェラは口元に笑みを浮かべ

「あ、お父さん!それにエクリア姉さん達も!」

セリカ達を見たサティアに抱き付いている少女は明るい表情をし

「お帰りなさいませ、サティア様。」

セリカの背後に控えているマリーニャ達と同じメイド服姿のエクリアは微笑み

「ま、あたし達の時間で言えばすぐに戻って来たようなものだけどね~。」

「マ、マリーニャさん!」

マリーニャが呟いた言葉を聞いたシュリは慌て

「???よくわかんないです~。」

「全く……サリアはその性格を変えられんのか?」

首を傾げて呟いたサリアの言葉を聞いたレシェンテは呆れ

「何を言っているのよ!?サリアちゃんはそこが可愛いのよ!?変わる必要なんて一切ないわ!」

レシェンテの言葉を聞いたエクリアやマリーニャ達と同じメイド服を身に着けているエオリアは真剣な表情で声を上げ

「エオリアさんも全然変わらないですよねえ……その性格……………エクリアちゃんですら変える事ができず、諦めたその性格はある意味尊敬に値しますね……………」

「……………エオリア………性格………誰か……………変える事……できるの………………?」

エオリアの様子を見たリタは苦笑し、ナベリウスは首を傾げていた。

「フフ………――――ただいま、セリカ。それにみんなも。」

マリーニャ達のやり取りを微笑ましそうに見ていたサティアは幸せそうな表情でセリカ達を見つめて言った。



????年前――――



~某大陸~



「それじゃあエイドス、僕達はここでお別れだ。」

「元気でね………」

ロイド達の時代より遥か昔の時代、ミントやナユタ達と共にエイドスの時代に来たアドルとフィーナはそれぞれ優しげな微笑みを浮かべてエイドスを抱きしめ

「はい……お二人ともお元気で。エレナお母様やナユタさん達もお幸せに……」

二人に抱きしめられたエイドスは抱きしめ返して微笑みながら頷いた。そしてアドル達はミントと共にエイドスがいる時代から去って行った!

「………………あ。フフ、確かに”また”会えましたね、お父様………それに今思い出したけど”あの子”が産まれたのは今回の件のお蔭だったのね…………………イースよ、この奇蹟に感謝を……………」

ミント達が去った後ある事を思い出して声を上げたエイドスは静かな笑みを浮かべて首にかけているペンダントを見つめた後、祈りを奉げていた。

「エイドス?ここにいたのか。」

するとその時一人の青年がエイドスに近づき

「あなた………はい、今戻りました。」

青年を見たエイドスは微笑んだ後頷いた。

「???”今戻った”……?一体それはどういう意味………というかその荷物は一体何なんだい?」

エイドスの言葉を聞いた青年は首を傾げた後エイドスが持っている見覚えのない荷物――――ロイド達の時代で購入したり、貰ったりしたお土産を見て首を傾げた。

「フフ、帰ってから説明しますね。行きましょう、あなた。」

青年に尋ねられたエイドスは微笑んだ後青年と共にその場から去った。



~???~



「それじゃあフィーナ、今度こそ本当のお別れだね……」

「はい………」

エイドスの時代より遥か昔の時代、ミントやナユタ達と共にフィーナの時代に来たアドルは寂しげな笑みを浮かべてフィーナを見つめ、見つめられたフィーナも寂しげな笑みを浮かべた。

「アドルさん…………私、貴方に会えて本当に幸せでした………それにまた愛し合う事も出来て……私は本当に幸せ者です………」

「僕もだよ………君との出会いにイースに感謝を。」

そして二人は互いを抱きしめ合って口付けを交わした後離れ

「エレナさん、アドルさんの事、お願いしますね。」

「……はい。」

フィーナの言葉にエレナは静かな表情で頷いた。

「………フィーナ?」

するとその時フィーナと瓜二つの容姿をした女性が少女と共にアドル達に近づいてきた。

「え………」

「フィ、フィーナさんがもう一人!?どうなっているの~!?」

「もしかして双子……?」

女性を見たナユタは呆け、ノイは混乱し、クレハは目を丸くして女性を見つめていた。

「え………ま、まさか貴方は……ア、アドルさん!?どうして人間の貴方が生きてこの時代にいるのですか……!?」

一方女性はアドルを見て混乱し

「ハハ………久しぶりだね、レア。………フィーナから聞いていないかな?ここにいる女性――――ミントが時を超えられる事が出来る事を。」

女性――――フィーナの姉であるレアを見たアドルは苦笑しながら答えた。

「た、確かにその話は聞きましたが……本当にできるなんて……というかどうしてそんな事をしたのですか?」

レアは戸惑いながらアドルを見つめて尋ね

「―――ごめん。詳しい説明はフィーナに聞いてくれ。僕達もすぐに自分の時代に戻らなくちゃ駄目だから。」

「アドルさん……………――――!!でしたらせめてこの娘に貴方の顔をよく見せてあげてください………!いきなりの話で驚くと思いますがこの娘は貴方とフィーナの娘なんです!」

申し訳なさそうな表情で答えたアドルをレアは辛そうな表情で見つめた後ある事に気付いて少女に視線を向けて言った。

「え………じゃあその娘が……!」

少女を見たアドルは目を見開き

「――――はい、エイドスですよ。」

フィーナは静かな表情で頷いた。

「アドル………?お母様が持っている写真に写っていたその赤い髪……………まさか…………お父様なのですか……………!?」

少女――――エイドスは首を傾げた後驚きの表情でアドルを見つめ

「…………ああ。元気にしていたかい?」

見つめられたアドルは一瞬辛そうな表情をした後すぐに表情を戻してエイドスの頭を撫でた。

「はい!まさかお父様と会えるなんて夢みたいです……!あの、あの……!」

頭を撫でられたエイドスは嬉しそうな表情で頷いた後アドルに何か言おうとしていたが言いたい事や聞きたい事がたくさんあり、言葉にできなかった。

「……アドルさん……その……辛いとは思うけど………」

するとその時ミントが申し訳なさそうな表情でアドルを見つめて呟き

「…………わかっている。………ごめん、エイドス。僕達はすぐに出かけなきゃいけないんだ。」

アドルは頷いた後辛そうな表情でエイドスを見つめて言った。



「え…………………そ、その……また会えますよね………?」

アドルの言葉を聞いたエイドスは呆けた後アドルを見つめながら恐る恐る尋ね

「ああ………!いつかきっと会えるよ………!だからそれまで待っててくれ……!」

尋ねられたアドルは頷いた後辛そうな表情で一筋の涙を流してエイドスを抱きしめた。

「お父様………はい!いつかまた会える日を楽しみにしています!その時に一杯おしゃべりしましょうね……?」

抱きしめられたエイドスは呆けた後悲しみを抑えるかのように涙をポロポロ流しながら笑顔を浮かべてアドルを見つめ

「エイドス……………」

「………………………」

その様子をレアは涙を流して見つめ、フィーナは目を伏せて黙り込んでいた。

「―――そうだ。旅の途中でエイドスにピッタリの物が手に入ったからあげるよ。」

そしてエイドスから離れたアドルは懐からペンダントになっている”星杯”が描かれたロケットを取り出してエイドスの首にかけ

「わあ………本当に貰っていいのですか!?」

ペンダントをかけられたエイドスは嬉しそうな表情をした後ペンダントを持ち上げて尋ね

「ああ。」

「ありがとうございます!このペンダント、一生大切にしますね!」

アドルの答えを聞いて嬉しそうな表情で頷いた。

「え………それってケビンさん達……ううん、七耀教会の神父さんやシスターさん達が持っているペンダント………」

一方その様子を見ていたミントは驚きの表情をして呟いた。

「……言っておくけどこれは正真正銘、僕の時代の冒険の間で手に入れたペンダントだよ。――――行こう、ミント。」

「………うん。それじゃあフィーナさん、さようなら!」

「お元気で!」

「さよならなの!」

「……どうかお幸せに。」

「はい。皆さんもお元気で。」

そしてアドルはミント達と共にフィーナの時代から去って行った。



~某大陸~



「それじゃあアドルさん、エレナさん!お元気で!!」

「また会えて本当に嬉しかったです!」

「冒険、頑張ってなの!」

「フフ、それじゃあね。」

フィーナの時代より遥か昔、アドル達の時代にナユタ達と共に来たミントはナユタ達と共にアドルとエレナを見つめて別れの言葉を告げ

「ああ。そちらこそお元気で!」

「皆さんもお幸せに!」

アドルとエレナもそれぞれ頷いて別れの言葉を告げ、ミント達はアドル達の時代から去って行った。

「それじゃあアドルさん、私達も行きましょうか。そろそろドギも狩りから戻ってきている頃でしょうし。」

「ああ。」

そしてアドルとエレナもその場から去って行った。



~残され島~



「フウ……ようやく帰ってこられたね。」

「色々あったけど……未来での日々はとっても楽しい日々だったの!」

「フフ、そうね。しかもこんなにもたくさんのお土産も持って帰る事もできたしね。」

ミントと共に自分達の時代に戻ってきたナユタは周囲を見回して安堵の溜息を吐き、ノイとクレハは微笑んでいた。

「みしし。」

するとその時謎の生物が謎の鳴き声を鳴いてナユタ達を見つめ

「あ………」

「”みっしぃ”なの!」

「フフ、もしかして私達を迎えに来てくれたのかしら?」

「アハハ………本当にいたんだ………」

謎の生物――――”みっしぃ”に気付いたナユタとノイは目を丸くし、クレハは微笑み、ミントは苦笑していた。

「そうだ、ミントさん。せっかく見つける事ができたのですから記念に”みっしぃ”の写真を撮って帰ったらどうですか?」

「多分、ティオが大喜びするの。」

「………そうだね。」

ナユタとノイの提案を聞いたミントは静かな笑みを浮かべて頷いた後荷物から導力カメラを取り出し

「はい、チーズ♪」

「みしし?」

首を傾げている”みっしぃ”の写真を撮った。

「……うん、ちゃんと撮れているね。……………それじゃあナユタさん、ノイちゃん、クレハちゃん。さようなら!」

「はい!ミントさんもお元気で!」

「ばいばいなの!」

「貴重な体験をさせてくれてありがとう。貴女に星の加護を……」

そしてナユタ達に別れを告げたミントはナユタ達の時代から去って自分の時代へと帰り

「それじゃあ帰ろう――――僕達の家へ!」

「うん!」

「ええ!」

ナユタ達は自分達が住む家へと向かって行った。



現代――――



~オルキスタワー・屋上~



「―――ただいま!」

ナユタ達をそれぞれの時代に送り返してきたミントは異空間から現れ

「は、早いわね、ミント……本当にみんなを送ってきたの~?」

現れたミントを見たエステルは表情を引き攣らせて尋ね

「まあ、元の時間に戻って来ているからそう見えるだけだよ。」

エステルの疑問をヨシュアは苦笑しながら指摘した。

「あ、ティオちゃん。さっきナユタさん達を送った時に本物の”みっしぃ”に会えて、写真を撮ったから後で現像して渡すね。」

「ええっ!?」

「ほ、本当に本物の”みっしぃ”がいたんですか!?」

「あ、ありえねえ………」

ミントの言葉を聞いたエリィとノエルは驚き、ランディは口をパクパクさせ

「!?マジですか!?クッ!こんな事ならわたしもミントさんと一緒に見送りに行くべきでした!そうしたら堂々と”みっしぃ”に会えたというのに、何たる不覚………!まあ、過ぎた事は仕方ありません。それより今すぐ現像してください!さあ、早く!!」

「キーアも欲しいー♪」

「僕も欲しい~!本物の”みっしぃ”の生写真なんてコレクターとして、見逃せないよ~!」

「勿論私にもお願い、ミントちゃん!!」

「うふふ、それならレンにもお願い♪」

ティオは血相を変えて悔しがった後すぐに気を取り直し、無邪気な笑みを浮かべたキーアや自分と同じように目の色を変えたミリアムとエオリア、そして小悪魔な笑みを浮かべたレンと共にミントに詰め寄り

「お、落ち着いて~!ちゃんと現像して渡すからまずはミントから離れてよ~。」

5人に詰め寄られたミントは冷や汗をかいて表情を引き攣らせながら言った。

「ハハ………――――さてと。行こう、俺達の未来は俺達で掴み取るんだ!」

その様子を苦笑しながら見守っていたロイドは仲間達を見回して声をかけ

「おおっ!!」

仲間達全員は力強く頷いた。



こうして………英雄達はそれぞれの未来に向かって歩み始めた…………………! 
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