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ドリトル先生の名監督

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第二幕その十一

「大好きで大好きで」
「そんなになんだね」
「暇があればする位よ」
「そこまで好きなんだね」
「妖怪でもね」
「成程ね」
「姫路城なんか」
 白鷺城とも言われることもあるこの奇麗なお寺のお話もします。
「天守閣にこの辺りの棟梁さんがおられるのよ」
「妖怪の?」
「そう、とても偉い姫様がね」
「おさかべ姫だね」
 先生が言ってきました。
「その妖怪は」
「流石先生、ご存知なのね」
「うん、泉鏡花の戯曲にもなってるね」
「そう、いつも奇麗な着物を着ておられて」
「天守閣の一番上の階にいるね」
「そうなの、私達兵庫の妖怪は年に一度姫路城の天守閣に集まるのよ」 
 お静さんは先生達にそうしたこともお話します。
「それで挨拶をして宴を開くのよ」
「そんなこともしてるんだね」
「というか姫路城に妖怪の棟梁さんがいたんだ」
「そのことははじめて知ったよ」
「本当にね」 
 動物の皆はそのお話を聞いて驚いています。
「神事にも出たり神社やお寺にもお参りして」
「しかも天守閣に住んでて」
「それでなんだね」
「お祝いとかもしてるんだね」
「それが日本の妖怪よ」 
 その他ならぬ妖怪としてのお言葉です。
「知っておいてね」
「わかったよ、そのことも」
「何か独特の世界だね」
「日本の妖怪の世界も」
「他にない世界だね」
 皆もこれまで妖怪さん達とはお付き合いがありますがあらためて知ったのです。
「妖精の世界とはまた違う」
「不思議な世界だよ」
「人間の世界と普通に一緒にあるし」
「こうして僕達ともお話をしてね」
「同じものを食べたりして」
「不思議だね」
「それが私達なのよ」
 妖怪だとです、お静さんも答えます。
「日本の妖怪なの」
「そうなんだね」
「妖精の世界とは少し違うね」
「イギリスの方のね」
「似ている部分も多いけれど」
「僕もそう思ってるよ」
 先生も言います。
「日本の妖怪の世界とイギリスの妖精の世界は似ている部分も多いけれど」
「違う部分も多いわね」
「そう思うよ」
 実際にというのです、お静さんにも。
「本当にね」
「そうなのね」
「猫又みたいな妖精もいるけれど」
「確かケット=シーよね」
「そうそう、長靴を履いた猫だよ」
 こうお静さんにお話するのでした。
「後ろ足で二本で歩くね」
「そのまま私達猫又ね」
「そうだね、けれど君達とはまた違うからね」
 そのケット=シーという妖精はというのです。
「似ている部分もあれば」
「違う部分もあるのね」
「君達妖怪の世界は独自の世界だよ」
「人間や生きものの世界と一緒にある」
「同じ様に暮らしているね」
「そうなのね」
「最近日本でも君達の存在に気付かない人も多いみたいだけれどね」
 先生はこのことは少し残念そうに言いました。
「どうやら」
「昔はもうちょっと多かったけれどね」
「君達の存在を否定する人もいてね」
「そうした人が増えてね」
 お静さんはこのことは苦い顔で言います。 
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