ドリトル先生の名監督
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第二幕その十
「そこから聞きましょう」
「それじゃあね」
「ええ、相撲部の人達にも聞いて」
そしてというのです。
「問題を解決しましょう」
「それなら」
「そういうことでね」
「じゃあ今度相撲部の方に行ってみるのよ」
「そういうことでね、ただ」
「ただ?」
「本当に思うことは」
猫又は腕を組んで首を傾げさせました、そして先生にこうも言ったのでした。
「力士さんは身を大事にしないといけないわ」
「それはどうしてかな」
「だってお相撲は神事でもあるのよ」
猫又もこう言うのでした。
「だったらね」
「怪我はしないに越したことはない」
「神事で怪我をしたら」
「神様もいい気はしないね」
「そうよ」
まさにというのです。
「それはね」
「その通りだね、確かに」
「この私、お静もお相撲は長い間見ているけれど」
猫又は自分の名前も出しました、お静さんというそのお名前を。
「怪我をするのを見たら」
「お相撲で」
「そう、嫌な気持ちになるから」
だからだというのです。
「ないに越したことはないわよ」
「それなら」
「そう、絶対にね」
それこそというのです。
「怪我は根本からなくすべきよ」
「じゃあ」
「ええ、頼んだわよ」
「明日にでも行って来るね」
その相撲部にとです、先生はお静さんに約束しました。
ただここで、です。これまで黙っていたトミーがお静さんに尋ねました。
「ただね」
「ただ?」
「君猫又でね」
「この通りね」
今は人の姿で二本の尻尾は出していませんが。
「長い間生きて妖力を備えた猫よ」
「つまり妖怪だよね」
「それがどうかしたの?」
「妖怪なのに神事の場所に行っていいんだ」
「ああ、そのことね」
「うん、神聖な場所でも」
「別にいいのよ」
あっさりとです、お静さんはトミーに答えました。
「妖怪でもね」
「日本ではそうなんだ」
「神社にも妖怪いるしお寺にもね」
「いるのね」
「だからね」
それでというのです。
「私がお相撲観ても何もないのよ」
「そうなんだ」
「悪い妖怪は追い払われるけれど」
「悪いことをしないとなんだ」
「そう、別にいいのよ」
それこそというのです。
「神社にもお寺にも行ってもね」
「おおらかだね」
「おおらかなのが日本よ」
「宗教に関しては」
「そうそう、私お寺にお参りもするし」
「お相撲も見て」
「どっちもするから、そんなこと言ったら」
お静さんはトミーにこんなことも言いました。
「鬼も河童もお相撲するわよ」
「そういえば日本にはそんなお話もあるね」
「童話とかであるし実際にね」
「鬼も河童もお相撲をするんだね」
神事でもあるそれをです。
「そうなんだね」
「そうよ、河童さん達なんてね」
それこそというのです。
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