英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第180話
~最果ての道~
「………………………馬鹿な………今になって空の女神自身どころか、他の神々までもが現れ……ようやくここまで来た『碧き零の計画』を崩壊させるなんて……………私達の今までは何だったんだ………?ガイ君をもこの手にかけて、ここまで来たというのに……………」
一方イアンは絶望し、青褪めさせた表情で地面に膝をついた後両手を地面について顔を俯かせて呟き
「ググググッ………!キーアさん!まさかこれも全て識っていたのですか!?」
マリアベルは悔しそうな表情で唇を噛みしめて歯ぎしりをさせた後幹に埋まっているキーアを睨んで叫んだ。
「うん……………――――キーアがマリアベル達に協力したのは、ガイが死なない因果やエリィのママ達が死なない因果………全てはロイド達の為だったから………無駄とわかっていても、キーアは何とか変えたかった………でも、エイドス達がいる以上、キーアの力でこれ以上因果を変える事は……」
「!!」
キーアの答えを聞いたマリアベルは目を見開き
「キーアちゃん………その気持ちだけで十分よ。」
「――――ありがとう、キーア。でも必要ないよ。」
「ええ………お父様達の死は確かに悲しいけど………だからこそお姉様は幸せを手に入れ……お父様達の死を乗り越えて強くなった今の私やお姉様がいるのだから。」
「まあ、どんな理由であれ貴女のおかげでリウイとイリーナ様が再会出来たんだから、私もお礼を言っておくわ。―――ありがとう。」
セシルは優しげな微笑みを浮かべ、ロイドとエリィはそれぞれ静かな笑みを浮かべて言い、カーリアンは口元に笑みを浮かべてキーアを見つめ
「……俺もお前には感謝している。サティアと再会できたのはお前のお蔭でもあるだろうからな……」
「……それは私も同じですよ、セリカ様……」
セリカとエクリアもそれぞれ静かな笑みを浮かべて幹に埋まっているキーアを見つめた。
「ベル!お願いだから、もう諦めて!これ以上罪を重ねたら、おじさまと同じ結末になるわよ!?」
「………お父様の?一体それはどういう意味なのかしら?」
「………ディーターのオッサンなら殺されちまったぜ?局長とギュランドロスのオッサン―――――ヴァイスハイト皇帝とギュランドロス皇帝によってな。」
「!!なっ!?お、お父様が……!?」
「ディーター君が殺された………だって……?」
そしてランディの説明を聞いたマリアベルとイアンは信じられない表情をした。
「あ、貴方達、それでも警察官なのですか!?殺害を認めているなんて……!」
するとマリアベルは身体を震わせながら怒りの表情で叫び
「………正直な所、殺害をしていながらも罪に問えない事は認めたくはありませんが………俺達は局長達がクロスベルの”皇”となる事を認めました。」
「………非公式だけど、おじさまとベル達は歴史上最低最悪のSSS(トリプルエス)ランク国際テロリスト扱いされて……判決は”処刑”よ。」
マリアベルの叫びを聞いたロイドは複雑そうな表情をした後真剣な表情で答え、エリィは目を伏せて答え
「ついでにクロイス家並びに先生の財産、IBCは全てクロスベル帝国によって没収されています。」
ティオは静かな表情で答えた。
「ふ、ふざけないで下さい!裁判も無しでそんな事が許されると思って!?」
ロイド達の話を聞いたマリアベルは怒りの表情で怒鳴ったが
「………局長達――――ヴァイスハイト陛下とギュランドロス陛下は”皇帝”よ。”皇”の判断は”国”の判断でもある。……そのぐらいの事もわからないの?ベル。」
「!!」
憐みな表情で自分を見つめて言ったエリィの説明を聞いて目を見開き
「フン、それ以前に”神頼り”の政治をしようとしていた愚か者が今更、俺達人間の”法”を持ち出してくるとはな。―――笑わせてくれる。」
「本当に………自分勝手な方ですね………」
ユーシスは鼻を鳴らした後嘲笑し、エマは静かな怒りを纏ってマリアベルを睨み
「今ここで自らの罪を認めて大人しく自首するなら、私達が局長達にせめて命は奪わないで欲しい事を嘆願する。だから諦めて自首しろ!これ以上抵抗しても無駄だ!」
「空の女神どころか他の神々に加えて”神殺し”すらも許さないと言っているのです。これ以上抵抗すれば本当に”神罰”を受け、惨い最期を遂げる事になりますよ?」
「万が一戦いになった場合、殺される事も覚悟しておいてね?さすがにあたし達も許せないし。」
「………己の欲望の為に多くの人達を犠牲にした挙句この地に今まで生きてきた全ての人々が紡いだ歴史を”無かった事”にしようとしたのですから、当然の結果です。」
「エレボニアを混乱に導き、多くの平民共が傷つくきっかけを作った事………後悔するがいい!」
「君達の事は絶対に許さないぞ!」
ダドリーは静かな表情で言った後真剣な表情で叫び、エリナとシャマーラ、セティはそれぞれ真剣な表情で言い、ユーシスとマキアスは怒りの表情で叫んだ!
「お……の………れぇっ……………!ようやく………ようやくここまで来たというのに………!先祖代々から受け継ぎ………ようやく完成した至宝が後少しと言う所で………!そんな時に今更になってクロイス家の妄執の原因となった諸悪の根源が現れた挙句他の神々までもが……私達の………先祖達の悲願でもある計画を肝心な所で滅茶苦茶にするなんて………!本当に忌々しい存在達ですわね……!」
一方マリアベルは怒りのあまり顔を真っ赤にさせると共に身体を震わせ、唇を噛みしめて歯ぎしりをしながらエイドスを睨み
「………ここまでか………」
イアンは重々しい様子を纏って呟いた。
「自分では………私怨のつもりではないと思っていたのだが………やはり……どこか欺瞞があったようだ。だからこそ空の女神どころか他の神々自身の怒りを買ってしまい……この場に呼び寄せる事となり……その結果がこれか…………………先程のロイド君に諭された時………まるでガイ君に諭されているような気分だったよ。」
「………先生………」
イアンの話を聞いたロイドは複雑そうな表情をし
「……すまない。君に言えた義理ではなかったな。…………………」
イアンは目を伏せて呟いた後黙り込んだ。そして黙り込んでいたイアンは振り向いて幹に埋まっているキーアを見つめて言った。
「……キーア君。色々と惑わせて済まなかった。君は、君自身の判断で………どうするかを決めるといい。君にはもう、それができるはずだ。」
「………センセー………」
イアンの言葉を聞いたキーアは複雑そうな表情をし
「そしてマリアベル君……期待に応えられなくてすまない。どうやら私の出番はここまでのようだ。大人しく私と共に法……いや神々の裁きを受けて世界中の人々に対して償おう。」
イアンはマリアベルを見つめて言った。
「うふふ……構いませんわ。もともと先生には、計画の総合的なプランニングをお願いしていただけですから。――――ですが、裁きは先生だけが受けてください。」
イアンに見つめられたマリアベルが怪しげな笑みを浮かべたその時なんとマリアベルは杖を掲げて異空間から魔力によって発生した槍を放った!放たれた槍はイアンを貫くと共に吹っ飛ばした!
「………ぐふっ………」
柱に叩きつけられたイアンは口から大量の血を吐き
「!?」
幹に埋まっているキーアは血相を変え
「なっ………!?」
「ベル……!?」
マリアベルの行動にロイドは驚き、エリィは信じられない表情でマリアベルを睨み
「………はは………これも……因果応報か……ガイ君………ロイド君………すまな……かった………」
自分の血によってできた血だまりに倒れているイアンは寂しげな笑みを浮かべた後意識を失った!
「イアン先生……!」
「……なんて事を………」
「彼は君の味方だったんじゃないのか!?」
イアンの様子を見たティオは声を上げ、リーシャは厳しい表情で呟き、マキアスは怒りの表情で叫び
「今ならまだ間に合うかもしれないわ!キーアちゃん!」
「うん!」
セシルはロイド達の傍にいるキーアに呼びかけた後、キーアと共にイアンに走って近づいて治癒魔術をかけはじめた。
「ベル………どうして!?」
一方幹に埋まっているキーアは信じられない表情でマリアベルを見つめ
「うふふ、使えない”道具”を処分したというだけですわ。その意味では、キーアさん。――――貴女も例外ではなくてよ?」
マリアベルは怪しげな笑みを浮かべて答えた後杖を掲げた!
「………うぁぁっ………!?」
すると幹に埋まっているキーアの周囲が紅く光、キーアは苦しみ始めた!
「キーア……!?」
「おい………!ウチの子に何しやがる!?」
「フフ、これ以上迷うのなら意志を持たぬ愛らしい人形のようになってもらうだけ……元々、クロイス家の秘術によって生を与えられた人造人間………どのように扱おうがわたくしの勝手ではなくて?」
「ふ、ふざけんじゃないわよ!?今のアンタのやっている事……あの”教授”や”D∴G教団”以上に酷いわよ!?」
マリアベルの話を聞いたエステルは怒りの表情で声を上げ
「ベル……!言っていい事と悪い事があるわよ!?」
「……撤回してもらいます……!」
エリィとティオもそれぞれ怒りの表情で叫んだ後仲間達と共に武器を構えた!
「うふふふ………いいでしょう。わたくしはマリアベル・クロイス。女神を超える”至宝”を求め、全てを犠牲にしてきた一族の末裔。その千年の妄執の重みと、あなた方の一年に満たぬ絆のどちらかが果たして強いのか……互いに死力をつくして比べてみるとしましょうか?」
ロイド達の行動を見たマリアベルが杖を構えて戦闘の構えをしたその時!
「悪いけど……それは無理な話やな。」
なんといつの間にかマリアベルの背後にいたケビンがボウガンから矢を発射してマリアベルの背中に命中させた………!
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