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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第240話

~真・煌魔城~



「先程の騎士達は一体何者だったんだ……?」

「騎士達を率いている方々とのやり取りを考えるとセリカさん達のお知り合いのようでしたけど……」

昇降機が上へと昇っている中レヴィア達の正体が気になっていたアドルは考え込み、エレナはセリカ達に視線を向けた。

「あの方達は私達がお世話になっている”レウィニア神権国”の軍団の一つ――――白地龍騎士団(ルフィド=ヴァシーン)です。」

「”白地龍騎士団(ルフィド=ヴァシーン)”……!と言う事は騎士達を率いていたあの女性騎士はもしかして”レウィニアの白き薔薇”なのですか……!?」

「リィン?さっきの人達の事を知っているの?」

セリカの代わりに答えたシュリの説明を聞いて驚いているリィンの様子を不思議に思ったアリサは訊ねた。

「ああ………以前の異世界での”特別実習”でみんなも”レウィニア神権国”の事を教わっただろう?」

「そ、そう言えば………」

「確か……”水の巫女”という女神が納めている国家だったな。」

「ええっ!?め、女神様が国家を納めておられているのですか?」

「フッ、さすが”神”が現存する異世界だね。」

リィンの問いかけを聞いてかつての出来事を思い出したマキアスは目を丸くし、ガイウスは静かな表情で呟き、ガイウスの話を聞いたアルフィンは驚き、アンゼリカは静かな笑みを浮かべた。



「そして”白地龍騎士団(ルフィド=ヴァシーン)”はレウィニアの11ある軍団の一つなのだけど……”白地龍騎士団(ルフィド=ヴァシーン)”を率いているのは”レウィニアの白き薔薇”の二つ名を世界中に轟かせている女性騎士を軍団長としている騎士団で有名なんだ。」

「ええっ!?女性の身でありながら、軍を率いておられるのですか……!?」

「ほう………」

「フッ、二つ名に”薔薇”の名を冠している事といい、まるでユリア准佐やツーヤ君のような女性だね。」

「オ、オリビエさん……”レウィニアの白き薔薇”とあたし達を比べるのは間違っていますよ……確か情報によると”レウィニアの白き薔薇”は”水の巫女”に選ばれた”水の巫女”の”神格者”との事ですから、実力はレヴィア将軍の方が圧倒的に上ですよ。」

リィンの説明を聞いたエリスは驚き、ラウラは興味ありげな表情をし、静かな笑みを浮かべて呟いたオリヴァルト皇子の言葉を聞いたツーヤは苦笑しながら指摘した。

「ええっ!?”神格者”って確か……!」

「……ペテレーネ殿やイリーナ皇妃殿下のように魔神や神々から”神核”という力を承り、永久の時を生き続ける者か。」

ツーヤの話を聞いたナユタは驚き、ミュラー少佐は真剣な表情で呟いた。



「……まあ、レヴィアはレクシュミと違い、”神格者”になったのは数年前だから、実年齢はまだ30代のはずだ。」

「もう……セリカ?本人の許可もなく女性の年齢を口にするなんてマナー違反よ?」

(この馬鹿者が。そう言う所も相変わらずだの。)

セリカの話を聞いたロカとハイシェラは呆れた表情で指摘し

「ハハ……でもセリカさん、さっきの女性騎士さんと随分親しい様子でしたな?」

「確かセリカさんはレウィニアという国の客将との事ですから、その関係ですか?」

ケビンとリースはそれぞれセリカにレヴィアとの関係を訊ねた。



「………ただの昔馴染みだ。」

「フフ……レヴィアはレウィニアの”五大貴族”―――”ローグライア家”の一人娘だったのだけど……”ローグライア家”に仕えている家系の息子であり、幼馴染でもあるレフィンと一緒に当時から色々と噂されていたセリカの屋敷に忍び込んでね……その時を切っ掛けに彼女達はセリカは仲良くなって、そのお陰で彼女達は数少ないレウィニアでのセリカの味方になってくれたの。」

静かな口調で簡潔に答えたセリカの代わりにサティアが答え

「ええっ!?じゃ、じゃあさっきの女性騎士は貴族でもあるんですか!?」

「しかも”五大貴族”という名からして、”四大名門”のようにレウィニアという国の中でも相当な権力を持っているのだろうな……」

「ほえ~……貴族の女性で軍を率いている事といい、何だか”黄金の羅刹”と似ているね~。」

「フン、ツーヤやユリア准佐のように”薔薇”の二つ名がついている事を考えると”黄金の羅刹”とは似ても似つかない性格だと思うがな。」

「ア、アハハ……」

サティアの話を聞いたエリオットは驚き、ラウラは真剣な表情で推測し、呆けた表情で呟いたミリアムにユーシスは鼻を鳴らして指摘し、ユーシスの指摘を聞いたツーヤは苦笑していた。

「?何故サティアがそこまでの事を………未来の俺がお前に話したのか?」

一方サティアがレヴィアを詳しく知っている事を不思議に思ったセリカはサティアに訊ねた。

「ふふっ、正確に言えばエクリアからだけどね。勿論レヴィアが幼い頃貴方の妻になりたいってよく言っていた事も教えてくれたわよ?」

「まあ……」

「フッ、さすがはエクリアさん達を侍らしているセリカさん。その神がかったモテっぷりを見習いたいよ♪」

「貴様はその前にもっと他に見習うべき事があるだろうが、阿呆……!」

「というかそれ以前にオリビエがリウイお兄ちゃんやセリカ達みたいにモテるなんてありえないから無理。」

「エ、エヴリーヌお姉様。」

サティアの説明を聞いたセレーネは目を丸くし、からかいの表情でセリカを見つめるオリヴァルト皇子にミュラー少佐は顔に青筋を立てて指摘し、呆れた表情で呟いたエヴリーヌの言葉を聞いたプリネは冷や汗をかいた。



「………昔の話だ。今は口うるさい腐れ縁と言った所だ。」

「とか言っている割には時折レヴィアを抱いているじゃろうが。」

「はい~。ご主人様とレヴィア様もとっても仲良しです~。」

「なっ!?そ、そそそそそそそ、それって……!?」

「あらあら♪」

「フフ、間違いなく肉体関係の間柄でしょうね。」

「ちょっ、エイドスさん……!?」

「御身は女神なのですから、お願いしますからそういう事は言葉を選んで発言してください……!」

静かな表情で呟いたセリカに呆れた表情で指摘したレシェンテとレシェンテの指摘に同意したサリアの話を聞いてリィン達と共に驚いたマキアスが顔を真っ赤にして混乱している中、シャロンはからかいの表情でセリカを見つめ、苦笑しながら呟いたエイドスにケビンは表情を引き攣らせ、リースは疲れた表情で指摘した。



「全くもう……いつも言っているように私は自分の時代では”女神として”生きる事を辞めて”人として”生きているのですよ?」

「女神以前に”人として”もそう言う事に関しては遠回しに発言するべきですよ……」

呆れた表情で指摘したエイドスにルフィナは疲れた表情で指摘し

「フフ……ちなみに私がセリカと結婚して以降の話になるけどレヴィアとセリカの子供もそうだけど、ロカとセリカの子供も生まれているわよ。勿論両親は共に生きてその子達を立派な大人に育てたわよ。」

「………………………」

(ほう?クク、今の話をレヴィア嬢ちゃんに聞かせたらどんな反応をするのか、楽しみだの。)

「あら………フフ、将来私はセリカの子供を産めるどころか、生きてセリカと私の子供を育てる事ができるのね……」

「わ―――――――ッ!!サティアさん、よりにもよって本人たちを目の前で本人たちの未来の出来事を口にしないでよ~~~!?」

「それといい加減貴女はこの時代にとって未来人である事を自覚しなさい!下手をすれば貴女の発言一つで未来が変わるかもしれないのですよ!?」

エイドス達の様子を微笑ましそうに見つめた後答えたサティアの話を聞いたセリカは石化したかのように固まり、ハイシェラは興味ありげな表情をし、ロカは目を丸くした後頬を赤らめて嬉しそうな表情をし、ミントは慌てた様子で声を上げてサティアに指摘し、フェミリンスは顔に青筋を立ててサティアを睨んで指摘し、その様子を見守っていたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



「ア、アハハ……それを言ったら私達も皆さんから自分達の未来の出来事を教えられているのですけどね……」

「そうなの。というかミントもわたし達をこの時代に連れてくる時にナユタとクレハ様の未来を口にしたからミントだって他人(ひと)の事は言えないの。」

「まあまあ……」

一方フィーナは苦笑し、ジト目でミントを見つめるノイをナユタは苦笑しながら諫めていた。

「え、えっと……それよりも先程から気になっていたのですけどどうしてレウィニアという国の軍隊が今回の戦いに加勢してくれたのですか?メンフィルとレウィニアという国は同盟関係と言う話はプリネさん達からも聞いてはいませんし……」

「というかむしろ敵対していると思うよ。アヴァタール五大国の一つ――――”エディカーヌ帝国”はレウィニアとの仲が悪い上、エディカーヌは”闇夜の眷属”の国である事からメンフィルと仲がいいし。」

「ええっ!?それは本当なの、プリネ!?」

話を変える為に質問したエマの疑問を補足するように答えたエヴリーヌの話を聞いて驚いたアリサは信じられない表情でプリネに訊ねた。



「ええ。まあ、色々と理由があって両国共にすぐに戦争が起こる程険悪な関係にはなっていないとの事ですけどね。」

「それでも変な話だよね~。敵対している国と仲がいい国に加勢するなんて。」

「ミ、ミリアムちゃん。」

プリネの説明を聞いて言いにくい事をハッキリ口にしたミリアムの疑問を聞いたクレア大尉は冷や汗をかいた。

「……双界を守る為には戦力がいると思い、俺が水の巫女に今回の戦いの件を教え、一部でもいいからレウィニア軍を派遣できないか訊ねた時水の巫女が俺に異世界への転移門を管理しているメンフィルを説得する為に俺をレウィニアの外交官にして、俺がメンフィルを訊ねてレウィニア軍が今回の戦いに参加できるようにした――――それだけだ。」

「リウイ達にとっては寝耳に水な話だったそうじゃがな……何せお主と来たらリウイや父上にアポイントも取らずにいきなり帝城を訊ねてリウイと父との面会を要求したとの事だしな。」

ミリアムの疑問に答えたセリカに続くように呆れた表情で答えたリフィアの話を聞いたリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「外交官がアポイントも取らずにその国の皇に面会を要求するとか非常識過ぎんだろ………」

「というかそれ以前にセリカに外交官が務まる訳ないじゃん。その”水の巫女”っていう女神様は一体何を考えているのかしら?」

「ハハ……多分だけどセリカさんがリウイ陛下達と面識があるからじゃないかな。」

トヴァルは疲れた表情で呟き、ジト目で呟いたエステルの疑問にヨシュアは苦笑しながら自身の推測で答えた。



「……ちなみにありえないとは思うけど加勢に来たそのレウィニアっていう国の軍隊が今回の戦いが終わった後にメンフィルの時みたいに異世界での拠点を作る為に異世界に侵攻するつもりとかないでしょうね?」

「サ、サラ教官。」

真剣な表情でセリカに質問するサラ教官の質問内容を聞いたリィンは冷や汗をかき

「……水の巫女が何を考えているのかは俺もわからんが、奴自身は領地欲しさに自ら戦を仕掛けるような好戦的な性格ではない。」

(まあ、その事に関しては断言できるだの。というか水の巫女がそのような事をしたら、本物かどうか我ですら疑うだの。)

サラ教官の疑問にセリカは静かな表情で答え、セリカの説明にハイシェラは納得した様子で頷いていた。

「―――加えて、今回の戦いに加勢に来たレウィニア軍は生粋の”神殿派”ですから、裏切りや何らかの暗躍をする可能性はほぼゼロといっても過言ではないのでそう言った心配は無用ですわ。」

「”神殿派”、ですか?」

「……まさかとは思いますがそのレウィニアという国家もかつてのエレボニアのように内部分裂が起こっているのでしょうか?」

セリカの説明を補足するように答えたシグルーンの話を聞いたエリスは不思議そうな表情をし、クレア大尉は真剣な表情で訊ねた。



「ああ。レウィニア神権国の絶対君主である土着神―――”水の巫女”を敬愛するのが”神殿派”。対して限られた者達にしか姿を見せない”水の巫女”の存在を疑い自らで国を動かそうとするのが”貴族派”。かつてレウィニアはこの二つの勢力に分かれていたとの事だ。」

「”分かれていた”ということは既に解決したのですか?」

ゼルギウスの説明を聞いてある事が気になったアルフィンは不思議そうな表情で訊ねた。

「はい。エレボニアの”貴族派”のように腐敗していたレウィニアの”貴族派”は国を支配下に置くために様々な裏工作を行い、レウィニアを乗っ取ろうとしたとの事ですが、その事に逸早く気づいたレヴィア将軍を筆頭に”神殿派”が”貴族派”を電撃的な速さで制圧。そして腐敗した”貴族派”は斬首刑となり、レウィニアの内部分裂は解決したとの事です。」

「ざ、”斬首刑”って………」

「メンフィル並みに処罰方法が過激すぎだろ……」

シグルーンの説明を聞いたエリオットは不安そうな表情をし、トヴァルは厳しい表情で呟き

「……そこに補足しておくが”斬首刑”になったのは首謀者達だけでなく首謀者達の家族――――両親は当然として、奥方に子供等”首謀者達の家族全員”だ。」

「そ、そんな……!どうして両親や奥方、子供まで処刑したんですか……!?」

ゼルギウスの説明を聞いてリィン達と共に血相を変えたアリサは信じられない表情で訊ねた。



「”家族”を殺された恨みによってその殺された家族が後の災厄とならない為の予防策という意味もあるが、余達の世界では一族の連帯責任は当然という考えだ。特に内戦等国家を乱すような真似等した者は例外なくその者の妻や親、子供は全て処刑される。」

「…………………」

重々しい様子を纏って答えたリフィアの話を聞いたリィン達は絶句し

「……リフィア殿下、プリネ姫。今更な話になるが”本来の戦争回避条約”は一体どんな内容だったんだい?」

「”本来の戦争回避条約”……?」

「お、お兄様……?それは一体どういう意味なのですか……?」

オリヴァルト皇子の質問を聞いたゲルドは不思議そうな表情で首を傾げ、アルフィンは戸惑いの表情で訊ねた。

「……実は今回の決戦の打ち合わせの後にカシウスさんから教えてもらってわかった事なのだが、メンフィルはアリシア女王陛下達にヴォルフ砦とハーケン門の通行の許可を要請しに行った時に”戦争回避条約”の話になり、条約の内容を知ったクローディア姫がシルヴァン陛下達に条約内容があまりにも理不尽過ぎると指摘したとの事だが、その際にリウイ陛下は本来は戦争回避の条約に関して更に厳しい条約の案も出ていたがリウイ陛下やプリネ姫達の口添えによって条約内容をあそこまで”譲歩”したと口にしたとの事だ。」

「あ、あの条約内容で”譲歩”したって……!」

「”本来”は一体どんな理不尽な事を要求していたんだろうね~。」

オリヴァルト皇子の話を聞いたトワは信じられない表情をし、ミリアムは意味ありげな笑みを浮かべてリフィア達を見つめた。



「”戦争回避条約”は既にあの内容が正式な内容とされ、メンフィル、エレボニア双方共にあの内容に納得し、調印している。メンフィル政府内で否決された条約内容等、知らぬ方がよいと思うぞ。」

「リフィアお姉様………」

重々しい様子を纏って答えたリフィアの説明を聞いたプリネは複雑そうな表情をし

「それでも知るべきなんだ。私達の後世がエレボニアを衰退させ、皇族の一人であるアルフィンをエレボニアから追放させて他国に永住するように仕向けたメンフィルを恨み、再び戦争を仕掛けると言った愚かな事をしない為に私達はどれだけメンフィルに”情け”をかけてもらったのかを私達の後世に教える為にも。」

「お兄様………」

「……………」

オリヴァルト皇子の話を聞いたアルフィンは驚き、ミュラー少佐は目を伏せて黙り込んでいた。



「…………領地贈与や賠償金等については同じだったが、メンフィルに引き渡し、後にメンフィルが処刑する者達の中に”蒼の深淵”達やアルバレア並びにカイエン公爵家を含めた”四大名門”全ての当主夫妻に加えてユーゲント皇帝自身、そしてアルバレア公爵家に関しては”一家全員”だ。」

「何ですって!?」

「し、”四大名門”全ての当主夫妻に加えてユーゲント皇帝自身も処刑されていたかもしれなかったって………!」

「………ま、”貴族連合”がメンフィルに戦争を仕掛けたのだから、当然”四大名門”である”ログナー侯爵家”の当主である父上も貴族連合の首謀者達の一人と判断されているだろうから、連帯責任として同じ”四大名門”が犯した罪を償わせる為に父上が処刑されていてもおかしくなかっただろうね。」

「アンちゃん…………」

リフィアの答えを聞いたサラ教官は血相を変え、マキアスは表情を青褪めさせ、静かな表情で語ったアンゼリカをトワは心配そうな表情で見つめた。

「そ、それにアルバレア公爵家に関しては”一家全員”と言う事は………」

「………当然その中には俺も含まれていただろうな。」

「ユーシス…………」

セレーネは不安そうな表情でユーシスに視線を向け、動じることなく静かな表情で答えたユーシスをガイウスは辛そうな表情で見つめていた。

「それと……”戦争回避条約”の第7項であるアルフィン皇女への処罰の件に関してはアルフィン皇女をエレボニア皇家から抹消並びにメンフィルへの永久追放、そして追放後のアルフィン皇女に関しては侍女として教育し、最終的には私かレン、リフィアお姉様かイリーナ様の専属侍女として働いてもらう……という内容でした。後アルフィン皇女はリィンさんを懸想していましたから、こんな言い方はしたくないのですがせめてもの情けにリィンさん専用の娼婦になるのだったらエレボニア皇家から抹消を撤回して、短期間のエレボニアへの里帰りは許可していたとの事です。」

「なっ!?」

「エレボニア皇家から抹消やメンフィルへの永久追放ってどういう意味?」

「…………エレボニア皇家から抹消はアルフィン殿下がエレボニア皇族でなくなる事に加えてユーゲント陛下達と親子の縁を切らされる事で、メンフィルへの永久追放はアルフィン殿下は2度とエレボニアの地を踏む事ができないという意味だ………」

「しかも戦争で勝った相手の国の皇女をメイドにしてゼムリア大陸で名が知られているメンフィルの皇族の誰かに仕えさせるかメンフィル貴族のリィンの娼婦にさせるなんて、異世界の国々はともかくゼムリア大陸の国々にエレボニアは事実上メンフィルに隷属しているようなものだと知らしめているようなものね。」

「セリーヌ!」

「……………」

「アルフィン義姉様………」

複雑そうな表情で答えたプリネの話を聞いたリィンは声を上げ、プリネの話の内容が理解できていないフィーにラウラが説明し、呆れた表情で呟いたセリーヌの推測を聞いたエマは声を上げ、辛そうな表情で顔を俯かせているアルフィンをエリスは心配そうな表情で見つめた。



「ったく、そんなえげつな過ぎる処罰方法が常識だなんてお前達の世界は物騒過ぎんだろ……」

「……まあ、遥か昔のゼムリア大陸でもそう言った処罰方法が常識だったそうだけど……」

クロウは疲れた表情で溜息を吐き、クロチルダは静かな表情で呟いてエイドス達に視線を向けた。

「ええ、私達の時代でも戦争で敗北した国の男性の皇族達は処刑され、女性の皇族達は敗北した国を占領した国の皇族や兵士達の慰み物にされるのが常識でしたから、皆さんから”戦争回避条約”の内容を聞いた時にメンフィルは随分と優しいのだなと本気で感じていましたよ?必要最低限の者達だけ処刑し、メンフィルに戦争を仕掛けた国の”皇”を生かした上戦争の原因になってしまったアルフィン皇女を慰み物にしない所かアルフィン皇女が懸想している人物に嫁がせる事を許可していたのですから。」

「ええっ!?エイドスはあの内容を知って、メンフィルが優しいと感じていたの!?」

「まあ、エイドスさんの時代での感覚を考えれば、そう感じるのもおかしくはないだろうね。」

エイドスの答えを聞いたエステルは驚き、ヨシュアは静かな表情で答えた。



「………”殲滅天使”がわたし達の前で発表した”戦争回避条約”を知った時は幾ら何でも理不尽だって思っていたけど、むしろ異世界からしたらあれでも滅茶苦茶甘すぎる処罰方法だったみたいだね。」

「うむ……エイドス殿によると遥か昔のゼムリア大陸の国家でもそのような余りにも惨い処罰方法が実際にあったとの事だが、まさか異世界では未だにそのような惨い処罰方法が常識とはな……」

「それも異世界との文化の違いという事なのでしょうね……」

フィーの意見にラウラは重々しい様子を纏って頷き、エマは複雑そうな表情で答えた。

「……それに今思うとリィンと契約している連中―――メサイア達はメンフィルの客将なのに、”戦争回避条約”等が発表された時その場で出て来ずにリィン達の味方をしなかったのも、連中の感覚からすれば甘すぎる処罰方法だったから、あの時出て来ずに静観していたのはそれが理由だったかもしれねぇな………」

「あ………」

「……そう言えばメサイア達はメンフィルの客将だから、メンフィルに意見くらいはできたでしょうね。」

複雑そうな表情で呟いたトヴァルの推測を聞いたアリサは不安そうな表情をし、サラ教官は真剣な表情で呟き

(ベルフェゴール、リザイラ、メサイア、アイドス。トヴァルさんの推測は本当なのか?)

(ええ。最悪ご主人様に惚れているアルフィンは私達がメンフィルに”借り”を作る形で何とかするつもりだったけど、条約内容を聞いた時はメンフィルが予想以上に甘い事に正直拍子抜けだったわ。)

(はい……戦争になった場合敗戦国の皇女や皇妃は勝者となった国の皇族や兵士達の慰み物にされるのが常識でしたから……)

(私達の感覚からすれば、メンフィルは必要最低限の当然の要求しかしていないとしか感じていましたね。)

(……そうね。それに占領された国の民達は最悪女性は慰み物にされて、男性は奴隷にされる事も十分考えられたのに、メンフィルは自国の民達と同等に扱うとも言っていたから、その事も静観していた理由の一つね。)

リィンに念話で訊ねられたベルフェゴール達はそれぞれ答え

「(……………)ベルフェゴール達に聞いたら、トヴァルさんの推測通りだとの事だ………」

「…………………」

ベルフェゴール達の答えを代弁して答えたリィンの話を聞いたアリサは重々しい様子を纏って黙り込んだ。



「……そうか。ありがとう、話してくれて。そしてメンフィルの慈悲に心からの感謝を。」

「わたくしもメンフィルの慈悲に心から感謝し、一生忘れないように心の奥底に刻み込んでおきますわ……それと”救済条約”を考えてプリネ姫に進言してくれて本当にありがとう、エリゼ。」

「……いえ、以前にも言ったようにアルフィン義姉様が兄様に懸想していなければ提案しなかったと思いますから私の事はどうか気にしないでください。」

一方オリヴァルト皇子と共に感謝の言葉をリフィア達に贈ったアルフィンはエリゼに感謝の言葉を贈り、アルフィンに感謝されたエリゼは静かな表情で答えた。

「感謝を感じているのならば、エレボニアが存続した意味が本当にある事を示す為にもまずは国内を立て直し、そして立て直したエレボニアを繁栄させてメンフィルもそうだが各国とも永久的な友好を結ぶことだ。それがメンフィルやクロスベルもそうだが、エレボニアを存続させる為に最後まで諦めずに抗い続けたリィン達やエレボニアを庇ったリベールとレミフェリアに対する最大の感謝だ。」

「リフィアお姉様………」

静かな表情で語ったリフィアの話を聞いたプリネは微笑み

「ハハ……さすがあのリウイ陛下の孫娘だけあって、滅茶苦茶厳しいね……色々な意味でボロボロになった今のエレボニアを立て直す事でも相当苦労するのに、更に繁栄させるなんて至難の業じゃないか。まあ、メンフィルから派遣されてくるエレボニア国王代理のメンフィル皇家の方々やメンフィルやクロスベルで鍛えられて成長したセドリックがいるのだから、案外あっさり達成できるかもしれないね♪」

「このスチャラカ皇子は……」

「やれやれ。”宰相”の発言とはとても思えないな。」

「フフ……どんな事になっても変わらないのはオリビエさんらしいですね。」

「………?よく……わからない………」

オリヴァルト皇子は苦笑した後笑顔を浮かべ、オリヴァルト皇子の発言にリィン達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中エステルはジト目でオリヴァルト皇子を見つめ、レーヴェは呆れ、苦笑しているリタの言葉の意味がわからないナベリウスは不思議そうな表情で首を傾げた。

「セドリック殿下達に頼る以前にお前自身の手でも何とかする事を考えるべきだろうが……!リフィア殿下、プリネ姫。もしよろしければこのタワケもメンフィルで鍛えて……いや、むしろ馬車馬のようにこき使って頂いて構いません……!」

ミュラー少佐は顔に青筋を立ててオリヴァルト皇子を睨んだ後リフィアとプリネにオリヴァルト皇子の今後を頼もうとし

「ミュラー君、ヒドイ!……ハッ!それもまた君の愛なのかい!?」

ミュラー少佐の頼みの内容を聞いたオリヴァルト皇子は叫んだ後酔いしれた表情でミュラー少佐を見つめた。

「…………今この場でエレボニア国民を代表して、袋叩きにしてやろうか?」

「ゴメンなさい、調子に乗り過ぎました。」

「お兄様…………少しは場と状況を考えて発言して下さい…………」

そして顔に青筋を立てて自分を睨むミュラー少佐の言葉を聞いたオリヴァルト皇子は疲れた表情で答え、アルフィンは呆れた表情で溜息を吐き、その場にいる全員を脱力させた。



その後昇降機が新たな道へと続く場所に到着し、リィン達は探索を再開した―――――


 
 

 
後書き
サティアのある発言についてですが、光と闇の軌跡の本編のロカやレヴィアも同じ事になっていると思ってくださいww 
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