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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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異伝~ガイ・バニングス殺害事件の真相~

~戒の領域・最奥~



「……フフ…………ロイド……他の者達も……本当に強くなったな。」

地面に膝をついているアリオスは静かな笑みを浮かべた。

「……はあっ……はあっ…………だとしたら……アリオスさんが目標になってくれたからです……」

アリオスの言葉を聞いたロイドは息を切らせながら複雑そうな表情で呟き

「確かに……アンタがいなけりゃここまでは行けなかったかもな……」

「……同感です……」

「いつも目指すべき”壁”として遥か先にいてくれましたから……」

「そうね……それは私達―――クロスベルの遊撃士にも言える事だわ……」

ロイドの言葉にランディ、ティオ、エリィ、エオリアもそれぞれ続いた。

「フフ……まったく……そのように言われる資格などそもそも無いというのに……」

ロイド達の言葉を聞いたアリオスは苦笑した。

「……アリオスさん。あの日、兄貴を撃ったのはイアン先生ですね……?」

その時ロイドは真剣な表情で尋ね

「……!」

「ええっ!?イアン先生が……!?」

「そいつは……」

「……あの黒幕である弁護士ですか……」

「―――なるほど、そう言う事か。」

「死闘の最中に撃ったのか…………」

「「…………………」」

ロイドの質問を聞いたダドリーは目を見開き、エオリアは驚き、ランディは目を細め、フェミリンスとヴィクターは目を伏せて呟き、ツァイトは厳しい表情で呟き、セシルとルファディエルは黙ってアリオスを見つめ

「………………何故、そう思う……?」

アリオスは目を伏せて黙り込んだ後真剣な表情で尋ねた。

「単なる消去法です……事件の背景を考えると……先生以外に容疑者がいるとしたらディーターさんかマリアベルさん……ただ、ディーターさんには計画の全ては伝えられていないようだし、マリアベルさんも兄貴とは接点がない……だが……イアン先生は兄貴ともかなり親しいようでした……そして……国外の出張も多く、自衛の必要がある先生ならば、拳銃に慣れていてもおかしくない…………どうですか?」

「……60点だな…………だが……及第点は付けざるを得ないようだ……ルファディエル……お前もロイドと同じか……?」

「―――私は”動機”ね。ロイド達が墓守にイアンの家族が”不幸な事故死”した事を聞いた時に確信したわ。――――”家族が同じような不幸な事故に遭った”貴方と何らかの繋がりがある可能性が高く……貴方とガイ……双方と親しく、世間の情報に詳しい人物に絞れば、自ずと答えは出て来たわ。」

「フッ……恐ろしい女だ。指摘もしようがないほど、完璧な推理だ………」

ロイドとルファディエルの推理を聞いたアリオスは苦笑した後真実を語り出した。



~3年前~



「はあっ、はあっ…………なあ、アリオス……お互い限界みたいだし……今日のところは休戦にしねぇか?」

「……何を馬鹿な……知られた以上、お前をここから帰すわけにはいかん……来月の式を無事迎えたくば殺す気でかかってくるがいい……!」

3年前、ガイと死闘をし続けていたアリオスはガイの提案を聞いた後厳しい表情で呟き

「んなの出来るワケねえだろ……そしたらお前やシズクちゃんを式に呼べねえだろうが……?」

ガイは口元に笑みを浮かべて答えた。

「……!」

「安心しろ……お前らの計画は誰にも話しちゃいない……ダドリーかルファディエルあたりに協力してもらおうかと思ったが……ダドリーは融通効かねぇし、ルファディエルの場合は表で頷いておいて、裏で動く可能性がある上……容赦がねぇし、アイツと違って腹黒いしな…………恐らくお前達の事を知ったら良くて”処罰”……最悪の場合お前達自身の命を”抹殺”するか、2度と社会復帰できないぐらい叩きのめす方向で俺に隠れて動くだろうしな。セルゲイさんにだってまだ相談してないんだぜ……?」

「お前……それを聞いて俺が好都合と判断するとは思わないのか……?」

ガイの説明を聞いたアリオスは信じられない表情で尋ね

「いや……?だってお前、不器用だし。じゃなかったらこんな場所にノコノコ一人では来ねぇだろ。」

「くっ……」

ガイの話を聞いて図星をつかれたアリオスは唇を噛みしめた。

「とにかく……このあたりにして今から呑みにでも行こうぜ?そうでなくてもここ2年、ロクに話もできなかったし……弟と彼女、後は居候腹黒天使の自慢話くらい、させろっつーの。」

「フッ……相変わらずだな……弟はたしか……もう15になるんだったか?」

「ああ、俺に似ずに結構な秀才でな。どこかの高等学校あたりに行かせたいと思ってるんだが……まあいいや。雨だし”ガランテ”にでも―――」

口元に笑みを浮かべて呟いたアリオスの言葉にガイが頷いて答えかけたその時、銃声が辺りに響いた!するとガイの服の胸の部分が血に染まった!

「あ――――」

それを見たガイは呆け

「!?」

アリオスは驚いた後ある方向に視線を向けた。するとそこには銃を構えたイアンがいた。

「先生……!?」

「……ハハ……なるほど……黒幕はアンタだったか……」

イアンを見たアリオスは驚き、ガイは撃たれた部分を片手に押さえて地面に膝をついてイアンを見つめていた。

「……悪いな、ガイ君。ご両親のことを考えたら君も誘うべきかと思ったが……多分、君は”絶対”に賛同しないと確信できてしまったのでね。」

「……先生……」

「ハハ……当たりですよ……先生が付いてるなら……多分……その計画ってのも上手く運ぶでしょう……でも……きっと……俺の代わりは現れ……貴方達を裁きますよ……?」

「ああ……そうだろうな……」

苦笑しながら言ったガイの言葉を聞いたイアンは重々しい様子を纏って頷いた。

「ガイ……!……しっかりしろ……!」

「ゲホッ……あぁ……しまったなァ……こんな事になるなら……ロイドと……セシルに…………セシル………俺の事はとっとと忘れて……誰かと結婚して今度こそ幸せになれよ………ロイド………強く生きろよ………ルファディエル…………ロイドと……後の事は……頼……む………必ず先生達を…………止めて………………く………れ…………………」

血相を変えたアリオスが呼びかけている中、ガイは口から血を流しながらロイド、セシル、ルファディエルの姿を思い浮かべた後、絶命して地面に倒れた!



これが多くの謎に満ちた”ガイ・バニングス殺害事件”の”真相”であった…………… 
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