英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第166話
ワジ達が最奥した同じ頃、ロイド達も”領域”の最奥に到着した。
~同時刻・色の領域。最奥~
「あはっ……やっと来た!」
ロイド達が最奥に到着すると聞き覚えのある少女の声が聞こえ、声を聞いたロイド達が近づくとそこにはシャーリィが武器を構えてロイド達を見つめていた。
「”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”……」
シャーリィを見たリーシャは真剣な表情になり
「なっ……彼女が!?まだ僕達と同じ……いや、年下じゃないのか!?」
「フン、何を今更。ミリアムのような例がいるのだから、驚く事もあるまい。」
マキアスは信じられない表情をし、マキアスの言葉を聞いたユーシスは鼻を鳴らした後目を細めてシャーリィを見つめ
「ヒドーイ。いくら何でも”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”みたいなのと一緒にしないでよね~。」
マキアスの言葉を聞いたミリアムは頬を膨らませ
「……油断するな。彼女が纏う闘気は尋常じゃないぞ…………」
「ん。………何度かやりあった事があるけど、あの時以上に強くなっているよ。」
「こうして相対するのは初めてだけど………纏っている闘気がとんでもないわね…………」
ラウラは警戒の表情をし、フィーは頷いた後エオリアと共に真剣な表情でシャーリィを見つめ
「ハッ……お行儀良く待ってたじゃねぇか?いつものお前だったら我慢できずに襲って来るだろうに。」
ランディは鼻を鳴らした後疲れた表情をし、目を細めてシャーリィを睨んだ。
「ブーブー。酷いなぁ、ランディ兄は。まあ、確かにランディ兄たちだけならサクッと出撃して殲滅してるけどサ。」
ランディの言葉を聞いたシャーリィは頬を膨らませた後笑顔で答え
「……オイ。」
ランディは厳しい表情でシャーリィを睨み
(フリーダム過ぎます……)
(あ、あはは……冗談なんかじゃないのよね。)
ティオはジト目になり、エリィは表情を引き攣らせ
「せ、殲滅っ!?」
「今まで出会った猟兵とは比べ物にならないくらい戦いの狂気に満ちた猟兵ね……」
「フン、血に飢えた狂犬だな。」
「”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”に狂犬なんて言い方、むしろまだ可愛いような気がするけどね~。」
「それは同感。」
「……………………」
マキアスは驚き、エオリアは真剣な表情でシャーリィを見つめ、ユーシスは鼻を鳴らし、ユーシスの言葉を聞いて呟いたミリアムの言葉にフィーは頷き、ラウラは真剣な表情でシャーリィを見つめていた。
「あれ?よく見たら君って”西風の妖精”じゃん!なんでランディ兄達と一緒にいるの??」
その時フィーに気付いたシャーリィは目を丸くした後興味深そうな表情をし
「………”闘神の息子”みたいに猟兵を止めて今ここにいる……ただそれだけ。」
「だからその呼び方は止めろっつーの。」
静かな口調で答えたフィーの言葉を聞いたランディは疲れた表情で指摘した。
「へ~………まさか”赤い星座”と”西風の旅団”の元猟兵が手を組むなんてね!さすがランディ兄だね!ありがとう!おかげでもっと楽しくなりそうだよ♪」
「ハッ、どうせテメェの事だからそんな反応をすると思ったよ。」
「ん。”赤い星座”の猟兵達――――特に”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”は戦闘狂で有名だし。」
シャーリィは興味深そうな表情をした後不敵な笑みを浮かべ、シャーリィの言葉を聞いたランディは鼻を鳴らした後目を細め、ランディの言葉にフィーは頷いてシャーリィを見つめた。
「ブーブー。”西風の旅団”の猟兵達だってシャーリィ達と大して変わらないじゃない。さてと――――リーシャ。気合いは十分みたいだね?」
フィーの言葉に頬を膨らませて答えた後気を取り直してリーシャに視線を向け
「…………………」
視線を向けられたリーシャは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「アルカンシェルでの続き……最高に気持ちいい”殺し合い”を始めるとしようか?そのためにシャーリィはここで待ってたんだからさぁ?」
そしてシャーリィが好戦的な笑みを浮かべて呟いたその時
「――――お断りします。」
リーシャは目を伏せて静かな口調で否定の意を答えた。
「え………」
「あら……?」
「リーシャさん……?」
リーシャの答えを聞いたロイドは呆け、エオリアは目を丸くし、ノエルは不思議そうな表情でリーシャを見つめた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!ここまで来てそんなのってアリなの!?」
一方シャーリィは不満げな様子でリーシャを見つめ
「確かに貴女と私は……どこか似ているのかもしれない。私は”銀”として……物心ついた時は”そう”育てられていました。貴女も多分、気付いた時には戦場という世界にいたのでしょう。」
見つめられたリーシャは複雑そうな表情で答えた後真剣な表情でシャーリィを見つめた。
「あ、うん、まぁね。実戦が9歳からっていうのはランディ兄と同じだったかな?」
「きゅ、9歳!?」
「そんな幼い頃から既に戦場に…………」
「……とんでもない家族だな。」
「……一体どんな教育をしているのよ。」
「うわ~……まさに化物一家だね~。」
「……でも、幼い頃から訓練していたら、大体そのくらいの歳で戦場に立つ事は多いと思うよ?わたしだって実戦を始めたのはそれぐらいの年齢だったし。」
シャーリィの答えを聞いたマキアスは驚き、ラウラは信じられない表情をし、ユーシスは目を細め、エオリアは厳しい表情でシャーリィを睨み、ミリアムは呆けた表情をし、フィーは静かな表情で答え
「フン……親父も叔父貴もイカれてるとしか言いようがねぇけどな。」
ランディは鼻を鳴らした後複雑そうな表情をした。
「でも、シャーリィは一度だってイヤだなんて思った事はないよ?確かに痛いし、辛いこともあるけど戦場ってキラキラしてるし、何よりもワクワクできるから。リーシャはそうじゃなかったの?」
「残念ながら……好きでも嫌いでもありませんでした。それは私にとって空気みたいに当たり前で……標的の命を奪うことすら、特別な感慨はありませんでした。その意味では、貴女よりも人らしくは無かったでしょう。」
「……リーシャ。」
「リーシャさん……」
シャーリィの疑問に答えたリーシャの答えを聞いたロイドは真剣な表情になり、エリィは複雑そうな表情をした。
「ふーん、可哀想だね。でも、良かったじゃない?アルカンシェルっていう他の楽しみが見つけられて。シャーリィもリーシャが”銀”であるかどうかなんて別にどうでもいいし。」
「…………っ………………」
笑顔で言ったシャーリィの言葉を聞いたリーシャは唇を噛みしめ
「……酷いです。」
「貴女達に何もしていないイリアさんにあんなに酷い目に合わせた……いえ、クロスベルやアルカンシェルを滅茶苦茶にした張本人である貴女がよくそんな事が言えますね……!?」
「……お前……マジでイカれてるぞ……自分が何をやったのかちゃんとわかってんのか?」
ティオは疲れた表情で呟き、ノエルは厳しい表情で叫び、ランディは呆れた後目を細めて尋ねた。
「アルカンシェルを襲った事?だって、ああでもしないとリーシャは本気でシャーリィと殺し合ってくれないでしょ?悪いとは思うけど仕方ないよね?」
「……くっ…………」
シャーリィの答えを聞いたランディは唇を噛みしめ
「……訂正。わたしが知っている以上に相当歪んでいる。わたしを世話してくれた猟兵達の中にはここまで頭の中身が歪んでいる人はいなかった。」
「クレアちゃんもさすがに今の言葉を聞いたら激怒するだろうな~。」
フィーとミリアムは静かな口調で呟き
「し、仕方ないって……そんな理由であの”炎の舞姫”を傷つけ、アルカンシェルを滅茶苦茶にしたのか!?」
「……さすがに今の言葉は平民を守る”貴族”として聞き逃せんな。」
「………許せん。己の欲望の為だけに市民達を傷つけるとは…………」
マキアスは呆けた後怒りの表情で叫び、ユーシスとラウラもそれぞれ怒気を纏って目を細めてシャーリィを睨み
「……リーシャ……」
ロイドは心配そうな表情でリーシャを見つめていた。
「―――大丈夫。彼女のことはわかります。もし、私が”銀”の道に喜びを見出していたら……きっと彼女と同じ存在になっていたでしょうから。」
「???」
そして優しげな微笑みを浮かべて言ったリーシャの言葉を聞いたシャーリィは首を傾げた。するとその時リーシャは一歩前に出てシャーリィを見つめて口を開いた。
「―――シャーリィさん。はっきりと言います。私は死にたくはありません。」
「………………へ。」
真剣な表情で答えたリーシャの言葉を聞いたシャーリィは呆け
「クロスベルに来るまで……私はいつ死んでも構わないと思っていました。いえ、自分が死ぬということを意識すらした事がありませんでした。でも――――今は生きていたい。生きて、新たに掴めた光と大切な人達と一緒に追い求めて行きたいんです。だから……貴女との”殺し合い”には応じることができません。」
「リーシャ……」
「リーシャさん……」
「……よく言ったぜ、リーシャちゃん。」
優しげな微笑みを浮かべて答えたリーシャの言葉を聞いたロイドとエリィは口元に笑みを浮かべ、ランディは明るい表情をし
「……それに……いつか愛する人の子供を産んで、母親として育てたいですし。」
「いい”っ!?」
頬を赤らめて笑顔で自分に視線を向けたリーシャの言葉にロイドは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
(くかかかかかかっ!”現在の”正妻予定のあの女より攻めるじゃねえか!)
(ハア…………)
ギレゼルは腹を抱えて笑い、ルファディエルは疲れた表情で溜息を吐き
「………ロイド?今のリーシャさんの言葉の意味はどういう意味なのかしら??」
「………少しは場所や空気を考えて発言して下さい。」
「アハハ……今の言葉で雰囲気が全て台無しになりましたよね…………」
「この弟王が!少しは痛い目を見やがれっ!」
エリィは膨大な威圧を纏って微笑みを浮かべてロイドを見つめ、ティオはジト目でリーシャを見つめ、ノエルは冷や汗をかいて苦笑し、ランディは悔しそうな表情でロイドを睨み、その様子を見ていたラウラ達は脱力したり呆れていた。
「……だったら……だったら何でわざわざこんな場所に来たのさ……?リーシャもシャーリィと戦いたかったんじゃないの……?再起不能になったイリアの仇を取りたかったんじゃないの!?」
一方黙り込んでいたシャーリィは疲れた表情で呟いた後リーシャを見つめて挑発したが
「貴女にとっては残念ながら既にイリアさんはティアさんとペテレーネさんによって治癒され、リハビリも始めています。」
「え…………」
静かな笑みを浮かべて言ったリーシャの言葉を聞いて呆けた。
「そ、そうなのか!?」
一方マキアスは信じられない表情でロイド達に尋ね
「ああ……昨日俺達が病院に行ったら既にリハビリを始めていたよ。」
「両足は立つ事すら怪しいって言われていたのにもう立てるようになっていましたよ。」
「きっとお二人――――”闇の聖女”と”癒しの聖女”の御力がなければ、立つ事にもかなり時間が必要になったんだと思うわ。」
ロイドやノエル、エリィはそれぞれ口元に笑みを浮かべて答え
「へ~……”ゼムリア二大聖女”の力って噂以上に凄いんだね~。」
「……あの様子ですと舞台に復活する時も近いと思います。」
「さすがは”聖女”か…………評判通りまさに”奇蹟”を起こしているな。」
3人の話を聞いたミリアムは興味深そうな表情をし、ティオは静かな笑みを浮かべ、ユーシスは静かな表情で呟いた。
「ロイドさん達の話通り……イリアさんが舞台に復活する時も近いでしょう。その意味で、私が貴女に復讐する理由はありません。復讐されたいのであればイリアさんが復活した時にでも彼女に会いに来てください。多分、きついビンタ一発、もらえるでしょうから。」
そしてリーシャは真剣な表情で答えた後微笑み
「…………っ…………!」
リーシャの言葉を聞いたシャーリィは息を呑んで厳しい表情でリーシャを睨んだ。
「……はは……」
「確かにイリアさんならその程度で済ましそうですね。」
「ほう……………」
「自分を再起不能にした相手にビンタ一発だけで済ますなんて信じられない……」
「……どのような人物なのか会ってみたくなってきたな……」
ロイドは苦笑し、ティオは静かな表情で呟き、ティオの話を聞いたユーシスは感心し、フィーは信じられない表情をし、ラウラは静かな笑みを浮かべた。
「私がわざわざロイドさんたちに付いてきた理由……それは貴女と、私自身に証明するためです。今の私が――――貴女よりも強いと。」
リーシャは目を伏せて答えた後静かな笑みを浮かべ
「!?」
リーシャの言葉を聞いたシャーリィは目を見開いた!
「―――暗闇の果て、新たな光を見出した私に……血塗られた硝煙の道しか知らない貴女は及ばない。それを証明してみせます。」
そしてリーシャは剣をシャーリィに向けて答えた後膨大な闘気を纏った!
「なっ……!?」
「これが光を見出した”銀”の”真の力”か…………」
「……何でだろう?闘気は凄いのに…………殺気だけは感じられない。」
リーシャがさらけ出す闘気にマキアスは驚き、ラウラは静かな笑みを浮かべ、フィーは不思議そうな表情でリーシャを見つめた。
「……あはは……ホント、リーシャは最高だよ……単なる殺し合いなんかより……ずっとずっとワクワクする…………本当に……クロスベルに来て良かった……!」
一方シャーリィは苦笑した後好戦的な笑みを浮かべて呟いた。するとシャーリィの両脇に魔獣が現れ
「―――いいよ!それじゃあ早速始めよう!ランディ兄たちや”西風の妖精”もついでに相手をしてあげる!シャーリィたちの戦いにちゃんと付いて来なよねぇっ!?」
シャーリィは愛用の武器である”テスタ=ロッサ”を構えて叫んだ!
「抜かせ……!」
「”西風の妖精”を舐めた事……絶対に後悔するよ……!」
シャーリィの挑発を聞いたランディとフィーはそれぞれ真剣な表情で答えて武器を構え
「――――迎撃開始!全力でリーシャを援護する!」
ロイドは号令をかけ
「おおっ!!」
ロイドの号令に仲間達はそれぞれ頷き、ロイド、エリィ、ティオ、ノエル、ラウラ、ユーシス、マキアス、ミリアムはそれぞれシャーリィの両脇にいる魔獣に分散して向かい、ランディ、リーシャ、フィー、エオリアはシャーリィに向かって戦闘を開始した!
こうして2つの”領域”で同時にそれぞれの決戦が始まった…………!
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