転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1435話
「……は? 今なんて言った?」
魔法球を購入してきた日の翌日。
いつものように千鶴やマリューの作ってくれた夕食を食べ終え、皆でゆっくりとした時間を過ごしていた時。不意にレモンから聞かされた言葉に、俺は思わずといった感じで聞き返す。
今聞いたのは何かの間違いであって欲しいと、そう願って。
だが、そう尋ねた俺に、レモンは少し不機嫌そうなままで言葉を返す。
「今も言ったように、チューリップの生産プラントはホワイトスターでは使えないわ。理由は不明だけど」
「予想も出来ないのか?」
「いえ、まだしっかりと確証を得た訳じゃないけど、予想は出来るわ」
そう言いつつ、レモンはその予想が当たっているという事を半ば確信しているように思える。
それくらいはレモンとの付き合いが長いだけに、すぐに分かった。
「レモンの予想でいいから言ってくれ」
「……本当に予想であって、まだ確かめた訳じゃないわよ?」
そう前置きした上で、レモンは他の面子からも視線を受けながら口を開く。
皆の視線が集まっているのは当然だろう。チューリップという新素材を生み出す為の媒体は、これからのシャドウミラーの技術発展に大きく関わってくる代物だ。
また、チューリップではないが、ヤンマはファブニールを運用する上での母艦として使用する予定になっているし、カトンボはメギロートと同じく数を揃えた無人艦として使用する予定だ。
ぶっちゃけ、これが使えないとなるとシャドウミラーのこれからの戦術を根本から考え直す必要がある。
……それにしては、レモンの表情に焦りの色がないのが気になるが。
「いい? 今までにも似たような事があったでしょ?」
「ふむ、キブツだな」
間髪入れずにレモンの問いに答えたのは、紅茶を飲んでいたコーネリアだった。
その言葉で、俺も含めて皆が納得の表情を浮かべる。
キブツは、基本的にその世界特有の物質を生み出す事は出来ない。
その世界特有の物質……例えばスパロボOGs世界のトロニウム、ギアス世界のサクラダイト、マクロス世界のフォールドクォーツといった代物だ。
正直、サクラダイトやフォールドクォーツといった代物はともかく、スパロボOGs世界で生み出されたにも関わらずトロニウムが無理だというのは、若干不満がある。
どの世界でも普通に存在している物質……金属、宝石、石油、レアアース、レアメタルといった代物であれば、幾らでも作れるのだが。
「でも、生産プラントは木連から貰ってきた物なんでしょう? なら、チューリップは作れてもおかしくないと思うんだけど」
柔軟体操をしながら尋ねるシェリルに、レモンは頷きを返す。
「ええ、私達もそう思っていたわ。……けど、駄目だった。これは明日になるけど、アクセルにちょっと協力して貰ってナデシコ世界でチューリップの生産プラントが動くかどうかを確認してみる必要があるわ。それでもし動くとなると……恐らく、問題なのはキブツではなくこの場所という事になるでしょうね」
「場所……つまり、次元の狭間にあるのが悪いのか?」
微かに眉を顰めたスレイが尋ねる。
少し不機嫌なのは、生産プラントがホワイトスターで使えないとなると、色々と問題が起きるからだろう。
事実、ホワイトスターの……それも厳重な警護をされている魔法区画であればまだしも、ナデシコ世界に生産プラントを設置するとなると、警備も含めて色々と面倒な話になる。
火星をシャドウミラーが実効支配しているのが、せめてもの救いか。
「恐らくそうでしょうね。それを明日確認するのよ。もしそれで上手くいけば、チューリップを含めて生産プラントはナデシコ世界に設置した方がいいでしょうね」
「ちょっと待った」
レモンの言葉に、思わず言葉を挟む。
「チューリップはレモンの説が正しいのかもしれないけど、ヤンマとカトンボ、それとバッタもか。その生産プラントまで火星に設置する必要があるのか?」
「あるのよ。いえ、バッタは相転移エンジンを含めてナデシコ世界特有の技術を使ってないから問題ないと思うけど、ヤンマとカトンボは相転移エンジンを使ってるわ。その辺を考えると、ナデシコ世界にチューリップの生産プラントと一緒にした方がいいと思うのよ。下手に相転移エンジンが爆発して、魔法区画が消滅……なんて事になったら、洒落にならないでしょ?」
そう言われれば、俺も頷かざるを得ない。
魔法区画というのは、キブツと同様にシャドウミラーの生命線と言ってもいい。
もし魔法区画が消滅するようになれば、当然魔法球の中に引き籠もってる事が多い技術班の面々も同時に消滅してしまう事になる。
それは絶対に避けるべき事態であり、多少であってもその可能性があるのであれば、レモンの言葉を受け入れざるを得ない。……技術班の研究の中には明らかに危ない物も多いのだが。
「……分かった。それに関しては全面的に支持する。幸いナデシコ世界の火星はシャドウミラーが占領しているんだし、生産プラントの設置場所に困る事はないだろ」
「アクセル君、そうなるとこの件は政治班にも関わってきますし、エザリアさんにも話を通した方がいいと思いますわ」
あやかの言葉通り、この件に関してはエザリアにも話を通す必要があるだろう。
確かに火星はシャドウミラーが占領しており、生産プラントを設置しても全く問題はないだろうが、政治的に突っ込まれる可能性は皆無という訳ではない。
である以上、政治班のトップにいるエザリアに話を通すのは必須、か。
「そうね。明日の実験次第ではそうした方がいいと思うわ。魔法球の中で運用出来れば、護衛するのにもそれ程場所を取らなくて済むんだけど」
レモンに代わってマリューがそう呟く。
生産プラントが幾つも並んでいる状態を守るのと、魔法球が入っている……それこそ5畳くらいの部屋の大きさを守るのとでは、明らかにリコストが違う。
勿論シャドウミラーにはメギロートや量産型Wのようにコストを無視出来る存在はいるが、それでもコストを削減出来るのであればそっちの方がいい。
そもそも、生産プラントが幾つもある場所を守るのはコスト以外にも守る場所が広いということで、難易度が高くなってしまう。
「……なるほど。可能ならそっちの方がいいかもしれないわね。魔法球を守るという意味でも、護衛はしやすいに越した事はないし」
円の言葉に皆が頷き、こうして翌日の俺のスケジュールは決まるのだった。
……いや、俺だけじゃないけどな。
今回の件は片手間に出来るものではないので、シャドウミラーの中でもかなり労力を割くことになるだろう。
そして翌日、俺達の姿はナデシコ世界の火星にあった。
技術班からはレモンやマリューを始めとした半分以上が参加しており、実働班も今日は訓練はなく、全員がこの作業に協力する為に来ている。
政治班からもエザリアが様子を見に来ており、ほぼフルメンバーという扱いに近い。
まぁ、ほぼという通り全員が集まってる訳ではないが。
「じゃあ、早速準備を始めてちょうだい」
レモンの指示に従い、技術班が量産型Wやメギロートに指示をしながら早速魔法球を設置していく。
一応ここはゲートを中心にして作られている、シャドウミラーの基地の一画だ。
既にネルガル研究所だった頃の面影は殆ど存在しておらず、以前とは比べものにならない状態になっている。
その変貌は、以前のネルガル研究所を知っている人物がここを見た場合、どこここ? と言いたくなるだろう。
そんな場所でメギロートや量産型Wがそれぞれ魔法球を備え付ける台座に、それを守る為に展開されるバリアの発生装置を設置していく。
本来なら何か頑丈なもので魔法球を覆いたいところなのだが、この魔法球からはチューリップ、カトンボ、ヤンマ、バッタといった艦が出てくる。バッタは除く。
そうなれば魔法球を何かで覆っている状況であれば、その覆っている物が内部からの攻撃……うん、この場合は攻撃と呼んでいいのかどうか迷うが、ともあれそんな行為によって破壊される事になってしまう。
俺がいれば、魔法球に入って無人機を空間倉庫に収納すればいいだけの話だが、いつも都合よく俺がいるとも限らない。
そもそも、俺は未知の世界に向かっている事も珍しくないし。
その辺を考えると、普段はバリアを展開して防御力を高めておき、内部から無人機を持ってくる時にはバリアを解除するというのがベストだろう。
エネルギー的な問題はここがナデシコ世界におけるシャドウミラーの本拠地である以上、全く何の問題もないし。
基地にはブラックホールエンジンと時流エンジンを使った動力炉が設置されており、火星の生き残り達が生活する上でもエネルギー不足になるという事はない。
勿論この魔法球を設置した場所は超の付く立ち入り禁止区域だ。
許可を得ないで入った場合、子供であろうが量産型Wとメギロートが即座に撃ち殺してもいい事になっている。
それ故に、基地の一画で暮らしている火星の生き残りにはくれぐれもここに近づかないように、子供を近づけないように、もし近づいた場合は射殺されるとしつこいくらいに説明した。
ここまで説明して、それでもやって来るような事があって射殺されたら、それは自業自得……どころか、シャドウミラーに対して不利益な行動を取ったとして、この基地に住まわせる訳にはいかないから関係者含めて追放という処分になるだろう。
スパイ対策としては、当然このくらいの事は必要だ。
可能性としては北辰とかその辺が来るかもしれないが……いや、捕らえて白鳥達に渡したし、その可能性は少ないか?
ともあれ、ここの警備は厳重にする必要があるだろう。
メギロート、イルメヤ、シャドウ、それと量産型Wのシャドウ、バッタ辺りも警備として入れておくか?
ただ、バッタとメギロート、イルメヤの連携が上手くいくかどうか……その辺が多少心配だ。
そもそも、メギロートとイルメヤはホワイトスター産で、バッタは火星古代文明産。全く異なるAIがお互いを味方と認識するか……
まぁ、ヤンマを入手するって話をした時にレモンが何も言ってなかったって事は、多分問題はないんだろうが。
「まさかナデシコ世界にこんな重要な場所を作るとは思ってなかったわね」
どこかしみじみと呟くのは、量産型Wへの指示を出し終わったマリュー。
「今までは基本的に重要な施設はホワイトスターに集中させてきたからな。正直、次元の狭間にあって、占領も充実しているホワイトスター以上に安全なんてあるとは思えないし」
「……門世界の件は?」
「あれはイレギュラーだろ。いやまぁ、Fate世界の件もあってイレギュラーは結構多いけど」
次元の狭間とかが出てくる世界とか、普通に繋がってしまう可能性がある。
どこの世界にでも転移出来るということは、逆に言えばどこの世界からも次元の狭間に来れるという事なのだから。
それでもホワイトスターそのものをバリアで覆っているんだし、門世界やFate世界のように直接ホワイトスターの中に干渉してくるような存在ではない限り大丈夫だと思いたい。
直接干渉してくる方に対しては……うん、どうしようもないんだよな。
そもそも全て同じ方法で干渉してくるのであればまだしも、それぞれが別の方法で干渉してくるのだから、それを防ぐのは難しい。ただまぁ……
「技術班に期待ってところか」
俺が言えるのはそれだけだった。
実際問題、技術班に何とか出来ないようならどうしようもないというのが事実ではあるが。
「期待してくれるのは嬉しいけど、こればっかりは良く言っても対処療法にしかならないのよ」
技術班に所属する技術者としては、やっぱり悔しいのだろう。マリューはいつも浮かべている穏やかで優しげな表情の中、目に鋭い光を宿す。
この辺技術班のNo.2としてのプライドもあるのだろう。
そんなマリューに対し、俺がやるべき事は決まっていた。
「分かっている、マリューを含めて技術班を全面的に信頼してるからな。お前達なら何とでもなるだろうと思ってるよ」
そう告げる事だ。
実際、それは間違っている訳ではない。冗談でも何でもなく、シャドウミラーの技術班よりも優れている技術者達というのは見たことがない。
いや、単独でなら技術班に対抗出来るだけの人材がいるのは知っている。それこそ、フィリオとかロイドとか。
けど、シャドウミラーの技術班はそんな人物を吸収しながら大きくなっている。
個人としてなら対抗可能かもしれないが、同じような才能の持ち主が何十人もいるんだから、対抗する術がないのは間違いがない。
「……ありがとう」
そっと体重を預けてくるマリュー。
マリューの身体から漂ってくる、毎晩嗅いでいる香りと柔らかさを堪能していると……
「マリュー、イチャつくのは夜にしてくれない?」
苦笑を浮かべながらレモンがそう告げてくる。
その言葉にマリューは少し恥ずかしそうにしながら俺から離れていき……
魔法球を含めたチューリップ、ヤンマ、カトンボの生産プラントの設置が終わり、無事稼働するのを確認するのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1208
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