FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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宝探しゲーム
前書き
ジュビア無事でしたね、さすがはウェンディ、いいところで来ます。
スプリガン12が一話で二人も倒されるなんて初めてなんじゃないですか?次のお話はディマリアが出てきそうだし、なんか楽しみ。
無事に初戦を突破した俺たち。試合が終わったとあり、観客席に転送されていたウェンディが俺たちの元へと戻ってきていた。
「すごい!!大活躍だったね!!シリル!!」
「えへへ/////」
やって来るなり俺の元に万勉の笑みで騒ぎ立てるウェンディを見て思わず頬を緩ませる。一回戦のゲームは俺にかなり有利だったもんなぁ、活躍する姿を見せれてよかったよ。
「なのに私・・・一人だけ退場しちゃうなんて・・・」
大喜びだったはずの少女の表情が一転、顔を俯かせガッカリと肩を落とすと、大きな瞳を潤ませていた。
「い・・・いや・・・あれは運が悪かっただけじゃない?」
実際そうだと思う。敵はレオンを狙った結果、その延長線上にいたウェンディに飛んでいっただけだし、そもそも一度は回避しているんだ。この特殊なゲームであるがゆえ、壁で跳ね返ってきたボールが当たってしまっただけで、本当だったら何も問題なくゲームが進んでいたはず。
「でもシェリアたちは当たってなかったもん!!私だけなんてなんか悔しい!!」
頬を膨らませてポンスカしている彼女を見て、慌てていた気持ちが収まってくる。なぜかというと、なんだかその表情が可愛らしくて、顔が緩みそうになっているのを抑えるのに必死だからだ。
(ダメだ・・・今笑うのはヤバイ)
活躍できなかったことに落ち込んでいる少女の姿を見て笑うなんて、絶対にやってはいけない。恋人だからとかではなく、失礼極まりないような気がするからだ。
「次頑張ればいいじゃん!!ね?」
「うん・・・」
小さい子を諭すような感じで声をかけてみると、彼女はまだ怒っているのか悔しくているのかわからないが、軽くほっぺを大きくしたまま小さくうなずく。とりあえずよかった、ウェンディが落ち着いてくれて。
『たった今全ての一回戦が終了致しました。勝利チームは屋外闘技場へと集合してください』
すると、俺たちのいる屋内闘技場にそんなアナウンスが流れる。俺たちの試合が短かったからこうやって話していることもできたけど、他のチームはどうなんだろうか?まぁ、開会式の時に幼い子供は見当たらなかったし、気持ちを切り換えて二回戦に向かってそうな気もするけど。
「今度は外でやるんだ」
「うん。外の方が広いから色んなことができるしね」
アナウンスが聞こえたと同時に外に向かい出した天神と変態娘。彼女たちは屋内の種目から屋外へと変わるとあって、なんだか楽しそうだ。
「外でやるとしたらどんな競技かな?」
「広いところでやるもの・・・ってこと?」
外でやるとなると、室内よりも広いから色んな競技ができそうな気がする。それこそさっきのドッヂボールよりも体を動かすものになるんじゃないだろうか?
「去年は缶蹴りとかやってたけどな」
「「缶蹴り?」」
「あれ?シリルたち知らないの?」
どんな競技なのか予想し合っていると、前にいたレオンが歩く速度を緩めて俺たちの隣に並ぶ。その彼が言った単語に聞き覚えがなくオウム返しすると、彼は驚いた表情を見せ、簡単に説明してくれる。
「かくれんぼの進化系みたいなもんだよ。指定された場所に缶を置いておいて、鬼は隠れている人を見つけたらそれを踏んで、鬼じゃない人はその缶を蹴るともう一度始めからゲームをスタートさせられるんだ」
へぇ、と声を漏らす俺とウェンディ。以前までのギルドだと、同じくらいの年齢の人がいなかったから、そういう遊びをする機会がなかったんだよなぁ。レオンやシェリアは魔法学校で友達と遊べてたりしただろうし、色んな遊びを知ってるんだろう。
「二回戦はもしかしてそれ?」
「どうかな?外なら何でもできるから、決め付けることはできないよ」
そういうゲームもあるんだということを伝えたかった様子のレオン。なるほどと頷いていると、長い通路がようやく終わり、校舎の外にある闘技場へとやって来る。
「なんだ、お前たちも勝ったのか」
そこには既に俺たち以外の二回戦進出チームが出揃っていた。圧勝だったらしく、余裕を感じさせる佇まいのリオンさんが、やって来た俺たちにそう声をかける。
「なんだ、リオンくんたちが負けてたら盛り上がったのに」
「残念だったな。お前を懲らしめるまでは負けるわけには行かないんだ」
本来の力を取り戻したことで、最近調子に乗っているレオン。その鼻っ柱をへし折ってやりたいとリオンさんは考えているらしく、生意気な発言をする彼に額をぶつける。
「へぇ、楽しみだよ」
だが、レオンもそれに臆することなく押し返すように睨み付ける。実はこの二人って仲悪いのかな?蛇姫の鱗に入ってから彼らがぶつかり合っているシーンをよく見る気がするんだけど・・・
『全チーム揃いましたので、二回戦の対戦種目を発表したいと思います。皆さん、前にある魔水晶ビジョンをご覧ください』
闘技場に鳴り響くアナウンスを聞き、全員が一斉にそちらを向く。競技名からどんなものなのかおおよそ想像できるんだろうし、聞いておかないと出遅れる恐れがあるからな。
その場に集った20人の選手の視線が集まる巨大なビジョン。たくさんある競技の中からランダムで選んでいるらしく、次々に単語が表示されているが、次第にそれが遅くなっていくと、決定された種目の名前が大きく表示される。
『二回戦の種目は【リング探し】に決まりました!!』
「リング探しゲーム?」
一回戦同様、わかるようなわからないような名前の種目を見て首を傾げる。その辺に落ちているリングを拾っていくってことなのかな?でも、さっきの競技をやった感じだと、そんな単純じゃないような気がするけど・・・
『早速ルール説明を行いますが・・・その前にこちらをご覧ください!!』
テキパキと進行していくのかと思いきや、まだ何か不足しているものがあるらしく、競技名が映し出されていたビジョンに街の地図が大きく表示される。しかもその地図の中央に線が引いてあり、右側がA、左側がBとなっていた。
『二回戦の競技は街全体を使った競技ですが、トーナメントですので、二つに分断して行おうと思います!!各チームの代表による抽選でどちらに入るかを決めますので、それぞれ一名、前にお願いします』
それを聞いた瞬間、全員の目が大きく開いた。てっきり二回戦の相手は予選三位と六位のチームの勝った方だと思っていた。でも、今の話から行くと、どちらのステージに入るかは完全な運勝負・・・つまり、どことでも当たる可能性があるということだ。
「純粋なトーナメントじゃないのか」
「びっくりしたね」
「実はさっき決めたんじゃないの?」
「まさか・・・」
これにはレオンたちも驚きを隠せない。予選を二位で抜けたことで、リオンさんたちと当たるのは決勝になるものだとばかり思っていたから、次に対戦するかもしれないという緊張感が襲ってくる。運営側も性格悪いな・・・盛り上げるためなのかはわからないけど、やられる方としては堪ったもんじゃない。
「誰が行く?」
「レオンでいいよ」
「だね、レオンが出たがってたんだもんね」
「うん。それがいいと思うよ」
運命のくじを誰が引くのかはすぐに決まった。元々この大会に意欲を示していたのは彼なんだし、適任はレオン以外にはいないだろう。
「わかった。任せてよ」
選ばれた少年は一度うなずくと、司会者の元へと歩いていく。他のチームもくじを引くメンバーを即座に決めており、四人の選手が魔水晶ビジョンの前へと集まっていた。
「お願いだからあのチームだけは引かないでよ・・・」
「「「??」」」
予選の順位で引いていくらしく、まずはリオンさんがくじの入った箱に手を入れている。そんな中、両手を強く握り合わせ、神に祈るように瞳を閉じている少女は、何かを強く祈っていた。
『人魚の鱗!!B!!』
祈る少女を横目にどこのチームと戦うのかを見るために視線を戻す。リオンさんたちはBを引いたか・・・レオンは?
『小さき魔術士!!A!!』
これにより、二回戦でのリオンさんたちとの対戦はなくなった。それを見てホッと一息つく俺とウェンディとソフィアだったが、シェリアは目を閉じたまま動かない。それどころか、その体にはさらに力が入っているように見えた。
『最強戦士!!A!!』
三チーム目がくじを引き、それが読み上げられた瞬間、シェリアとレオンの顔が強張ったのが目に入る。
『よって虹の星はBとなります!!それでは対戦表が決まりましたので、皆さんをステージへと転送したいと思います!!』
その言葉と同時に、突然足元に魔法陣が現れると、目映い光に包まれる。あまりの輝きに目を閉じ、次に開くと、そこは魔法学校の闘技場ではなく、見慣れた街の景色へとなっていた。
『先程の組み合わせ通りの場所へと転送しました。これより、二回戦のルール説明をしたいと思います』
頭の中に直接送り込まれてくる声。これは恐らく念話を使用しているんだろう。よく見ると街にある出店はそのまま何事もないかのように営業しており、お祭りを楽しんでいる人たちの姿も視界に入ってくる。
『皆さんにはAとB、それぞれにある九つのリングを集めていただきます。先に五つ見つけたチームが勝利、決勝進出となります』
ルールはかなりシンプルなものだったらしい。要は隠されているリングを探し出していくだけのシンプルな競技。何も難しいことはなさそうだけど・・・
『リングはこちらになっております!!皆さんの頭にイメージを送りますので、個人個人で確認してください』
その言葉と同時に脳内に流れ込んでくるリングの映像。金色の腕輪ほどの大きさのそれを記憶して、ゲームに対する準備を行う。
『ただし!!現在街ではお祭りが行われております!!家の中や出店の商品の中に隠していることはありませんので、間違っても誤解されるような行動はしないようにお願いします』
犯罪と勘違いされるようなところにはリングを隠していないのか・・・それだと隠すところはより限られてくるだろうし、簡単そうなゲームだと思うけど・・・
『獲得されたリングは腕にはめていただくと、そのリングはそのチームの所有物とされ、ポイントが換算されます。ただ持っているだけだとポイントになりませんので注意してください』
こうやって細かく説明されると、覚えなければならないことがたくさんあるような気がして混乱してくるけど、本質はどれも簡単なことなんだよな。変に気にしすぎないようにしないとショートしてしまいそうだ。ほら、ソフィアなんか徐々に訳がわからなくなってきてシェリアのお尻を揉みしだこうとしてるし。
『なお、今回の競技では魔法、武器の使用は一切禁止させていただきます。もし見つけた場合は、即座に失格となります』
魔法の使用禁止・・・これは明らかに俺への対策なんじゃないかな?だってこの目を使ったら一回戦に続いて無双してしまい、面白味がなくなってしまう。それを回避するためのルールなんだと想像できる。
「武器の使用禁止?」
そんな中、シェリアとウェンディに手をつねられていたソフィアがさっきの司会の言葉に首を傾げていた。だが、俺たちはその点については何も疑問を抱いておらず、ルール説明に耳を傾けている。
『ルール説明は以上となります。ご質問はありますか?』
質問がないからいいんだけど、これはどうやって質問するのかな?念話なんだから頭の中でイメージするだけでいいのか、はたまた手をあげて聞いてみるのがいいのか。それを聞いてみようかな?ゲームには関係ないけどね。
『ないようなので、早速始めます!!『リング探し』ゲーム、開始です!!』
それと同時に頭の中に響いていた声が聞こえなくなる。恐らくゲーム開始に従って、平等にするために運営との連絡を取れないようにしたというところからな?
「じゃあ、早速動こっか?」
「待って!!」
リングを探しに動き出そうとした俺の手を掴んだのはシェリアだった。いきなり手を掴まれた俺は前に行こうとしていた体にブレーキをかけられ、後ろに倒れそうになる。
「な・・・何?」
「作戦を決めてから動こっ。ね?」
手分けして街の至るところを探していこうと考えていた俺とは違い、もっと効率的に探せる方法を考えようと提案している天神。そんな時間があるなら、早く探しに出掛けた方がいいと思うんだけど・・・
「レオンが変なところ引くからちゃんと準備しないとね」
「向こうが入ってきたんじゃん」
作戦会議のために円を作った俺たち。なのだけど、シェリアとレオンが揉め始めてしまい、二人を宥めて話を進めていく。
「どんな作戦で行くの?」
「手分けして探すしかないと思うんだけど・・・」
最初に、ウェンディと俺が一番手っ取り早い作戦を提案する。それにはソフィアも頷いているが、シェリアとレオンは頑なに首を縦に振ろうとはしない。
「そっか、みんなは相手のこと知らないのか」
すると、レオンがなぜかそんなことを言い出す。どういうことなのかわからない俺たちは、頭に?を浮かべて首を傾げていた。
「この競技だと、たぶんあたしたちの相手が最強だよ」
「え?なんで?」
聞いた話によると、相手の予選通過順位は五位・・・あれが分かりにくかったからなんとも言えないけど、とても脅威になるとは思えないんだけど・・・
「このゲームは宝探しゲーム。そして最強戦士たちの所属しているギルドは・・・」
「トレジャーハンターギルド」
「「「・・・え?」」」
まさかの本職を相手にしなければならないことに、頭の中が真っ白になる。この競技最強の敵を相手にしなければならないとなり、早く動き出したい気持ちを沈めて、入念な作戦会議へと移行したのであった。
後書き
いかがだったでしょうか。
トレジャーハンターギルドに所属している人たちとの宝探しゲームです。何話くらいで終わるかわかりませんが、ゆっくりとやっていこうと思います。
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