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おぢばにおかえり

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第三十四話 あちこちでその七

 親神様、教祖、そして御霊様に拝礼をしました。そうしてです。 
 ひのきしんをはじめます、そうしながらまたお話をしました。
「それは仕方ないわ」
「寮は独特の世界ですね」
「かなりね、狭い世界ね」
 回廊を拭きながら阿波野君に答えました。
「あそこは」
「狭い閉鎖的な」
「まあね、そう言ってもいいわ」
「窮屈そうですね」
「そんな厳しく考える場所でもないわよ」
「先輩が怖いとか」
「それ私のこと?」
 阿波野君をむっとした顔で見て言い返しました。
「ひょっとして」
「いえいえ、寮の先輩とか」
「ああ、一年生になのね」
「先輩のことじゃないですよ」
 このことはしっかりと断る阿波野君でした。
「安心して下さいね」
「何が安心かよくわかrないけれど」
 とりあえず納得することにしました。
「とにかく私が一年の時もそんなことなかったわよ」
「先輩怖くなかったんですか」
「いい人達ばかりだったわよ」
 このことは本当のことだからはっきりと言いました。
「よく女の子同士って怖いって聞いてますから」
「全然よ、特に同じ部屋だった三年の方は」
 長池先輩です、この前商店街で久し振りにお会いしましたけれどお元気そうで何よりでした。何かどんどんお奇麗になってる感じでしたし。
「物凄くいい人だったから」
「そうなんですね」
「いつも丁寧に教えてくれて親切で」
「本当にいい人だったんですね」
「ええ、お世話になったから」
「そういうものなんですね」
 阿波野君も納得した感じでした。
「怖いって思っていたら」
「私も最初はね」
 高校に入った時、つまり寮に入った時はです。
「正直そんな先輩いるのかしらって思ってたわ」
「けれど実は、ですか」
「ええ、そんな先輩いないっていうか」
「いい人ばかりですか」
「特に一緒のお部屋だった三年の方はね」
 また長池先輩のお顔を思い出しました。
「怒ったことのない優しい人で」
「そんなにいい人なんですか」
「ええ、今は大学生よ」
「天理大学ですか」
「ええ、そうよ。優しいだけじゃなくて凄く奇麗な人よ」
「先輩の次位にですね」
「えっ!?」
 阿波野君の今の言葉にはです、私は思わず聞き返しました。
「今何て言ったの?」
「あっ、何でもないですか」
「何か言わなかった?」
「気にしないで下さい、けれどお顔もお心もですか」
「奇麗な人よ」
 私ははっきりと答えました。
「どちらもね」
「そうした人って最高ですよね」
「おみちの人はね」
 つまり天理教の人はです、天理教では信者さん特にようぼくになられていて信心されている人をこう表現します。
「そうした人が多いの」
「どちらも奇麗な人がですか」
「阿波野君も心当たりない?」
「あっ、そういえば」
 阿波野君は床を熱心に拭きながら私に答えました。 
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