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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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113部分:第十三話 帰還してその六


第十三話 帰還してその六

「アイオリア様っていえばどうにも」
「真正面から拳で向かうだけっていうイメージがありまして」
「ああ、その通りだぜ」
 デスマスクもそれは否定しない。
「あいつは小細工とかは使わないんだよ、絶対にな」
「そうなんですか」
「馬鹿だからな」
 やはりこう言うのだった。あくまできつい。
「もっともあいつにはそういうのは合わないがな」
「どう考えてもですね」
「それだけは」
「だからまあいいんだよ」
 不意にアイオリアを認めるようなことも言い出した。
「あいつはそれでもな」
「そうなんですか」
「そうさ、大体あいつにせこいことが似合うか?」
「いえ、間違えてもそれは」
 自然と答えが出ていた。ジャミアン達もそれは想像すらできなかった。
「有り得ませんね」
「どう考えても」
「そうだろ?だからいいんだよ」
「そうですか」
「人それぞれ、個性ってやつだ」
 こうも言ってみせるデスマスクだった。
「あいつにはあいつの、俺には俺のな」
「そういうことですか」
「もっとも一番強いのは俺だがな」
 自信家なのは相変わらずであった。
「このデスマスク様がな」
「それはまあ確かに」
「けれど確か黄金聖闘士はそもそも互いに闘ったら千日間戦争になるんですよね」
「ああ、それは確か」
「実力が拮抗しているから」
 最強の者同士だからこそだった。彼等もそれはよく知っていた。
「だったらデスマスク様、最強とかというのは」
「この場合ないんじゃないんですか?」
「御前等も随分と変なところで詳しいな」
 その通りなので返答に窮するデスマスクであった。
「まあそうだよ。その通りだ」
「そうですか、やっぱり」
「ただ、得手不得手はあるんだよ」
 このことだけは言っておきたいようであった。
「アイオリアは拳でな。俺はあの世にってやつなんだよ」
「そういうことですか」
「それに超能力なら俺の次位に凄いのがいるぜ」
「誰です?それって」
「ムウとかシャカだよ」
 この二人の名前を出したのだった。
「あの連中はそれこそな。かなりの超能力の使い手だぜ」
「御二方ですか」
「そういえばシャカ様は教皇様のお傍によくおられるそうで」
「あいつは特別だ」
 何故かシャカには普段の毒舌がないデスマスクだった。
「いいか、一つ言っておく」
「はい!?」
「何をですか?」
「あいつだけは怒らせるな」 
 真顔でこう彼等に告げるのだった。
「あいつだけはな。いいな」
「怒らせるなって」
「そもそもあの方に御会いすることすら稀ですし」
「なあ」
 そもそも黄金聖闘士は普段はそれぞれの守護する宮にいるのだ。だから聖闘士達が会うことも滅多にないのだ。今回のデスマスクのように出撃することはあってもだ。
「ですからあの方を怒らせるなんて」
「ないですけれど」
「だったらいいんだよ」
 それを聞いて安心したような顔になるデスマスクだった。
「相手が相手だしな」
「そうなんですか」
「とにかく忠告はしたぜ」
 やはり真顔のデスマスクだった。
「いいな、あいつだけは怒らせるな」
「わかりました」
「よくわかりませんけれど」
「そういうことだ。じゃあ後でな」
 ここまで彼等に言うと踵を返しそのまま何処かへと向かいだした。
「あのおっさんの禿頭を月に見立てて飲もうぜ」
「ええ、まあ」
「それなら」
 彼等は今の辰巳をさす言葉に思わず笑ってしまった。
「是非共」
「行きましょう」
「しかしあのおっさんもな」
 また辰巳のことを言うデスマスクだった。
「意外と若いんだろ?確か」
「そうらしいですね」
「まだ四十にもいっていませんよ」
「それであれか」
 それについて色々と思うところのあるようなデスマスクだった。
「これ以上言ったら店に行った時に楽しみがなくなるから止めておくか」
「言うんですか」
「あのおっさんはいじるのが楽しいんだよ」
 意外と趣味が悪い。
「今度は黄金の奴等全員で顔を出すのもいいな」
「それについてはまあ」
「お好きなようにとしか」
「さて、まあ話はそれ位にしてだ、本当にな」
「ええ。ではまた」
「あのおっさんの処で」
 こう言い残して巨蟹宮に向かうデスマスクだった。デスマスクはまずは彼の仕事を終えた。しかしそれはまた新たな戦いのはじまりでもあった。


第十三話   完


                 2008・9・25
 
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