英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~帝国解放戦線の最後~
~エレボニア帝国・トリスタ近郊~
「潰れなさいっ!!」
プリネとエヴリーヌと対峙したシュピーゲルは片腕に持った巨大な剣を2人に向かって叩きつけてきた!
「「!!」」
しかしプリネは側面に跳躍し、エヴリーヌは転移魔術で回避し
「クロス!エアレイドッ!!」
遠距離から聖なる十字架の光を放って、シュピーゲルに命中させた。しかしシュピーゲルは謎の結界に守られて魔術を受けても無傷だった!
「アハハ!生身で”リアクティブアーマー”を破れる訳ないでしょう!それっ!!」
それを見たシュピーゲルに操縦するスカーレットは笑いながらプリネに向かって剣を叩きつけ
「―――なるほど。”普通の攻撃”は通さないようですね。ならば、”普通ではない武器”ならどうです……かねっ!!」
シュピーゲルの攻撃を再び回避したプリネは”聖剣ジークリンデ”でクラフト――――フェヒテンケニヒでシュピーゲルの足を攻撃した。するとプリネの細剣は結界―――――”リアクティブアーマー”を貫いた!
「なあっ!?”アハツェン”の砲撃にも耐えられる結界よ!?それをあんな細い剣で貫くなんて……!」
足を攻撃された時の衝撃によってシュピーゲルはよろめき、”リアクティブアーマー”が貫通した事に驚いたスカーレットは信じられない表情をした。
「くふっ♪だから言ったでしょう?そんな結界モドキでエヴリーヌ達に勝てる訳ないって♪」
「!!させないわよ……!」
するとその時シュピーゲルの背後に転移魔術で現れたエヴリーヌが弓に膨大な魔力や闘気を込めた矢を番えながら凶悪な笑みを浮かべ、その事に気付いたシュピーゲルは振り向いて盾を構えたが
「アン・セルヴォッ!!」
「なあっ!?盾が……!?」
エヴリーヌが放った膨大な闘気と魔力の矢を受けた盾は木端微塵になった!
「――――エクステンケニヒッ!!」
そこに跳躍して振るった光の魔力を纏ったプリネの細剣の一撃で片腕の関節を貫いた!
「グウッ!?やってくれるじゃない…………!」
すると盾を持っていた片腕は地面に落ちた!
「ハァァァァァァ…………!!」
「フッ!!」
そしてシュピーゲルは地上の敵に強烈な突きを放つクラフト――――ブレードゴウグをプリネに放ったが、プリネは後ろに跳躍して回避し
「燃え尽きなさいっ!!」
「無駄ぁっ!!」
空中のエヴリーヌにはクラフト――――スカーレットアクセルを放ったがエヴリーヌは転移魔術で回避し
「右足もらいっ!二連釣瓶打ち!!」
右足の部分に転移魔術によって現れたエヴリーヌはクラフト――――二連釣瓶打ちで右足を攻撃した!
「しまったっ!?」
エヴリーヌの攻撃によって右足は真っ二つにされ、均衡を保てなくなったシュピーゲルは地面に倒れ
「―――止めですっ!聖と魔の炎よ…………その炎を持って、大いなる虚無を焼き尽くせ……!はあぁぁぁぁっ!!魔剣奥義!双破!火炎剣!!」
その時細剣に聖と魔の炎を纏わせたプリネが細剣を2回振るった!すると聖と魔の炎が同時にシュピーゲルを襲った!
「ああああああああああああああああああっ!?熱い、熱い……!この私が身を焦がれるですって…………!?」
炎の中に包まれたシュピーゲルの操縦席にいるスカーレットは機体から伝わって来る炎の熱さに悲鳴を上げたその時!
「くふっ♪死ね。アビス・ロアー!!」
エヴリーヌは弓に番えた巨大な暗黒の魔力を纏った矢を解き放った!
「そんな……この私がこんな所で……!まだ”あの男”を仕留めていないのに……!無念……!!ゴホッ!?……………………」
自分に向けて襲い掛かって来る巨大な暗黒の矢を見たスカーレットは悔しそうな表情で叫び、そして解き放たれた矢はシュピーゲルの頭を完全に木端微塵にし、操縦席にいるスカーレットの身体に大きな風穴を開けて絶命させた!
「オラオラオラッ!とっとと潰れろやっ!?」
レーヴェとツーヤと対峙したシュピーゲルは両腕に持つ巨大な棍棒を次々と2人に向かって振るい
「ハッ!」
「フッ!」
シュピーゲルの攻撃を二人は素早い動作で回避し続けた。
「十六夜……”突”!!」
「そこだっ!!」
シュピーゲルとある程度距離を撮ったツーヤは抜刀による衝撃波を、レーヴェはクラフト――――零ストームによる衝撃波を放った。しかしシュピーゲルが展開している”リアクティブアーマー”によって防がれた!
「ハハハハハッ!さすがのお前達でも”リアクティブアーマー”の前では無力のようだなあ!?ま、嘆く事はないぜ。機甲兵を生身で破壊していた士官学院の教官共もこの”リアクティブアーマー”の前では無力だったからなあ!?」
それを見たシュピーゲルを操縦するヴァルカンは笑いながら二人に次々と攻撃をし
「ほう?”トールズ士官学院”の教官共も只者ではないようだな?確か俺の知る限りでは元A級正遊撃士―――”紫電のバレスタイン”が士官学院の教官になったことやかつてエレボニア帝国軍で元帥として名を馳せたヴァンダイク学院長、”死人返し(リヴァイヴァー)”のベアトリクス大佐が教官をしているのは知っていたが……フフ、中々油断できん相手だったかもしれんな、”トールズ士官学院”は。」
「まともに戦っていたら、あたし達にも被害が出ていたかもしれませんね……」
シュピーゲルの攻撃を回避し続けるレーヴェは興味深そうな表情をし、レーヴェの説明を聞いたツーヤは冷や汗をかいて苦笑し
「しかし”リアクティブアーマー”か。ラインフォルトの技術力も侮れんな。」
「この様子ですと普通のアーツや魔術も効かなさそうですね……」
レーヴェとツーヤはそれぞれ警戒の表情をしていた。
「その通りだぜ!クク、貴様らは俺に嬲り殺されるのが運命だったのさっ!!」
そしてシュピーゲルは二人に攻撃を続けていた。するとその時攻撃を掻い潜った2人がそれぞれ片足に詰め寄り
「――――生憎ながら、俺達の武器にとっては”人が作った結界”如きは意味がない。―――――旋風斬!!」
「十六夜……………“破”!!」
武器による強烈な一撃を放った!すると二人の武器はシュピーゲルを覆う”リアクティブアーマー”による結界をも貫いてシュピーゲルを攻撃した!
「ガッ!?ば、馬鹿なっ!?”リアクティブアーマー”を貫くだとっ!?」
両足を攻撃された際の衝撃に呻いた操縦席にいるヴァルカンは信じられない表情で声を上げた。
「むん!受けて見よ……!剣帝の一撃を…………!!」
「これで……決めます!受けて見なさい、我が蒼き刃!ハァァァァァ………!
そして二人はそれぞれシュピーゲルから距離を取ってそれぞれの武器を構えて力を溜め
「戦場で立ち止まるとは馬鹿め!死ね――――――――ッ!!」
シュピーゲルは二人に向かって突撃した。するとその時!
「奥義!十六夜……”蒼氷斬”!!」
ツーヤが解き放った抜刀による吹雪を纏った斬撃がシュピーゲルの身体を真っ二つにし、真っ二つになったシュピーゲルの上半身は地面に落ち、下半身は落ちた上半身に躓いて転倒した!
「ががっ!?ク、クソ……!もうコイツは使えねえ!脱出して生身でぶっ殺してやるっ!」
地面に叩きつけられた際に伝わって来た衝撃に呻いたヴァルカンは自分の武器である重ガドリング砲をぶっ放して強化ガラスを割ってシュピーゲルの頭から脱出した。しかし!
「鬼炎斬!!」
「な――――――」
レーヴェが放った業火を纏った斬撃による衝撃波がシュピーゲルの頭の部分から運悪く頭だけ出してしまったヴァルカンの頭を斬り飛ばしてヴァルカンを絶命させ、さらにシュピーゲルの上半身を真っ二つにした!
「オラアッ!!」
リアンヌとヴィクターと対峙したオルディーネは双刃剣を2人に振るったが
「「!!」」
二人はそれぞれ左右に分かれて回避し
「鉄閃刃!!」
ヴィクターは跳躍してオルディーネの片腕の関節部分を攻撃した!
「グアアアアッ!?関節が弱いとはいえ、”騎神”の装甲を貫くとはどこまで化物なんだよ……!」
機甲兵と違い、”騎神”は操縦者にも機体の痛みも来る為、ヴィクターが攻撃した際の痛みを受けたクロウは悲鳴を上げた後表情を歪めた。
「―――なるほど。機甲兵と違い、操縦者にも痛みが伝わるようですね。――――ならば。ハァァァァァァ…………!!」
「うおおおおおおおおおおおおっ!?」
そこにリアンヌが跳躍してオルディーネの胸の部分にクラフト――――アルティウムラッシュを放って、オルディーネとクロウにさらにダメージを与えた!
「荒ぶる神の雷よ…………いざ戦場に来たれっ!!」
そしてリアンヌはオルディーネの真下に詰め寄って、槍を掲げて叫んだ!
「ガアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
するとオルディーネの頭上にすざましい雷が落ち、雷を受けたオルディーネからはクロウの悲鳴が聞こえた!
「逃がしはせん…………!」
リアンヌに続くようにヴィクターは自分の足元を中心に光の渦を作って、渦に巻き込まれたオルディーネは身体の動きが制限され
「斬ッ!!」
「グウッ!?」
ヴィクターは動きが制限されたオルディーネの両足を斬撃を放ってダメージを与えた!
「クソッタレ……!たったあれだけ喰らっただけで頭がガンガンしやがる……!こんな所で倒れてたまるかってんだ……!奥の手を見せてやる……!うおおおおおおおおおおおおっ!」
操縦席にいるクロウは頭痛に表情を顰めた後、自らに気合いを入れた。するとオルディーネからは何かの膨大な気が纏った!
「闇よ…………全てを切り裂け……!」
そして膨大な暗黒の闘気を双刃剣に纏わせたオルディーネはリアンヌにクラフト――――カオスセイバーを放った。しかし!
「滅!!」
「何っ!?生身で騎神の一撃を受け止めるだと!?」
リアンヌはアルティウムセイバーで対抗し、自分に襲い掛かって来た巨大な双刃剣を受け止めた!
「我が乱舞……受けるがいいっ!奥義!洸刃乱舞!!」
「グアアアアアアッ!?」
そこにヴィクターが跳躍してクラフト――――洸刃乱舞でオルディーネの上半身を攻撃してダメージを与えた!
「クソ――――――ッ!貴様らにこの俺の道は邪魔させねえっ!デッドリー…………!」
ヴィクターによってダメージを受けたオルディーネは二人から距離を取って双刃剣を突きの構えにして双刃剣に膨大な暗黒の闘気を溜め込ませた!
「償いの道よ……今こそ顕れよ……!」
一方リアンヌはその場で槍を構えて祈り
「アルゼイドの真髄……お見せしよう……!」
ヴィクターは宝剣ガランシャールに膨大な闘気を溜め始めた!
「エンドッ!!」
そしてオルディーネはSクラフト――――デッドリーエンドで2人に向かって突撃し
「エクスピアシオンッ!!」
リアンヌはSクラフト――――エクスピアシオンを放った!エクスピアシオンによる膨大な光の奔流はオルディーネを呑みこみ
「グアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――――――――――――ッ!?」
光の奔流に呑みこまれたオルディーネは連鎖する爆発を起こしてバラバラになり、オルディーネからは光が出て、光が消えるとクロウは地面に倒れていた!
「う…………!!ば、馬鹿な……!?”騎神”が破壊されるだと…………!?」
呻きながら立ち上がったクロウはバラバラになり、無残な姿となったオルディーネを見て信じられない表情をした。
「絶!洸凰剣!!」
その時膨大な闘気を纏ったヴィクターがクロウに強襲し
「しま―――――――」
その事に気付いたクロウは双刃剣を構えた瞬間、かつて潜入作戦として学院で共に過ごした事がある人物達―――――トールズ士官学院生徒会長の女子生徒トワ・ハーシェル、”四大名門”の一つである”ログナー侯爵家”の息女であるアンゼリカ・ログナー、導力技術に秀でた生徒ジョルジュ・ノーム、そして―――――短期間だけクラスメイトであった1年Ⅶ組の生徒の面々―――――”ラインフォルトグループ”の会長、イリーナ・ラインフォルトの一人娘、アリサ・ラインフォルト、ヴィクターの娘であるラウラ・S・アルゼイド、エレボニア帝国軍では”紅毛のクレイグ”と呼ばれる猛将の息子、エリオット・クレイグ、帝都の知事、レーグニッツ知事の息子、マキアス・レーグニッツ、”四大名門”の一つである”アルバレア公爵家”の次男、ユーシス・アルバレア、エレボニア帝国の辺境出身の奨学生の女子生徒、エマ・ミルスティン、かつて存在していた猟兵団―――”西風の旅団”に所属し”西風の妖精”の異名で恐れられていた少女、フィー・クラウゼル、エレボニア帝国北東地方にある辺境の地、”ノルド高原”に住む”ノルドの民”であるガイウス・ウォーゼル、”鉄血の子供達”の一人であり”白兎”の異名を持つ少女ミリアム・オライオン、そして”Ⅶ組”の担任であり、かつては”紫電のバレスタイン”と呼ばれた元A級正遊撃士、サラ・バレスタインの姿が走馬燈のように次々と浮かび上がった!
(クソッタレ……今更になって、何で奴等の顔が―――――)
走馬燈のように浮かび上がった人物達の幻影を見たクロウが表情を歪めたその時、ヴィクターはクロウの身体を双刃剣ごと真っ二つに斬ってクロウを絶命させてクロウの死体を背にして剣を収め、真っ二つに分かれたクロウの身体は大量の血を噴出させながら、地面に倒れた!
「…………せめて冥府では安息に満ちた日々である事を祈っている………………」
振り向いてクロウの死体を少しの間見つめたヴィクターはその場で黙祷した。
リアンヌ達がオルディーネを破壊し、クロウを殺害し終えた頃には既に夕方になっており”機甲兵”を操る”帝国解放戦線”のメンバーはプリネ達やメンフィル軍の手によって全員命を落とし……夕陽がクロウ達の死体を血に染まったかのように真っ赤に照らしていた。
同日、20:10―――――
~トリスタ~
その後兵達を編成し直したプリネ達は多くの兵達と共に町に入り
「――――これよりトリスタ並びにトールズ士官学院の制圧を開始します!領邦軍の兵士達は一人残らず滅しなさい!ただし、市民及び学院の関係者達には危害を加えてはなりません!万が一抵抗して来た場合は戦闘不能もしくは気絶程度に陥らせるにする事を徹底しなさい!」
町に入ったプリネは振り向いて号令をかけ
「ハッ!」
プリネの号令に兵達は敬礼して答え
「全軍!突撃開始ッ!!」
「オオオオオオオオオオオオオォォォォォォオオオオオオオオオオオ――――――――――ッ!!」
『聖剣ジークリンデ』を天へと掲げたプリネの大号令によってプリネ達率いるメンフィル軍は”トールズ士官学院”に向かって突撃した!
プリネ達が帝国解放戦線のメンバーを殲滅し終える少し前、それぞれの戦艦や飛行艇で目的地に到着したメンフィル・クロスベル連合軍は兵器で迎撃して来た飛行艇や戦車、機甲兵を魔導兵器や合成獣で殲滅し、都市に突入し、メンフィル・クロスベルの連合軍の侵入を防ぐため、それぞれの都市内では市街地戦が繰り広げられていた………………!
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