英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第140話
街の徘徊をしていたロイド達はギルドに入った。
~遊撃士協会・クロスベル支部~
「ああっ………アナタたち!?」
ギルドに入って来たロイド達を見たミシェルは驚きの表情で声を上げ
「独立宣言以来、音沙汰が無かったが……」
「ハハ、元気そうで何よりだ。」
ヴェンツェルとスコットは静かな笑みを浮かべてロイド達を見つめた。
「ミシェルさん、皆さん……お久しぶりです。」
「ふふ、ご無事で何よりでした。」
ロイドとティオはそれぞれ声をかけ
「アハハ………久しぶりね。」
「フフ、黙っていなくなったエオリアさんにとっては結構辛い立場ですね。」
エオリアは冷や汗をかきながら苦笑し、リタは微笑みながらエオリアを見つめ
「エオリア!?それにリタちゃんも!?アナタ達………あんな非常事態に勝手に黙っていなくなってアタシ達が困っていたのに、よく顔を出せたわねえ?覚悟はできているかしら?」
ミシェルは驚いた後笑顔で二人を見つめ
「え、え~と………ちゃんと休職願いを届けてからいなくなったから別にいいでしょう?」
「それに主が故郷に帰ったのは事実ですよ?」
見つめられたエオリアは冷や汗をかいてミシェルを見つめて尋ね、リタは苦笑しながら尋ねた。
「セリカ達はアタシも認めたから百歩譲っていいとして…………エオリア!アナタはアタシが休職を認めていないから駄目に決まっているでしょう!今回の件が全部片付いたら1ヵ月は休みなしで働いてもらうからね!」
「え”………じょ、冗談でしょう?休みなしで1ヵ月も働いていたら疲労で倒れちゃうじゃない!」
ミシェルの答えを聞いたエオリアは表情を引き攣らせた後焦った様子で答え
「………俺達と違って”人”の身を捨てたのだから、体力も俺達とは比べものにならないくらいになっているから大丈夫だろう?」
「そうだな。”使徒”とやらの力を今こそ市民の為に存分に活用すべきだ。」
エオリアの言葉にスコットとヴェンツェルは静かな笑みを浮かべて答え
「ひ、酷い………”人”の身を捨てたとはいえ、私は女性なのに………」
エオリアは肩を落として呟き
「勿論アナタ達もウチのエオリアを勝手に引き抜いた上、あの非常事態にウチの戦力を低下させた罰としてしばらくはしっかりと働いてもらうわよ?」
「アハハ………そ、それより今はそんな事を話している場合ではないでしょう?」
さらに笑顔のミシェルに言われたリタは冷や汗をかいて苦笑しながら答えた後尋ねた。
「……そうね。再会してすぐで悪いけど情報交換をしてもらえない?」
「ええ、了解です。」
そしてロイド達はミシェル達に事情を説明した。
「……なるほど、そんなことになってたとはな。」
事情を聞いたヴェンツェルは重々しい様子を纏って頷き
「しかし、南口でも戦いが始まったと聞いて、誰が戦っているかと思っていたが……まさかエステル達だったとはな。」
スコットは静かな笑みを浮かべて呟いた。
「そういえば………市内に”魔導兵”が現れて、人的な被害は出ていないんですか?」
その時エリィが不思議そうな表情でミシェル達を見つめて尋ねた。
「ああ、今のところは大丈夫だ。逃げ遅れた人達がいないか、俺達も警戒しつつこの近辺を回ってみたけど……どうやら”魔導兵”どもは、クロスベル市民には絶対に手を出さないみたいなんだ。」
「ふむ………大統領側が上手くコントロールしてるみたいだね。」
「恐らくだがあの”大鐘”も関係しているのであろうな。」
「最低限でも市民の事を考えていて、よかったわ……」
スコットの答えを聞いたワジとツァイトは考え込み、セシルは安堵の溜息を吐き
「ある意味、安心していいんでしょうか?」
リーシャは不思議そうな表情をし
「それでも……不安に思っている人はかなり多いはずだ。」
ロイドが真剣な表情で答えた。
「そうね……この状態が長く続けば、巻き込まれて怪我したりする人が出ないとも限らないし。」
「ええ、罪もない民間人が危険に晒されている以上、ギルドも放ってはおけないわ。オルキスタワーへの突入………アタシたちも改めて、手伝わせてもらうわね。」
ロイドの言葉にエリィは頷き、ミシェルは頷いた後ウインクをし
「ありがとうございます。とても心強いです。」
ティオは目を伏せて言った。
「ただし……恐らくオルキスタワーにはアリオスがいるわ。あのマリアベルお嬢さんや、”戦鬼”なんかも待ち構えているでしょう。きっと一筋縄ではいかないはず……それはわかっているわね?」
そしてミシェルは真剣な表情でロイド達を見つめて尋ね
「……百も承知だ。」
「どんな”壁”があろうと……俺達は突き進むのみですから。」
「フフ、心の準備はできているみたいね。―――作戦を開始するときは、改めて連絡をちょうだい。アタシたちもその時までにしっかり準備しておくから。」
ランディとロイドの答えを聞き、真剣な表情で言った。
「ええ……では、後ほど。」
ミシェルの言葉にロイドは頷き
「あ、エオリアとリタちゃんは作戦開始の時刻まで残ってもらうわよ?色々と聞きたい事があるし。」
「ハア……わかったわ。」
「アハハ………わかりました。」
さらに口元に笑みを浮かべ、目が笑っていない状態のミシェルに見つめられたエオリアは溜息を吐いて答え、リタは苦笑しながら答えた。その後街を探索していたロイド達はセシルの実家に顔を出した。
~西通り・アパルトメント”ベルハイム”~
「まあ、ロイド君じゃない……!今までどこに行っていたの?それにセシルも……!あの手紙の内容は本当だったの!?」
部屋に入って来たロイド達を見たセシルの母―――レイテは驚いたり慌てたりし
「お、おばさん、落ち着いて。……久しぶりに会えてうれしいよ。」
「フフ、手紙の内容通り、私はリウイさんと結婚しているわ。」
ロイドは苦笑し、セシルは微笑みながら答えた。
「そう………セシルの無事も確認できた上ロイド君も帰ってきてくれたし、おばさん、本当に安心したわ。外は危ないわ、おばさんちに隠れていなさいな。」
二人の答えを聞いたレイテは安堵の溜息を吐いた後真剣な表情でロイド達に提案した。
「いや、ありがたいけど……どうしても行かなきゃならないところがあるんだ。おばさんは、ここで待っていてくれ。」
「……私も同じ。ロイド達について行けば、ようやくガイさんの死の真相がわかるもの。」
「そう………わかったわ。でも、気をつけて行くのよ?あなたたちに何かあったら、私、もう……」
ロイドとセシルの答えを聞いたレイテは頷いた後心配そうな表情でロイド達を見つめた。
「ああ、もちろんだよ。……また後でね。」
レイテの言葉にロイドは頷き
「セシル。………ちょっとの間だけでいいの。色々と聞きたい事があるから残ってくれないかしら?………その………貴女の結婚相手の事やどうして私達に黙って結婚したのか聞きたいし…………」
「………わかったわ。ロイド、私は作戦開始の時刻が近づいたら知らせて。玄関で待っているツァイト君と一緒に指定の場所に向かうわ。」
レイテに見つめられたセシルは頷いた後ロイドに視線を向けて言い
「わかった。」
セシルの言葉にロイドは頷いた。その後ロイド達はセシルとツァイトを残した後街の探索に戻り、イアンにも会って状況を聞く為に事務所に行ったが鍵がかかっていて、近くの店で事情を聞く為に店に入るとそこにはイアンの助手であるピートがいた。
~タリーズ商店~
「ああ、特務支援課の皆さんっ………!」
「君は、イアン先生の助手のピート君じゃないか。一人みたいだけど……先生はどうしたんだい?」
ピートに話しかけられたロイドは目を丸くした後真剣な表情で尋ねた。
「イアン先生は、この状況をみてオルキスタワーに抗議しに行ってしまったんです。僕をここに預けていってから、それきり連絡もとれなくて………」
「イアン先生が………心配ね。」
「タワーに行ったとなると、もしかしたら大統領に拘束されたかもしれません。」
「急いだ方がよさそうだな。」
ピートの話を聞いたエリィ達は不安そうな表情や真剣な表情になり
(……………このタイミングで市民を代表して抗議しに行く事自体は考えられなくはないけど………何故むざむざ自分から捕まりに行ったのかしら?何か引っかかるわね………)
ルファディエルは目を細めて考え込んでいた。
「………ピート君。イアン先生は他に何か言っていなかったかい?」
「そう言えば………先生、なんだか気になることを言ってました。この状況が収まったら、事務所に戻って先生の机を掃除しておいてくれって。」
「掃除……?」
ピートの説明を聞いたロイドは不思議そうな表情をした。
「ええ、最初は急いで出て行くからと思ってたんですけど………いつも掃除は僕任せの先生も机だけはできるだけ触らないように普段から言っていたんです。仕事上、助手の僕にも見せられないものも多いからってそのままにしてたんですが……」
「イアン先生が……確かに気になるわね。こんなタイミングで掃除を頼むというのもよくわからないし。」
「……………ピート君、イアン先生のことは俺達に任せて、君はこのままここに避難していてくれ。何かわかったらすぐに連絡するからさ。」
「わ、わかりました……どうかよろしくお願いします!」
その後ロイド達は街の探索に戻った……………
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