英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第136話
~メルカバ玖号機・ブリッジ~
「お、おい、ツァイト!?マジなのか!?」
「ほ、本当にあの画面に映っている方が”空の女神”なの!?」
ランディとエリィは慌てた様子でツァイトを見つめ
「うむ………間違いない。彼女こそが”空の女神”と称えられた娘―――エイドスだ。」
見つめられたツァイトは苦笑しながらエイドスが映った画面を見つめながら答えた。
「………………………」
ツァイトの答えを聞いたロイドは口をパクパクさせ
「あ、ありえねえ……………」
「な、なんだかエステルさん達に関わってから”神”の存在がかなり身近に感じてきたわね………」
「まあエステルさん自身がとんでもない人脈を持っている人ですからね……」
ランディは疲れた表情で呟き、エリィは冷や汗をかいて苦笑し、ティオはジト目で呟き
「ま、まさか生きていて空の女神をこの目で見る事ができるなんて………」
「しょ、正直夢を見ている気分です………」
「うわあ……!まさに”女神”らしくとっても美人な方ですねー。」
リーシャやノエルは信じられない表情をし、フランは無邪気な笑顔を浮かべ
「ハハ………父さん達に話しても正直、信じてもらえないだろうな……」
「ふ、普通に考えてありえませんものね………」
リィンとエリゼは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「ヒュー!すっげえ!空の女神が味方っていう事はまさに”女神のお墨付き”じゃねえか!!」
「フフ……長生きはするものだな……」
ヨナは興奮し、マクダエル議長は微笑んだ後祈りを捧げ
「写真!写真!空の女神の写真なんて、歴史上初よっ!!」
我に返ったグレイスは血相を変えて画面に映るエイドスをカメラで写真を撮り始め
「…………………アハハハハハハハハッ!いや~、参ったね。さすがにこれは意表を突かれ過ぎたよ………”黄金の百合”も超反則な助っ人を連れて来たものだね♪空の女神がいれば、いろんな意味で冗談抜きで恐い物なしだし、そっちに力を貸しているという事は僕達のする事は”女神公認”って意味になるから僕達も思いっきり戦えるね。」
「よりにもよって”守護騎士”であるワジさんがそんな事、言っちゃっていいんですか……?」
「ワ、ワジ君は星杯騎士団の中でもかなり地位が高いのに空の女神に対してそ、そんな態度でいいの……?」
「ワジッ!!空の女神よ、も、申し訳ございません……!御身の降臨、心より歓迎致します……!」
驚きのあまり石化したかのように固まっていたワジは我に返ると腹を抱えて大声で笑った後口元に笑みを浮かべ、ワジの様子を見たティオはジト目でワジを見つめ、ノエルは大量の冷や汗をかいて苦笑し、アッバスは怒鳴った後エイドスを見つめて頭を深く下げた後その場で祈りを捧げたが
「もう………”七耀教会”の方達はほとんど同じ態度ですね………ちょっとはそちらの方を見習ってほしいものですね。」
「ハ……?」
呆れた表情で溜息を吐いて言ったエイドスの言葉を聞いて呆けた。
「皆さんが私の事を”空の女神”と称えているだけで私は自分から”神”を名乗った事はありませんし、そもそも”神”扱いされる事は嫌ですし、正直信仰の対象になって迷惑しているんです。普通の”人”として生きていく事が私の幸せなんですから。」
「なあっ!?」
「アハハハハハハハハッ!こりゃ傑作だ!まさか”女神自身”が”神”扱いされている事や信仰される事を嫌がっているなんて!教会のお偉いさん達が聞いたらショック死するかもねえ?」
呆れた表情で答えたエイドスの言葉を聞いたアッバスは信じられない表情で声を上げた後絶句し、ワジは腹を抱えて大声で笑った後静かな笑みを浮かべ
「やれやれ………そういう所も相変わらずだな………」
ツァイトは苦笑し
「フフ、親しみやすくていいと思うわ♪」
「キーアもそう思うー。」
セシルとキーアは微笑んだ。
「フフ、じゃあ今後は”人”として貴女の事を扱った方がいいのかな?」
ワジは静かな笑みを浮かべて尋ね
「はい。でも貴方は他の”七耀教会”の方達と違って物分りがいい方ですね?」
尋ねられたエイドスは答えた後不思議そうな表情をし
「お褒めに預かり光栄だよ。で、貴女がそっちにいるって事は僕達のする事は貴女の”お墨付き”って事でいいのかな?」
ワジは口元に笑みを浮かべて尋ね
「ええ。だって貴方達が信仰している”女神”である私が協力しているのですから、当然でしょう?」
「フフ、確かにね。しかしまさか空の女神がこんな親しみ安いとはねえ?どうせなら貴女が七耀教会のお偉いさん達を叱ってもっと規則を緩くするように言ってくれないかな?」
微笑みながら答えたエイドスの言葉を聞いたワジは静かな笑みを浮かべて答えた後尋ね
「まあ……それはいい提案ですね。例えば”星杯騎士の心得”……でしたっけ?あれを知ってから、正直色々と文句を言いたい所が出てきたのですよね。例えば女神(私)に魂や血肉を捧げるみたいな心得がありましたけど、そんな事をされても迷惑なだけですし。百歩譲って私を信仰するのはいいとして、何でそんな事までするのかが全く理解できないですよ。七耀教会は私を邪悪なる女神にでもしたいのでしょうかね?」
尋ねられたエイドスは目を丸くして頷いた後疲れた表情で溜息を吐き、そして不思議そうな表情で首を傾げた。
「……………………」
エイドスの言葉を聞いたアッバスは口を大きく開けたまま絶句し
「ああ、『その魂は空なる女神に、血肉は七耀に捧げるべし』だろ?いや~、あれには僕も前からちょっとどうかと思っていたんだよね~。じゃあこれからは貴女に僕達の魂や血肉とか捧げなくていいって訳だ?」
「ええ、そう言う事になりますね。」
ワジは口元に笑みを浮かべて頷いた後笑顔で答えた後尋ね、ワジの言葉にエイドスは頷き
「あ、どうせならさ。”七耀教会”の規則自体をもっと緩くしてくれるよう教会の偉いさん達に言ってくれないかい?例えば重婚とか。他の宗教は認めているのに、”七耀教会”だけ時代の流れについていかずに認めていないんだよね~。」
「フフ、それもいい提案ですね。」
さらにワジは静かな笑みを浮かべて提案し、ワジの提案にエイドスは微笑みながら頷いた。
「いい加減にしろ、ワジッ!!」
「おい、ワジ!よりにもよってこの方にとんでもない事ばかり吹き込むなや!?空の女神御自らが”七耀教会”の規則に口を出したら、マジで実現して、”七耀教会”が大混乱してしまうやろうが!?お前、それでも”守護騎士”かっ!?」
その時アッバスの怒鳴り声と慌てた様子のケビンの声が聞こえ
「ハハ、何言っているんだい?ちゃんと”守護騎士”として空の女神の話し相手になって教会の現状を教えているだろう?」
ケビンの声を聞いたワジは笑顔で言い
「そうですよ。貴方達が信仰している”女神”である私はワジさんとの会話は楽しいと思っていますし、”七耀教会”がどんな所かも教えてもらっているからいいでしょう?」
「ほら、空の女神自身もそう言っているからいいじゃないか。」
ワジの言葉に続くようにエイドスは微笑みながら答え、エイドスの言葉を聞いたワジは頷いて答え
「う”……………」
そして唸った様子のケビンの声が聞こえてき
「そういえば君、神父の癖にシスターのリースに手を出したんだろ?そっちこそ”守護騎士”の癖にそんな事をしちゃっていい訳?」
「なっ!?なんでお前がその事を知ってんねん!?」
口元に笑みを浮かべたワジが言うと驚いている様子に聞こえるケビンの声が聞こえてきた。
「局長が教えてくれたんだよね~。」
「局長………ヴァイスさんか!?何で彼がその事を……………って、しもうた!?そういやオレらと一緒に”影の王”と戦ったヴァイスさん達は”影の王”から”煉獄”での”あの件”を聞いたんやった……!?」
「恨みますよ、”影の王”………!あの時もっと痛めつけておくべきでした……!」
そして静かな笑みを浮かべて言ったワジが呟くとケビンは声を上げ、ケビンの声が聞こえた後怒っている様子のリースの声も聞こえ
「フフ、あまり二人を責めないであげて下さい。聖職者同士が結ばれる事はこの私が賛成している上祝福もしましたし。」
「へえ?よかったじゃないか。空の女神直々が公認している上祝福までしてくれるカップルなんてこの世で君達だけだし、しかも教会は文句は言えない上、”星杯騎士”としても君達二人とも別れる訳にはいかなくなったよねえ?」
微笑みながら言ったエイドスの言葉を聞いたワジはニヤニヤしながら言った。
「当たり前です!ケビンには私が”そこまでした”責任を取ってもらわなければならないんですからっ!!」
「リ、リースさん!」
「お、落ち着いて下さい!」
するとリースの怒鳴り声と慌てた様子の星杯騎士達の声が聞こえ
「リ、リースさん………」
リースの声を聞いたエリィは冷や汗をかいた。
「う”……………あ、あのエイドスさん。た、頼みますから、これ以上場をかき乱さんといて下さい……!今は戦闘中なのですし………」
そして唸った後焦った様子のケビンの声が聞こえ
「あら?空の女神(私)を信仰している貴方達が私に意見をするのですか?それに貴方達はフェミリンスさんの援護ですから余裕があるでしょう?しかも現在の戦いではフェミリンスさんが一人で押していますし。」
「う”……………」
からかいの表情のエイドスの言葉を聞いた後唸った様子のケビンの声が聞こえた。
「アハハハハハハハ!いや~、まさに僕達に信仰されている貴女だからこそ許された特権だね♪」
二人の会話を聞いていたワジは大声で笑った後静かな笑みを浮かべ
「フフ、せっかくですから活用しないと損でしょう?」
「確かにそうだね♪あ、どうせならさ。今回の件が全て終わった後にクロスベルの観光案内もしてあげようか?よければ良い所を紹介するよ?」
微笑みながら言ったエイドスの言葉を聞いたワジは口元に笑みを浮かべて答え
「まあ………良い提案ですね。未来の人々がどのような暮らしをしているのか興味がありますし。」
ワジの言葉を聞いたエイドスは微笑んだ。
「お前は何を考えとんねん!?観光案内するにしても真っ先にアルテリアに招待すべきやろうが!?」
するとその時ケビンの怒鳴り声が聞こえたが
「フフ、そんな事をしても自分を”神”扱いする七耀教会の総本山であるアルテリアに招待した所で空の女神は喜ばないと思うけど?」
「そうですよ。そんな所にいても息苦しいだけです。未来に行くと知り、人々がどのような暮らしをしているのか見る事を密かに楽しみにしていた私の楽しみを奪わないで下さい。」
「う”……………」
ワジとエイドスの言葉を聞いた後唸った様子のケビンの声が聞こえてき
「フフ、どうせクロスベルの観光をするならさ、ついでにエラルダ大司教に僕達の活動を今後認めるように言ってくれないかい?彼、頭が固すぎて僕達のクロスベル入りを禁じているんだよね。」
「まあ………それはいけませんね。」
「お、お願いしますから、もう勘弁してください……!」
ワジの提案を聞いたエイドスが目を丸くすると懇願した様子のケビンの声が聞こえてきた。
「……………………」
一方ワジ達の会話を聞いていたアッバスは片手で頭を押さえて黙り込み
「やれやれ………早速悪い癖が出ているな………」
「フフ、いいじゃない。空の女神に私達の暮らしを知ってもらう事なんてすばらしい事、絶対にないじゃない。」
「というか空の女神がクロスベル観光って……通商会議以上の警備が本来なら必要じゃない……」
「キーアも全部終わった後過去のクロスベルを観光してから帰ろうかなー?」
ツァイトは呆れた表情で溜息を吐き、セシルは微笑み、エオリアは表情を引き攣らせ、キーアは無邪気な笑顔を浮かべ
「ワ、ワジ君………」
「既に順応して空の女神と普通に会話していますね……」
ノエルは冷や汗をかき、リーシャは苦笑しながら見つめていた。
「ま、まさか空の女神がこんな人物だったなんて………」
「やっぱエステルちゃんの先祖だけあって天然な所があるよな…………」
「え、ええ………エステルさんのあの性格はまさか先祖代々だったなんて……………」
一方ロイドは疲れた表情で呟き、ランディとエリィは冷や汗をかいて苦笑し
「この様子だと下手をしたらサティアさんも同じ性格なんじゃないですか?先祖が”この性格”でしっかりとエステルさんにまで受け継がれているのですし。」
ティオは呆れた表情でセリカを見つめ
「………………………否定できん。」
(クク………確かにその可能性は大いにありそうだの!)
「”姫神”の性格を変えた娘じゃからの……」
見つめられたセリカは冷や汗をかいて呟き、ハイシェラは口元に笑みを浮かべ、レシェンテは呆れた表情で呟き
「それにしても………エステルさん……というかブライト家ってつくづくとんでもない家系ですよね……」
「何せ”神”の末裔の一族ですものね…………」
「”神格者”の父さんでも全然比べものにならないね~。」
セティやエリナ、シャマーラは苦笑し
「フフ、どんな性格になっているのでしょうね?」
リタは微笑み
「もしかしたら母親そっくりになっているかもしれませんね♪」
「きっとそうに違いないです~。だってサティア様、エステルさんの事が大好きなんですから~。」
「ア、アハハ………大好きな母親に似るというのはよく聞く話だものね……………」
マリーニャは口元に笑みを浮かべ、サリアは嬉しそうな表情をし、シュリは渇いた声で笑い
「フフ……ひょっとしたら嫉妬深い所も受け継がれているかもしれませんね。」
「エステル…………祖先……フィーナ………エレナ………嫉妬………してた………」
エクリアはセリカに微笑み、ナベリウスは静かに呟き
「………………」
セリカは表情を引き攣らせて黙り込んだ。
「しかしさっきケビンは”神”が2柱そっちに協力しているって言ってたけど、もう一柱は貴女だったわけだ?」
「ええ。今私が乗っている船は私の加護によって強力な結界を付与させていますから、そう簡単に落とされる事はありませんから安心して下さい。」
ワジの疑問にエイドスは頷き
「なっ!?」
「へえ?”メルカバ”に貴女の加護なんて、僕達にとっては光栄過ぎな事じゃないか。こりゃ何が何でもそっちの船を”神機”に撃ち落とされる訳にはいかなくなったようだねえ?ケビン。」
エイドスの話を聞いたアッバスは驚いて声を上げ、ワジは静かな笑みを浮かべて呟き
「当たり前や!!というか空の女神御自らが乗船していなくても落とされてたまるかっ!!」
ワジの言葉に答えるかのように画面端末からケビンの声が聞こえ
「あ、どうせならさ。後で僕の船も貴女の加護でパワーアップしてくれないかい?そうしたら今後の活動で色々と便利になりそうだし。」
「いい加減にしろ、ワジッ!!」
「洒落にならんことばかり提案すんなやっ!?お前、空の女神を何やと思ってんねんや!?」
さらに静かな笑みを浮かべて言ったワジの提案を聞いたアッバスとケビンは同時に怒鳴った。
「クスクス……まあそういう訳ですから、今回の件はクロイス家の者達に”至宝”を授けた私の責でもありますから、今回の事件が終息するその時――――貴方達がキーアという名前の一人の少女を取り返すまでは私も先祖や子孫共々協力させて頂きますね。」
ワジ達の会話を微笑みながら聞いていたエイドスは表情を真剣に変えて答え
「あ、ありがとうございます……!」
「空の女神御自らに協力してもらえるなんて………本当に光栄です。」
「いや~、色んな意味で反則すぎる味方だよなあ。」
「まあ、空の女神が味方にいれば、わたし達の敵は空の女神に反逆する罰当たり者になりますものね。」
「やれやれ………女神自身が参戦するというのなら、”眷属”の私も最後まで力を貸さないといけなくなったようだな………」
エイドスの答えを聞いたロイドは明るい表情をし、エリィは会釈をした後その場で祈り、ランディは口元に笑みを浮かべて呟き、ティオとツァイトは苦笑していた。
「ええ、お願いしますね、ツァイト。―――それでは皆さんに”イース”の加護を。あ、”空の女神(私)”を信仰している皆さんの場合は”空の女神(私)”の加護を……と言った方が嬉しいのですかね♪―――それでは一端失礼します。」
ツァイトの言葉に頷いたエイドスはその場で祈った後微笑みを見せ、その場にいる全員を脱力させた後、画面から姿を消した。
「え、えっと………色々とユニークな方ですね、”空の女神”って………」
「フフ、それにとても気さくな方ですね。」
エイドスの姿が消えるとノエルは苦笑し、リーシャは微笑み
「この様子だと独占取材にも答えてくれそうね♪」
グレイスは嬉しそうな表情で呟き
「フフ、空の女神自身から応援の言葉をかけられたら勝利は確実だね。………―――さてと。僕達もそろそろ行こうか。」
「うむ……!南口に着陸する……!船底のハッチから降りるがいい!」
ワジは静かな笑みを浮かべて呟き
「ああ……!」
視線を向けられたロイドは頷いて答えた。
その後南口に着陸した”メルカバ”からはエステル達も市内に潜入させるために南口での戦闘をさっさと終わらせる為にセリカとエオリア以外のセリカの”使徒”達とナベリウスはエステル達と挟み撃ちすかのように国防軍の兵士達との戦闘を開始し……残りのメンバーであるロイド達は市内への潜入を果たした……………!
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