英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第135話
~メルカバ玖号機・ブリッジ~
「あ、あれは確かラインフォルト社の最新型の戦車……!?」
「”アハツェン”じゃねえか!?オイオイオイオイ……!何であんなとんでもない戦車を警備隊が持っているんだよ!?」
それぞれの部隊がクロスベル市の周辺で戦闘を繰り広げ始めたその頃、画面端末で戦いの様子を見ていたノエルはギュランドロス達率いる警備隊が操縦する戦車を見て信じられない表情をし、ランディは厳しい表情になり
「――――”クロスベル帝国”に魔導兵器と合成魔獣の知識、並びに技術提供される際の契約の一つとしてメンフィル帝国は”アハツェン”や最新型の飛行艇を多数、警備隊に譲渡する条件があったのですが………昨夜、クロスベル帝国の方々に他の”兵器”共々一部を除いてクロスベル帝国の方々に全て譲渡し終えたとの報告を聞きました。」
「なっ!?」
「そ、そんな契約までしていたなんて……!」
静かな口調で言ったエクリアの話を聞いたロイドは驚き、エリィは信じられない表情をし
「そ、それより………”他の兵器共々”って言いましたよね?それは一体どういう意味なのですか?」
ティオは不安そうな表情でエクリアを見つめて尋ねた。
「――――合成魔獣である”歪竜”、各属性の”竜”及び”石象兵”、そして魔導技術によって創られた兵器です。」
ティオの疑問にエクリアが答え
「……ベルガード門にいたノエルさんならその力の一端を見ていると思います。」
「魔導戦艦や”歪竜”が”神機”を破壊した瞬間は多分、見ていると思うが……」
エリゼが静かな口調で答えた後リィンと共にノエルに視線を向け
「え……――――あ!ま、まさか………あ、あんなとんでもない兵器や化物が量産されている上、司令達まで所持しているんですか……!?」
視線を向けられたノエルは呆けた後ある事を思い出して表情を青褪めさせてエクリア達を見つめ
「―――はい。ちなみに昨夜より、知識や技術提供された方々―――リセルさん達がメンフィルが譲渡した超弩級魔導戦艦”マグナニム”に乗船して、クロスベルに向かっている所です。恐らく本日の昼前には到着すると思われます。」
見つめられたエクリアは頷いて答えた。
「ノエルさん?」
「ノエルはその”他の兵器”を知っているのか……?」
一方ノエルの様子を見たエリィは不思議そうな表情をし、ロイドは真剣な表情で尋ねた。
「ええ―――――」
そしてノエルはロイド達に”神機”が破壊された時の話をした。
「なっ!?」
「あ、あの”神機”を容易に破壊するほどの戦艦……!?」
「た、確かに”神機”をメンフィルの新兵器で破壊した話は聞いていましたが………」
「オイオイオイオイ!オッサン達、そんなとんでもない切り札を手に入れてやがったのかよ!?」
ノエルの話を聞いたロイドやエリィは驚き、ティオは信じられない表情をし、ランディは目を細めて叫び
「うわー………確かにそんなとんでもない兵器があれば二大国を滅ぼすのも容易ね………あの人形兵器に二大国の軍団が次々と殲滅させられたのだから。その人形兵器の上を行く上、しかも複数あるんでしょう?勝負はもう決まったようなものじゃない……」
「「……………………」」
グレイスは表情を引き攣らせた後疲れた表情で溜息を吐き、マクダエル議長は重々しい様子を纏って黙り込み、キーアは辛そうな表情で黙り込んだ。
「ちょっと待った。今、合成魔獣や”竜”、石象兵とか聞き捨てならない言葉が出てきたけど……まさかそれらも全てメンフィルが本国―――異世界で量産して、こっちの世界に持ってきた上、局長達に譲渡したのかい?」
その時ワジが真剣な表情でエクリアを見つめて尋ね
「はい。特に”歪竜”の力は凄まじく、正直な所普通の”竜”のドラゴンブレスとは比較的にならないほどの威力を持つエネルギーを放つ事ができますし………さらに”竜”自体も合成儀式で作れます。」
尋ねられたエクリアは頷いた後真剣な表情で答え
「ベルガード門に潜入していた私も”神機”が破壊される様子を見ていましたけど………現存する導力兵器では絶対に敵わないと思いました……あれはハッキリ言って”格”が違い過ぎます。」
リーシャは重々しい様子を纏った後真剣な表情で答えた。
「……………………」
「そ、そんな存在までメンフィルや局長達が手に入れたなんて………」
「オイオイオイオイ………!二大国を焦土に変える気か!?」
「というかリセルさん達がその兵器達の知識と技術を知っていたという事は………ヴァイスさん達はかつてとんでもない戦争を繰り広げていたのですね………」
エクリアの話を聞いたロイドは口をパクパクさせ、エリィは表情を青褪めさせ、ランディは厳しい表情で声を上げ、ティオは不安そうな表情で呟き
「へえ………ヴァイス達、私達の予想以上に凄い戦争をしていたようね♪」
「あ、ありえん……!”竜”の合成儀式だと………!?」
「…………まさか人の”業”で”竜”を”創る”とはな…………異世界の”魔道”の技術力………どうやら私の予想を遥かに超えた技術力のようだな………」
「…………………」
「ヒュウ!異世界は一体どれだけ反則技ばかり使うんだ!?」
カーリアンは興味深そうな表情をし、アッバスは信じられない表情で声を上げ、ツァイトは厳しい表情で呟き、セシルは複雑そうな表情で黙り込み、口笛を吹いて興味深そうな表情になった。
「やれやれ………星杯騎士としては色々と複雑な気分だよ………ぶっちゃっけそんな存在や技術、どう考えても”外法”に値するし。」
その時ワジは疲れた表情で溜息を吐き
「ただ、厳しい事を言わせてもらいますがその技術や存在は私達の世界では”普通”なのです。」
「元は混沌の女神の”混沌魔獣”を元とした技術なのですが………」
「それが世に広まって、今ではあたし達職人達にとってはかかせない技術なんだよね~。」
セティとエリナは真剣な表情で呟き、シャマーラは目を伏せて言った。
「………………………」
セティ達の話を聞いたロイドは複雑そうな表情で黙り込み
「そういえば……前から気になっていたけど、アルテリア法国は”クロスベル帝国”についてどう考えているのかしら?」
ある事を思い出したエリィはワジに尋ねた。
「その事なんだけどさ………数日前にリベール王家から情報が入ってさ。どうやら”クロスベル帝国”はメンフィル帝国共々アルテリア法国……というか”七耀教会”の意向を最初から無視するつもりらしいんだ。言いかえれば七耀教会(僕達)が”クロスベル帝国”を認めなくても別に気にしないって事。」
「なっ!?」
「ええっ!?」
「あ、ありえねえ………」
「ヴァイスさん達、やりたい放題ですね………」
ワジの説明を聞いたロイドとエリィは驚き、ランディは口をパクパクさせ、ティオはジト目で呟き
「さらに遊撃士協会もメンフィル帝国との”契約”によって今後起こるメンフィルとクロスベルの連合によるエレボニア、カルバードの侵略には一切口を出さないし、仲裁もしないそうだ。」
「なっ!?遊撃士協会まで!?一体どうして……!」
アッバスの情報を聞いたエオリアは驚きの表情で声を上げた。
「どうやら今後制圧する事になる地域――――エレボニア帝国内で2年前に起こった帝都を中心としたギルド襲撃事件を弱味に付け込んだ情報局の手によって撤退した数多くの支部の復活を持ち掛けられたそうだよ。……で、機会があれば支部の復活を願っていた遊撃士協会にとってまたとない話が来たからメンフィルと契約を結んだって訳。」
「た、確かにその件でエレボニアでのギルドの力は凄く弱くなったけど………まさかそこまでして復活させたかったなんて………」
ワジの説明を聞いたエオリアは信じられない表情をし
「―――それとアリオス・マクレインは遊撃士協会の目を欺いてクロイス家の者達に力を貸していた件で、既にA級正遊撃士の資格は剥奪され、遊撃士協会のブラックリストにまで乗ったそうだ。」
「アリオスさんが!?」
そしてアッバスの説明を聞いたエオリアは信じられない表情で声を上げ
「当然の結果だと思うがな。」
「そうですね。」
「うむ。奴は遊撃士協会にとって裏切者であると同時に恥以外の何物でもないしな。」
セリカ、リタ、レシェンテは冷静な様子で答え
「確かによく考えればすぐに予想できる事でしたね………」
「遊撃士協会が長年積み上げてきた”支える籠手”の信頼を大きく低下させたアリオスさんを許す訳ないものね…………」
「ああ……………」
疲れた表情で呟いたティオとエリィの言葉にランディは目を伏せて頷き
「”クロスベルの真の守護者”がそこまで墜ちてしまうなんて……………」
「今では”クロスベル最悪の裏切者”扱いですものね………」
「今までお世話になっていた身としては色々と複雑だわ………」
(まあ、当然の結果ね。)
ロイド、ノエル、エオリアは複雑そうな表情で呟き、ルファディエルは納得した様子で頷き
「…………………(シズクちゃんの今後や未来を考えるとアリオスさんには悪いけど、やっぱり私が引き取った方がいいかもしれないわね………)」
セシルは真剣な表情で考え込んだ。
「け、けどワジ君……それなのに私達に力を貸しても大丈夫なの?」
その時エリィは不安そうな表情で尋ね
「逆だよ、逆。むしろここで力を貸して”クロスベル帝国”に対して恩を売っておかないと今後七耀教会は西ゼムリア大陸内で活動しにくくなるだろうからね。むしろ上からは最低でもクロスベル市の解放は手伝うように指示されているぐらいだし。」
尋ねられたワジは静かな笑みを浮かべて答え
「……既に教会はエレボニア、カルバードの両国はメンフィルとクロスベルの連合に滅ぼされる事を想定して、”二大国が滅ぼされた後”の状況を考えているそうだ。」
「要するに七耀教会も二大国を見捨てたって訳か………」
「まあ、いくら”星杯騎士団”がいるとはいえ、さすがにメンフィルに喧嘩を売るなんて真似、無謀すぎますものね。」
ワジの説明を補足したアッバスの説明を聞いたランディは疲れた表情で呟き、ティオは複雑そうな表情で言った。そして画面端末は今度は南口で戦うエステル達の画面に変わった。
「あ……エステル達……!」
「す、凄い……!」
画面にいるエステル達を見たロイドとエリィは驚き
「ツンツン頭の神父が言ってた助っ人っていのは、やっぱりエステルちゃん達だったのかよ!」
ランディは明るい表情で声を上げた。
「ああ、本人達たっての希望でリベールから連れてきたらしい。………まあ、知らない人達もいるようだけど。」
ランディの言葉に頷いたワジは静かな笑みを浮かべた後不思議そうな表情で画面で戦っているアドル達を見つめ
「なっ!?あ、あの人達は………!」
「わあ~!アドルさん達です♪」
「ナユタ君達もいるじゃない!」
「………過去………帰った………なんで……いる………?」
「い、一体どうして私達の時代にいるのでしょうか………?」
「……………………あの女性は一体………」
(フム、エステル嬢ちゃんに非常に似ている容姿をしている上、しかも髪型がサティアと一緒とはな。しかもクーが2体だと?あの娘、まさかとは思うが………)
ティオは驚き、サリアは喜び、マリーニャは明るい表情をし、ナベリウスは首を傾げ、シュリは戸惑い、セリカは画面端末に映っているサティアを見つめて呆け、ハイシェラは真剣な表情で考え込んだ。
「へ………」
「そ、それってまさか”影の国”で出会った空の女神のご両親やご先祖の………!?」
「オ、オイ。ま、まさかとは思うが………!」
ティオの言葉を聞いたロイドは呆け、エリィは信じられない表情をし、ランディは驚きの表情でキーアに視線を向け
「キーアみたいにミントが過去の時代から連れて来たのだろうね。」
キーアは静かな表情で言った。
「―――その通りや。」
その時画面端末にケビンの画像が映った。
「ケビン神父………!」
ケビンを見たロイドは驚き
「大丈夫かい?そっちは今、”神機”と交戦中なんだろう?」
ワジは不思議そうな表情で尋ねた。
「ああ、心配いらん。何せこっちには”神”が2柱味方になってくれとるからな。今はフェミリンスさんが戦って、オレらがそこを援護しているから、通信をする暇ぐらいはあるで。」
「ええっ!?」
「フェ、フェミリンスさんが”神機”と戦っているんですか………!?」
「そういやあのお姉さん、本物の”女神”だもんな………」
「け、けどまさか生身で……それも空中で”神機”と戦うなんて……”姫神フェミリンス”の力は私達の想像以上の力の持ち主のようね………」
「皆さんのお知り合いの方達って凄い人達ばかりですね……」
ケビンの話を聞いたロイドは驚き、ティオは信じられない表情をし、ランディは表情を引き攣らせ、大量の冷や汗をかいたエリィは苦笑し、リーシャは表情を引き攣らせてロイド達を見つめた。
「そ、それよりケビンさん!ナユタさん達も本当にミントさんが………!?」
そしてティオは真剣な表情でケビンが映る画面端末を見て尋ね
「ああ、未来と現代、二人のミントちゃんが手分けして連れてきたみたいや。その中にはセリカさんにとってもご待望の人もいんで。」
「何………?」
ティオの疑問に頷いたケビンの言葉にセリカが眉を顰めたその時
「―――まさか。未来のサティア様までいらっしゃっているのですか!?」
ある事に気付いたエクリアが信じられない表情で尋ね
「ああ。エステルちゃん似の女性がおったやろ?その女性が生まれ変わったサティアさん――――つまりエステルちゃんの血の繋がった娘にして一番最初の子供……いや、養子のミントちゃんがいるから次女やそうや。」
「何っ!?という事はさっきの画面に映っていたエステルに似ていたあの女性がサティアかっ!?」
(やはりか。)
ケビンの答えを聞いたセリカは血相を変えて声を上げ、ハイシェラは納得した様子で頷き
「わあ……!よかったですね、主!」
「サティア様がエステルさんのご息女として生まれ変わると今この場で証明されましたね……!」
「おめでとうございます♪」
「よかったな、セリカ!」
「おめでとう…………よかった……………」
リタやセリカの”使徒”達、そしてナベリウスはそれぞれ明るい表情をした。
「えええええええええええええええええええっ!?」
「エ、エステルさんのご息女……!?」
「オイオイオイオイッ!そんなのありかよ!?」
「ま、まさか生まれ変わったサティアさんまで来ているなんて………」
一方ロイドは驚きの表情で声を上げ、エリィは信じられない表情をし、ランディは疲れた表情で指摘し、ティオは大量の冷や汗をかいて苦笑していた。
「ハハ、言っておくけどもっと驚く事があるで?」
「もっと驚く事………?」
ケビンの言葉を聞いたノエルは不思議そうな表情をし
「そういえば………”神”が2柱力を貸してくれているって言ってたけど……もう一柱はどこの”神”なんだい?」
ある事に気付いたワジは真剣な表情で尋ねたその時
「フフ、それは私ですよ。」
なんとエイドスが画面端末に映った。
「フィ、フィーナさん!?い、いえ……さっき南口でエステルさん達と一緒に戦っているのが見えましたし………な、なんでそこにいるんですか!?」
エイドスを見たティオは驚いた後戸惑い
「フフ、貴女がティオさんですか。それにお母様達が”影の国”で共に戦った方々もいらっしゃっていますね。ようやくお会いできましたね。」
「へ………」
「”お母様”………?」
微笑みながら言ったエイドスの言葉を聞いたロイドは呆け、エリィは不思議そうな表情をし
「………?――――!!!!ま、まさか貴女は……………!」
エイドスを見つめて何かに気付いたティオは身体を震わせながら信じられない表情をし
「馬鹿な!?何故お前がそこに……いや、この時代にいる!?――――女神よっ!!」
「アドルとフィーナの娘―――――”空の女神”か。」
エイドスの顔をよく見た後目を見開いて信じられない表情で声を上げたツァイトに続くように、セリカは静かな表情で言い
「はい。――――初めまして。エイドス・クリスティン・ブライトです。フフ、まさか遥か未来で貴方とも再会できるとは思いませんでしたよ、ツァイト。」
エイドスは頷いた後名乗り上げ、そして微笑み
「フフ………それはこちらの台詞だ。人の子達が”答え”を出す前にお前が介入してもいいのか?」
ツァイトは静かな笑みを浮かべて答えた後尋ね
「まあ、さすがに限度がありますので。それに”幻の至宝”が消滅したのですから、貴方のように私が介入しても問題ないでしょう?」
「フッ……確かにそうだな……」
尋ねられたエイドスは静かな口調で答えた後微笑みながら尋ね、ツァイトは静かな笑みを浮かべて呟いた。そしてツァイトとエイドスの会話が途切れるとその場は凍り付き
「えええええええええええええええええええええええええっ!?」
我に返ったセリカ達を除いた者達――――ゼムリア大陸の出身者達はそれぞれ信じられない表情で声を上げた……………!
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