FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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壁ドッヂボール
前書き
ジュビアパンツちゃんと穿いてたんだね・・・
シリル「でしょ!?この間のあれがおかしかっただけなんだって!!」
ソフィア「でもシリルちゃんにはパンツ穿かせないよ♥」
シリル「俺はちゃんと穿いてるから大丈夫だよ!!」
それから数時間が経ち、八チームの決勝進出チームが決まり、予選競技が終了する。予定していた一時間から大幅に遅れ、なんと二時間もの時間を要することになってしまった予選会。来年からは出題者側をもっと改善しなければならないだろうな、マジで。
「てかなんで予選の後に開会式すんの?」
「普通逆じゃない?」
「それ言ったら大魔闘演武もそうなんじゃ・・・」
俺たちは現在予選が行われた広場に集められているのだが、なんでもこれからこの大会の開会式が行われるらしい。ただ、開会式というよりは予選通過チームをお客さんたちに顔見せしたいだけなのかもしれないけど・・・
「八位から入場するんでしょ?」
「てか他のチームはどこに待機してるの?」
「あの辺とか・・・あの辺とか?」
入場は大魔闘演武と同じで下位チームから行うらしい。ただ、ここはクロッカスではなく、闘技場があるわけでもない。なので、街にある公園の広場で主に大会をしていくらしいけど、他のチームの姿がどこにも見当たらない。どこのチームも木の影に隠れているようだけど、たかが遊びの大会だし、初めから並んだところから初めてもいいんじゃないのかな?
「食券一年分・・・」
「シリルちゃんのお尻・・・」
俺たち三人が話をしている後ろでは、二人の変なやつが妙な方法で気合いを入れている。レオンは優勝商品を何度も唱え、ソフィアは出場にあたって渡された写真にキスをしながら笑っている。彼女がその写真を見るたびに鳥肌が立つのは、きっと気のせいじゃないはず・・・
『では!!本戦出場チームの入場です!!まずは予選八位!!』
雑談をしていたところで、本戦の準備が整ったらしく、各チームの入場が始める。特に観客席があるわけでもないのに、お客さんがいっぱいいて、拍手で出迎えてくれるのを見ると、本当に大魔闘演武を思い出して気持ちが昂ってくる。
「ソフィア、そろそろ写真締まって」
まもなく呼ばれるであろうと推測し、ウェンディがヨダレをダラダラと流しながらレオンからもらった写真を見ているソフィアに声をかける。
「ウェンディちゃんも見る?」
「見る!!」
「オイッ!!」
だが、ソフィアが一枚の写真を彼女に見せると、少女もそれに食い付いてしまい、座り込んでしまった。
「二人とも!!そんなことしてる暇ないから!!」
「そうだよ!!予選二位とはいっt――――」
「シェリアも見る?」
「見せて!!」
「うおいっ!!」
俺とシェリアで二人を現実世界に引き戻そうとしたけど、ソフィアが何かの写真を瞬間的にこちらに見せると、天神は二人の元に滑るように座ってしまい、それに見入ってしまう。
「今、何の写真だったの?」
「わからなかった・・・」
何度か抱え込みジャンプをして体をほぐしていたレオンに問い掛けられるが、残念なことに答えることができない。ソフィアが見せたのはほんの一瞬だったから、俺の動体視力でも捉えることができなかったんだ。でも、じゃあなんでシェリアには見えたのだろうか?本気の女子の力はそれぐらい高められるのかな?
「あれ?俺ソフィアにその写真渡したっけ?」
興奮している女子三名の元に根本的な原因のような人物が歩み寄っていく。彼が気になっているのは、シェリアが食い付いた一枚の写真。
「シェリアのためにギルドから持ってきたんだ」
「ふざけんなぁ!!」
どうやら、あの写真に写っているのはレオンだったらしい。誰が載っているのか気になったけど、レオンだったらシェリアが食い付いたのにも納得ができる。大方、この前人魚の踵の手伝いをした時の女装写真だろうなぁ・・・俺のパンチラを越える写真よりいいじゃないか、誰のせいかは言わないでおくけど!!
『続いて予選二位通過チーム!!』
レオンとソフィアが取っ組み合いになっていると、ようやく俺たちを呼ぶアナウンスが鳴り響く。
「ほら!!レオンの女装なら後でいっぱい見せてあげるから早く行こっ!!」
「水着ね!!水着!!」
「際どい奴がいい!!」
「誰が着るか」
周りを待たせるわけにはいかないので、レオンをだしにして他のメンバーを連れていく。ウェンディだけは釣ることができなかったけど、お願いしたら快く写真の鑑賞をやめてくれたし、いい子だな。
『二位で予選を抜けたのは小さき魔術師!!このチームは蛇姫の鱗に所属しているレオン、シェリア、シリル、ウェンディのチビッ子たちに、人魚の踵のソフィアが加わったチームとなっています!!今大会の優勝候補の一角と言っていいでしょう!!』
広場に姿を見せると、大歓声とともにチームの紹介がアナウンスされる。それを聞いた本戦出場者たちが一斉にこちらを振り向いたので、ビックリして立ち止まってしまう。
ガッ
「どわっ!!」
「はうっ!!」
「キャッ!!」
「ひゃっ!!」
「うわっ!!」
だが、先頭を歩いていた俺が止まってしまったのはいけなかった。真後ろをついてきていた四人が、俺に突っ込んで来てしまい、ドミノ倒しのように地面へと倒れ込んでしまう。
『あっと!!小さき魔術師まさかの転倒!!大丈夫でしょうか?』
何の前触れもなく倒れてしまったため心配する司会者。だが、これには観客も他のチームも思わず大爆笑。いまだに地面に伏せている俺たちは恥ずかしくて全員顔を真っ赤にしていた。
「シリル!!なんで立ち止まったの!?」
「睨み付けられたからつい・・・」
シェリアに頭をポカポカ叩かれている。でも仕方ないじゃん?なんか圧力すごかったんだもん・・・押されてしまうのだって無理ないよね?
「いいから早くどけよ・・・」
「こんな時までお尻触らないでよソフィア」
「えへへ♪ごめんごめん」
一番下になっているのは俺なのだが、レオンとウェンディも苦しいのは同じなようで、一番上で下敷きにされてるメンバーのお尻を擦っていたソフィアにそう言っていた。
「クッ・・・シリルのせいでひどい目にあった・・・」
「ごめんてば」
腰を押さえながらレオンが俺に愚痴をぶつけてくる。俺はすでに並んでいるチームの間の指定された位置に並びながら、四人に手を合わせて謝罪していた。
『さぁ!!そしていよいよ予選一位通過チームの登場です!!』
その瞬間、先程の転倒で乱れかけていたチームの全員が一斉に同じ方向を向いた。俺たちだけではない。他のチームのメンバーたちも、まだ行進してきていない一位通過者たちが現れる場所へと視線を向けている。
「すごいね、みんな静かになっちゃったよ」
「まぁ、普通そうなるよね」
観客たちを除いたこの場にいるメンバーは、さっきまでのざわついた空気から一転している。それだけ気になっているだろう・・・あの絵から【ルール】というお題を即答した人物たちを。
『一位通過チームはご存知の方も多いでしょう、この五人で構成されたチームです!!』
死角から姿を見せる五人組。若干距離が開いているため、シルエットしかわからないけど、五人とも俺たちよりも高い・・・かな?一人はちょっと微妙だけ・・・ど!?
「「「「はぁ!?」」」」
近付いてくるにつれて明らかになっていくその姿を見て、彼らのことをよく知っている俺たちは驚愕していた。だってこの人たちまで出てくるなんて、想像もつかなかったもん!!
『この街を代表する魔導士ギルド蛇姫の鱗と大魔闘演武で素晴らしい成績を残した人魚の踵連合チーム!!人魚の鱗だぁ!!』
厳密にいえば俺たちも蛇姫の鱗と人魚の踵の連合チームなんだろうけど、こちらはどちらかと言うとチビッ子軍団といった感じなんだけど、向こうは明らかに役者が揃っている。てか間違いなくおかしいだろあのチーム!!
「リオンくん!?」
「カグラさん!?」
「ユウカ!?」
「トビーさん!?」
「ミリアーナさん!?」
なぜこの面子で出ようと思ったのか疑問だけど、そんなこと言ったらうちもなぜソフィアを加えたとなってしまうので突っ込まない。
「なんでカグラさんとミリアーナさんがいるの!?」
ここは蛇姫の鱗がある街だから、当然の如く人魚の踵がある街とは別のところにある。なのに、なぜこの人たちがいるのか、それをまずは解決しなければ先に進めないでしょ。
「なんだ?ソフィアから聞いてないのか?」
「ネコネコに会いたくて蛇姫の鱗まで遊びに来たんだよぉ!!」
二人にそう言われた時、キッとソフィアを睨むと彼女は忘れてたといった感じの表情で目を反らす。まさかこいつ、俺たちを見て二人のことホッポリだして飛んできたのか?二人も追いかけてくださいよ!!被害被るのは俺たちなんだから。
「そしたらこんな面白そうな大会をやると聞いてな。ソフィアが出るのは見てたから、一度お灸を据えてやらねばと思ったんだ」
どうやらこの大会に出たがっていたのはカグラさんだったらしい。てっきりトビーさんあたりに頼まれて人数合わせかと思っていたのに、本気となると大変だな、対策が。
「レオン。悪いがお前にはここで恥をかいてもらうぞ」
「何?まさかリオンくんが俺に勝つつもりなの?」
一方こちらでは、ラミアの二大エースが一触即発状態。このままじゃんけんを始めたら以前と一緒なんだけど、今回はそんな収まり方をしてくれそうにないので手がかかる。
「決着は大会で着けてやろう」
「リオンくんがそこまで勝ち上がれたらね」
「それはこっちの台詞だ」
だがリオンさんの目的はあくまでこの大会でレオンを負かすこと。だから、ここで無駄な体力を使うようなことはせず、あっさりと引いてくれたので安心した。
「オオーン!!やるからには俺たちも本気だぞ!!」
「キレんなよ。てか誰に言ってんだよ」
彼らの後ろにいるトビーさんとユウカさんもやる気はあるらしい。やるからにはとことんやるって感じなんだね。いい雰囲気じゃん。
「ねぇ、予選って誰が解答したの?」
「すごく早かったですけど・・・」
すると、シェリアとウェンディがリオンさんに気になっていたことを聞いている。そういえば俺も気になってたんだ。あの即答は一体誰がやったのか。全員で話し合った結果ではないと思うから、一か八かでギャンブルをしかけた人がいるんだと思うんだけど・・・
「リオンだよ」
「私たちに相談なしでな」
「絶対間違ったと思ってたぜ」
「オオーン」
それを聞いたと同時に、俺たちは全員がリオンさんとレオンへと視線を向けた。視線を向けられたうちの背の高い方は決まりが悪いような顔をして、背の低い方は文句を言われる筋合いはないといった表情を見せている。
「従兄弟だから似てるところがあるんだね」
「この二人のせいでどれだけ肝を冷やしたことか・・・」
「まぁいいんじゃない?大丈夫だったんだし」
予選のことを思い出すと、まだ胃がキリキリする。あの正解かどうかの判別を受けている時は、冷や汗が止まらなかった。もし外れてたら何もしないで大会が終わるところだったから、できることなら二度とあんなことはしないでほしいものだ。
『以上ですべてのチームが入場を終えました!!なので、簡単にではありますが今後のトーナメントについての説明を行いたいと思います!!』
これから重要な説明に入りそうなので、一旦話を区切りそちらに耳を傾ける。
『決勝トーナメントは事前にお伝えした通りの組み合わせで行わせていただきます!!ゲームはこちらで用意したものを皆さんにやってもらうことになっており、基本は一発勝負となっているので油断は禁物です!!』
競技の発表とルールの説明を終えたら即試合に入っていく・・・これは予想していたことだから、大して気にする必要もないだろう。
「むしろ問題はどんなゲームか・・・だよね?」
「うん。それが気になるよね」
予選の感じからすると、競技名も分かりやすくされてはいるだろうけど、頭を使い続けるだけなのか、はたまた体を動かすものがあるのか、それが一番の焦点になってくるだろう。
「レオンがいるから運動系は有利だよね」
「でもみんな頭が良くないから、クイズとかばかりだと辛いね」
「「「頭悪くはないよ!!」」」
ソフィアのさらりと入れてくる爆弾発言に金髪の少年を除いた全員が激昂する。言っておくがお前も頭よくないからな!!それは忘れるなよ!!
『それでは!!一回戦の競技に入っていこうと思います!!』
俺たちが会話をしている間に細かな説明が終わっていたらしく、一回戦の競技発表に入っていく。さてさて、どんな競技なんだ?
『最初の競技は・・・【壁ドッヂボール】!!』
「え?」
「壁・・・ドッヂボール?」
初っぱなから予測がつきにくい競技名が発表され、目を点にしている。一体どんな戦いになっていくのか、ドキドキしながらルール説明を待つのであった。
後書き
いかがだったでしょうか。
もう決勝がどこと戦うのかおおよそわかってしまう展開ですが、気にしたら負けです。
次は一回戦に入っていこうと思います。たぶん一話でケリがつくんじゃないだろうか?
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