英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~プロポーズ、そして結ばれる二人~
~メルカバ玖号機・甲板~
「エリィ……あ、ああ、まあね。」
近づいてきたエリィを見たロイドは我に返った後頷いた。
(おおっ!ついに正妻の登場だっ!!)
(……エリィの場合はここからどうするか、純粋に楽しみにさせてもらうわよ、フフ……)
(………頼むから私がいる事も考えて行動してくれよ………)
一方ギレゼルははしゃぎ、ルファディエルは微笑み、メヒーシャは疲れた表情で溜息を吐いた。
「………不思議ね………こんなにもクロスベルが……世界が変わろうとしている状況なのに。なぜか不思議なくらい、心が落ち着いているの。ベルのこと、おじさまのこと、キーアちゃんのこと………不安なことや心配なことは幾らでもあるのに………」
ロイドの隣で外を見つめているエリィは静かな笑みを浮かべて言った。
「そっか………俺も………同じかな。肚が括れたというかやるべき事が見えたというか。これも、エリィやみんなのおかげだと思う。ありがとう、本当に。」
「ふふっ…………お礼を言うのはこちらの方よ。本当なら、不安と焦りで潰れていてもおかしくないのに………貴方がいてくれたから私は今、ここでこんな風に立っていることができる………ありがとう。本当に貴方がいてくれてよかった。」
笑顔でお礼を言ったロイドの言葉にエリィは微笑んだ後、笑顔でロイドを見つめた。
「エリィ…………はは………お役に立てたのなら光栄かな。少しはリーダーとしてみんなの頼りになれるくらいには成長できたってことか。」
「ふふ、貴方はとっくに私達全員のリーダーよ。でなかったら、こんな所までみんなで来られなかったと思う。でも―――私が言っているのはそういう意味じゃないわ。」
「え………」
複雑そうな表情で言ったエリィの言葉を聞いたロイドは呆けた表情でエリィを見つめた。
「……今回の事件。どう決着したとしてもクロスベル……いえ、ゼムリア大陸は大変なことになるわ。多分、私達支援課も今のままではいられない………それぞれが、それぞれの力を最大限に活かせるような立場で努力していく必要がある………クロスベル………ううん、ゼムリア大陸を建て直すために。多分………いえ、ほぼ確実にエレボニアとカルバードはメンフィル帝国とクロスベル帝国の連合軍に敗北し、滅ぼされるわ。」
「………何でそこまで確信できているんだ?」
「………エクリアお姉様に現状を聞いたのだけど………どうやら局長達はメンフィルに自分達が知る知識で強力な魔導兵器や強力な合成魔獣を教える代わりに、メンフィルに最新型の装甲車や飛行艇はもちろん、その魔導兵器や合成魔獣の軍団を譲渡してもらい……さらに一時的にメンフィル軍の一部を借りたそうよ。」
「なっ………!?」
エリィの情報を聞いたロイドは信じられない表情をし
「……さらにどうやらリベールとも交渉してエレボニア、カルバードへ続く国境―――ハーケン門とヴォルフ砦にメンフィル軍の通過を許可してもらい………既に今夜から二大国に向かって進軍し始めているそうよ。」
「もうそこまで状況が進んでいるのか………!」
「それと……ノエルさんに聞いたのだけど、どうやらメンフィルは局長達の仲間の方達が教えた知識や技術によって創られた新兵器や合成魔獣であの神機を破壊したそうよ。」
「なっ………!?」
「………それらの兵器や合成魔獣がクロスベルに譲渡された上”大陸最強”と恐れられるメンフィル軍の兵士達を一時的に借りられる………飛行艇や戦車が主力の二大国ではどう考えても敵わない上………今の二大国は内戦状態だから連携をする事なんて、絶対に無理よ………」
「そして二大国は滅ぼされ、西ゼムリア大陸のほとんどはメンフィルとクロスベルに支配される………か………………」
エリィの説明を聞いたロイドは複雑そうな表情をした。
「………だからこそ全てが終わった後、私達はそれぞれの力を発揮し、それぞれの立場で努力して行く必要があるわ。」
「ああ……………俺やルファ姉はこのまま警察で………ランディは多分、”クロスベル帝国”が建国されたら”軍人”として協力を要請されるかもしれない。ティオは財団に戻るかもしれないけどもしかしたら導力ネット方面で………そしてエリィは………」
エリィの言葉に頷いたロイドは真剣な表情でエリィを見つめ
「………行政・外交方面での管理や政務官としての役割。多分、私に求められるとしたらそういった知識と能力だと思う。そして私は、これまでの留学でそうした勉強を積み重ねてきたわ。今回のような事態―――”国を創る”為ではなかったけど、そうせざるを得ない状況になってしまったわ。」
「………そうか………………………」
エリィの答えを聞いたロイドは頷いた後複雑そうな表情で黙り込んだ。
「ふふっ………良かった。」
その時エリィは微笑み
「………え………」
エリィの言葉を聞いたロイドは呆けた。
「少しはそんな風に寂しく思ってくれたみたいで。『大丈夫、エリィならやれるさ』なんて励まされたらどうしようかと思っちゃった。」
(この男なら本当に言いそうだから、冗談にならんな……)
(くかかかかっ!言われてみれば確かにそうだな!)
(例え恋人相手でもロイドなら十分にありえるわ……)
疲れた表情で答えたエリィの言葉を聞いたメヒーシャは呆れ、ギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルは疲れた表情で溜息を吐いた。
「はは………本当ならそんな風に言えなきゃ駄目なんだろうけど………そう簡単には割り切れないみたいだ。」
一方ロイドは苦笑した後複雑そうな表情で答えた。
「それは、どうして……?ティオちゃんやランディがいなくなるのと同じ理由で……?それとも恋人の私が離れるから?」
「そ、それは……」
微笑みながら尋ねたエリィの言葉を聞いたロイドは言い淀み
「―――答えて、ロイド。今、私に不安があるとしたら貴方がどう答えるのかだけ…………もう………わかってるんでしょう?どうして私が………話がしたいって言ったのか。」
エリィは頬を赤らめてロイドを見つめた。
「………エリィ…………………」
エリィに見つめられたロイドは驚いた後黙り込み
(さあ!ここからどうするつもりだ!?)
(フフ、さてと。録音機とビデオを用意しないとね♪)
(正直、この場から逃げ出したい………)
ギレゼルは興味深そうな表情をし、ルファディエルは微笑みながら録音機やビデオを用意し始め、メヒーシャは疲れた表情で呟いた。
「君と付き合い始めた時はさ………本当に嬉しかったよ………」
「え……………」
静かな笑みを浮かべて言ったロイドの言葉を聞いたエリィは呆けた声を出し
「お互い忙しくて二人っきりになったり、デートをする機会は本当に少なかったけど………でも一緒にいればいるほど、君への想いはどんどん膨れ上がって来たよ………」
「ロ、ロイド………」
さらにロイドが呟いた言葉を聞いたエリィは頬を赤らめて嬉しそうな表情をした。
「そして支援課で一緒に働き始めて1年近く経って、楽しいことや苦しいことを全部、一緒に乗り越えてきて……離れ離れになったけど、やっとの思いでまた会えて………今もまた、IBCでの告白を受けた時みたいに……いや、それ以上に幸せな気持ちだ。」
「……………ロイド……………!」
ロイドに微笑まれたエリィは頬を嬉しさのあまり、一筋の涙を流してロイドを見つめ
「………これを受け取ってくれないか………?」
そしてロイドは懐から小箱を出して蓋を開けてエリィに見せた。
「こ、これは……も、もしかして……………!」
蓋の中身――――小さな指輪を見たエリィは驚いた後涙を流しながら嬉しそうな表情でロイドを見つめ
(おおおおおおおおおおおおおおっ!?あの指輪はっ!!)
(フフ、鈍感だから心配していたけどちゃんと渡すタイミングがわかっているわね♪)
(こ、この甘すぎる雰囲気……とっとと終わらせてくれ………!見ているだけとはいえ、辛すぎる………!今すぐにとてつもなく苦いコーヒーを飲みたい……!苦いものは嫌いだが、さすがに今だけは口にしたい………!)
その様子を見ていたギレゼルは興奮し、ロイド達の様子をビデオで録画しているルファディエルは微笑み、メヒーシャは表情を引き攣らせていた。
「―――愛しているよ、エリィ。それぞれが落ち着いた時………俺と結婚して欲しい。俺と結婚してくれるのならどうかこの指輪を受け取って欲しい。」
「―――はい、喜んで……!」
ロイドの言葉にエリィは嬉しそうな表情で答えた後指輪を手にとって左手の薬指に付け
「私も愛しているわ、ロイド……!ん………!ちゅ………ちゅる………!」
(エリィ………)
そしてロイドと舌も絡めるほどの深い口付けをした。
「はは、よかったよ………受けてくれるか本当にヒヤヒヤしていたんだから……」
エリィが離れた後ロイドは苦笑し
「フフ、私が断る訳ないじゃない。……それにしても私の指とピッタリだけど……どうやって知ったのかしら?」
エリィは微笑んだ後不思議そうな表情で尋ねた。
「あ、ああ。元々その指輪はセティ達が支援課に戻ってきてから、彼女達に頼んで創ってもらったんだ。いつか君に渡そうと思っていたから………」
「そう………フフ、セティちゃん達なら私の指のサイズとかも知っているものね………それにしてもどうしてセティちゃん達に頼んだのかしら?サイズだけ聞いて他の店で買うという方法もあったのに。」
ロイドの答えを聞いたエリィは微笑みながら尋ね
「ハハ………やっぱり婚約指輪なんだから、できるだけ最高の指輪にしようと思ってね。おかげで今まで貯金していたお金――――給料で換算すると約3ヵ月分を支払う事になったよ。……いつもなら俺達(身内)に対して安い値段で創ってくれる彼女達なのに、なぜかその指輪に限ってはわざわざ俺の給料3ヵ月分を指定してきたんだよな………」
「フフ、やっぱり”お約束”通りにしようとしたのね。………うん、ここに来るまでまだちょっとだけ迷っていたけど………今ので決めたわ。」
「へ………?」
静かな笑みを浮かべて言ったエリィの言葉を聞いたロイドは呆けてエリィを見つめ
「こんな素敵なプレゼントをくれたのだから私もお返ししないとね………――――IBCで言ったようにキスの先の続きを今からしましょう……………?」
見つめられたエリィは頬を赤らめて微笑み
(IBCで言った話の続き………?ま、まままままま、まさかっ!?)
(おおおおおおおおおおおおおおっ!ついに………ついに!ロイドが大人の男になる瞬間が来たぜ!!)
(フフ、しっかりビデオに収めとかないとね♪セシルにも頼まれていたし♪)
エリィの言葉を聞いたメヒーシャは眉を顰めた後顔を真っ赤にして慌て、ギレゼルは大興奮し、ルファディエルは微笑み
「キスの先の続き……?ま、ままままま、まさかっ!?」
ロイドは不思議そうな表情をして大混乱した後顔を真っ赤にしてエリィを見つめた。
「…………もう………これ以上女の子の口から言わせる気………?」
ロイドに見つめられたエリィは顔を真っ赤にして微笑み
「け、けどどこでするんだよ……!?全員相室だろう……!?」
ロイドは顔を真っ赤にし、慌てた様子で尋ね
「………ここに来る途中、エオリアさんに頼んで今夜だけティオちゃんをエオリアさんとリタちゃん達が泊まっている部屋に泊めてくれるように頼んだから、快く引き受けてくれたし、キーアちゃんはさっきすれ違った時に今夜は他の人達の部屋で泊まるように頼んでおいたから、大丈夫よ。」
「…………………………」
エリィの答えを聞いたロイドは口をパクパクさせ
(くかかかかかっ!最初からそのつもりだったのだな!?)
(かなり大胆になったわね、エリィ…………まあ、そのぐらい大胆にならないと”正妻”の座が盗られるかもしれないしね………)
ギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルは苦笑した。
「それじゃあロイド、行こう………」
そして顔を真っ赤にしたエリィはロイドと腕を組んで歩き始め、自分が泊まっている部屋に入り、施錠した。
~個室~
(落ち着け……………落ち着くんだ、ロイド・バニングス…………!)
部屋に入ったロイドはベッドに座った状態で石化したかのように固まった状態で必死に自分を落ち着かせようとしながら身体を洗っている様子のエリィを気にしないように必死にシャワールームから視線を逸らし
(くかかかかかっ!今のロイド、マジで面白すぎだろっ!!)
(フフ、緊張しているわね………)
ロイドの身体の中にいるギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルは微笑んだ。
「お待たせ、ロイド……………」
「!!」
その時シャワールームからバスタオルを身体に巻いたエリィが現れてロイドに近づき、それを見たロイドは目を見開いて再び固まり
(今すぐにでもここから逃げ出したい………!)
エリィの身体の中にいるメヒーシャは顔を真っ赤にして目を閉じ、さらに両手で耳を塞いでいた。
「ロイド…………私、初めてだからできるだけ優しくしてね……………」
そしてロイドの隣に座ったエリィは顔を真っ赤にしてロイドを見つめ
「そ、その……俺も初めてだから……上手くできなかったらごめん………」
見つめられたロイドは顔を真っ赤にしてエリィを見つめ
「フフ、別にいいわよ………むしろ貴方が初めてで嬉しいわ………それと……今日は大丈夫な日だから………好きなだけ中に出していいわよ………ううん、中に出して………ロイドの気持ち、たくさん私の中に注ぎ込んで欲しいから……………」
見つめられたエリィは微笑んだ後魅惑的な笑みを浮かべ
「ええっ!?」
エリィの言葉を聞いたロイドは驚いて声を上げた。
「だから……私をロイドの好きにして……………ん……!ちゅ……ちゅる……」
(エリィ………)
そしてエリィはバスタオルを外して下着姿になってロイドとの深い口付けを始めた。
こうして…………将来を誓い合った二人は愛し合い始めた……………
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